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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
ミチャンポ王国、漁師連合国の諍い

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漁師連合国へ

気付いたら寝ていて

「おっきるにゃー!」

というペップの大声で起こされる。

当然、隣にはバムは居なかった。

ああ、そうか、漁師連合国へと向かうんだったなと

寝袋から出て、ボーっとしていると


「もう八時だにゃ!みんな出発の準備はできてるにゃ!」

ペップから急かされながら

用意されていた朝食を食べて

そして旅装に着替える。

荷物を背負って部屋を出ると、残りの三人は廊下で待っていた。

バムのいつもの格好である。


「行きますわよ!我らの覇道は誰にも止められぬのです!」

というファイナの掛け声とともに、俺たちは宿を出ていく。

そのままペップの案内で

ミチャンポの街を南へと向かい、通行証を見せて

街の外へと出る。ペップは一応、逃亡している身なので

その場では顔を隠していた。


そして、山道を南へと向かっていく。

ペップは歩きながら、ネコミミを隠せる帽子を被り

尻尾を服の中へと入れる。

「うーちょっと窮屈だけどしょうがないにゃ」

「どんなところか知ってる人ー」

ピグナが全員に尋ねるが、一人もいない。


「魚の無駄遣いをしているということくらいしか

 知らないにゃ!」

「まあ、行ってみよう」

そう言いながら、俺はバムの顔を見ると

サッと横に逸らす。照れているようである。


まあなー一夜を共にしたからなー。

まったく手を出せなかったが、共にはしたからなー。

もう彼女のようなもんだよなー。

という風に無理やり思い込んでいると

前方から、荒々しい男たちが走ってくるのが見える。


銛をもって、よく日に焼けたマッチョな男たちは俺たちを見ると

「通行所!」

と低い声で、いきなり告げてきた。

ピグナがサッと出して見せると、ホッとした顔で頷いて

「全員、ハイキャッターじゃない。大丈夫だな。

 通って良し」


そう言って、サッと道を避けてくれる。

男たちが背後に遠ざかって見えなくなったところで

「あれは巡回警備兵だにゃ。どうやらもう領地に入り込んだらしいにゃ」

「ちゃんとした兵士じゃなかったな」

「だから言ったじゃない。不良の大規模抗争程度だって」

ピグナが楽しそうに言ってくる。


さらに山道を南へと下っていくと、景色が開けて

海沿いの巨大な街と、どこまでも広がっている海が見えてきた。

「お、おお……」

バムが感動した顔をする。ファイナもだ。

「あにゃ。海見たことないかにゃ?」

「ゴルダブルは、あるんでしょー?」

「あるわ。舐めんな」


大学の時、よく海沿いにドライブに行った。

俺たちは、とりあえず海沿いの巨大な街へと進んで行く。

とくに通行証を見られることも無く

その、柵の無い街へと俺たちは入っていく。

ピグナがキョロキョロと、辺りの活気がある市場を見回して


「あっちだな。この街の偉い人が住んでるところは」

と一人で勝手に大通りを歩いていく。

それを全員で追っていくと、街のど真ん中に

高い塀で囲まれた、大きな白い屋敷があるのが見えてくる。

その屋敷の門の前の衛兵に、ピグナは何かを見せながら

「面会希望。大事な話がある」


衛兵の一人は焦った顔で屋敷の中に入っていった。

「何を見せたんだ?」

「さあね。話したらわかるよ」

待っていると、先ほどの衛兵が帰ってきて、屋敷の中へと

俺たちは案内された。


屋敷の中の応接間に通されるとすぐに

「バルナングスの調査員と言うのは君たちかね?」

と言いながら、大柄な筋骨隆々とした老人が部屋の中に入ってくる。

禿げあがった頭は、真黒に焼けていて

健康的な感じである。そして威圧感が凄い。


俺たちの対面側の席に座った老人にピグナが

「我が国から警告です。ミチャンポ王国は

 大量破壊魔兵器を造って、この国を一気に攻め滅ぼそうとしています」

「つ、作ってな……」

文句を言おうとしたペップの口をバムが塞いで黙らせる。

俺も勝手なことを言うピグナに文句を言いたいが

今は得策ではなさそうだ。


その証拠に老人の顔はみるみる真っ赤になり

「なっ、なんだと……とうとうやりおったか……」

詳しく話も聞かずに、部屋をそのまま出ていった。

「よし、これで後は、両方の国の争いに

 首を突っ込めば……」

ピグナはニコニコしているが、俺とバムは気が気ではない。


「いや、全面戦争になるんじゃないか」

「そんなことないって、まあ見ててよ」

大丈夫だろうか。ファイナは話がよく分かっていないらしく

首を傾げている。

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