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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
ミチャンポ王国、漁師連合国の諍い

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53/200

代理王

ミチャンポへとピグナと戻っていく。

あっさりと屋敷を出て、マサカの街の中も

誰にも見咎められることは無かった。

悪魔パワーの賜物なのだろうが、一々尋ねて

借りみたいになるのも嫌なので黙って

山道を登って、ミチャンポへとたどり着いた。


衛兵はピグナが見せた通行許可証に頷くと

あっさりと俺たちを中へと入れた。

本当に前日戦ったことすら忘れているらしい。

ピグナはアップダウンの激しい街を見回しながら

俺と歩いていき

「よし、宮殿だな」

さっさとそちらの方へと歩いていく。


ピグナを追うと、宮殿に辿り着いて

相変わらず通行許可証一枚で衛兵たちは中へと入れてくれて

玉座の間まで直進していくと

なんと、玉座にはペップがめんどくさそうに座っていた。


「あにゃ!ゴルダブルだにゃ!」

王冠を放り出してこちらへと駆けてきたペップに

抱きつかれて頬ずりされる。

「な、なんで王様に……」

ペップは現実に引き戻されたようなげんなりした顔で


「あいつ、戦いで負傷したにゃ……雑魚だにゃ……」

「だ、大丈夫なのか?」

「軽症だけど、傷を言い訳に長期休暇取りやがったにゃ。

 それで私が何故か代理に……」

話していると

「入るぞー!」


勢いの良い声がして、ネコミミの生えた角刈りのおっさんが

玉座の間に入ってきた。ペップはめんどくさそうな顔をして

玉座へと座り直す。

「何の用だにゃ。親父」

「ほら、ダイコン持ってきてやったぞ。友達と食え!」


ネコミミのおっさんは太いダイコンをペップに投げ渡す。

ペップは迷惑そうな顔をして、おっさんを指さして

「ロータム・ペップ。私の親父だにゃ。

 毎日様子を見に来られて、まいってるにゃ……」

頭を抱えた。今まで黙っていたピグナが微笑みながら


「ミチャンポ一の農家だとお伺いしていますが?」

「ああ、ペップのお友達の方ですかな。ロータムです。

 バカ娘がお世話になっております」

差し出してきたロータムの手を俺たちは交互に握り返す。

「親父、さっさと出て行かないと、国家内乱罪で収監するにゃよ」

「ペップたまには実家に帰って来いよ!」

ロータムは豪快に笑いながら出ていった。


「こっちも上手くいってるでしょ?」

ピグナが自慢げに言ってくる。

「う、うん。バムとファイナはどうなったんだよ……」

「ファイナちゃんは魔法使いすぎて、宿で寝込んでるにゃ。

 バムちゃんは付き添いだにゃー」

呑気に言ってきたペップに場所を聞いて二人でそこまで向かう。


宿の宿泊室の扉を開けると

バムが寝込んでいるファイナの額の汗を

タオルで拭いているところだった。

「あ、ゴルダブル様、お見事な戦いぶりでした」

「見てたの?」

「ええ、乱戦でしたから近くには寄れませんでしたが」


「全部、ピグナが操ってやったんだけどな」

ピグナは鼻高々で

「もうちょっとで、乗っ取り成功しそうだよー」

バムは真面目な顔をして黙り込んだ。

俺もその気持ちは分かるが、漁師連合国での

毒のような食べ物の実害も見てしまっている。


その話をバムにすると

「……うーん……見過ごしにはできませんね。

 どうすべきか」

「だよな。紛争を解決して、代表の権利だけ貰えると

 いいんだけどな、ピグナが言うには小国過ぎて

 合併しないと、国際料理連盟が認めないだろうとのことだ」


「そうだよー。ダメだろうねー」

ピグナの言葉にバムはまた考え込みながら、ファイナの額の汗をぬぐう。

ファイナの様子も尋ねるが、そちらは問題ないとの話だった。

明日には治るだろうとのことだ。

とりあえず今日はここに一泊することにした。

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