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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
ミチャンポ王国、漁師連合国の諍い

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50/200

マサカの街の入口までメイドに連れられて行くと

あの筋骨隆々とした老人が、金属のプレートメイルをつけて

同じような格好をしてそれぞれに武器を持った百人くらいの強そうな配下と共に

すでに待っていた。

「おお、来たか。君たちの力を借りねばならなくなった」


ピグナは微笑みながら

「ヌーングサーさん!任せてください!」

そう言って俺を見てくる。俺が軽く頭を下げると

ヌーングサーと呼ばれた老人が

「よし!貴様ら、漁師の意地をみせてやれ!」

そう大声で叫ぶと、待機していた男たちが口々に

怒号を上げて応える。


それをポケっと眺めていると北へ向けて進軍が始まった。

荒々しい男たちの中をピグナに手を引かれてついて行く。

「ヌーングサーには、ゴルダブルのこと

 魔法盾のスペシャリストって報告しといたから」

「そ、そう……大丈夫かな……」


ピグナから適当に励まされながら

山道を登っていくと、目前の道の間に来た時にはなかった

木柵が建てられていて、その後ろには

大量のハイキャッターたちが槍や弓を持って構えていた。

あそこで俺たちを迎撃するつもりらしい。


わりと本格的だなー。弓とか槍とか当たり所悪かったら

俺、死ぬんじゃないのか……と思いながら眺めていると

ピグナが俺を最前列へと押し出してその隣から

「ハイキャッターをぶっ殺せ!」

といきなり聞いたことのないような低い声で煽る。


さらにヌーングサーが

「陣を打ち崩せ!戦士たちよ!」

と命令を下すと、全員が突撃して言って当然最前列に居る俺も

押されるように前へと走らざる得なくなる。

木柵の隙間から矢の雨が放射されて

当然避けきれずに、何本も身体に当たる。


あ、死んだわ。と思ったが痛みだけで

身体を見ると、どうやら矢じりが丸められているらしい。

向こうも本気で殺す気はないようだ。

ちょっとホッとしながら、突撃に加わって陣の近くまで

走って行くと、槍が何本も突き出されてきて

当然、また避けきれずにあたりまくる。


「んぐっ……」

槍の先は丸まっているが、容赦なく突き出されてくるので

当たったら激痛が走った。

漁師たちが木柵に取りつき始めたなか

うずくまっていると、後ろまで駆けてきたピグナが

「あー軟弱だなぁ。まあいいかちょっと身体貸してよ」

と言った瞬間に、俺の身体は勝手に動き始めた。


文句を言う暇もなく、漁師たちと共に木柵を引き倒した後は

ハイキャッターたちとの大乱戦に巻き込まれる。

勝手に戦ってくれるのはいいんだが

操作がどうやら雑なようで、殴られまくるのはかなり辛い。

ムキムキのネコミミ男たちとボコりボコられを続けていると


「みなさん!避けてください!

 暗黒の精霊たちよ!かの者たちを闇の炎で焼き払え!

 ヴィソルム・ダヴ・バイ!」

というファイナの声がして、俺の操られている身体は

その声の方へと全力で駆けて行った。


ファイナを目視できる距離まで近づくのと同時に

あちらから飛んできた真黒な炎を俺は両手を広げて受ける。

当然、服は燃え尽きたが無傷である。

中には一応、黒い魔法で焼けないパンツを履いてきているので

全裸になることだけは避けられたが寒い。


その後も、容赦なく魔法を乱射してくるファイナの攻撃を

全て一人で受け続けていると、周囲で戦っている

ハイキャッターも漁師も、殴り合うのをやめて

俺たちを注視してきた。

そのうち、ファイナが魔法を撃つのをやめると

両陣営とも、ゆっくりとそれぞれの街の方角へと後退していく。


街へと帰った俺は、漁師たちの見る目が先ほどまで違うのを気づく。

ヌーングサーが近寄ってきて

「君が居なかったら今回の戦は危なかった!

 ぜひ、歓待させてくれ!」

と肩を組んできて、そのまま屋敷へと拉致されていった。

その後ろをピグナがほくそ笑みながらついてくる。

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