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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
ミチャンポ王国、漁師連合国の諍い

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てんやわんや

夕食後、二部屋に別れることになった。

ペップとピグナ組と、残りの三人である。

部屋に入るなりすぐにファイナが

「あ、あの……バムさん、ゴルダブル様……

 ご相談があります」

と頬を赤らめて言ってくる。


三人で窓際のテーブルに座ると

「わ、私も、バムさんと同じ格好をしたいのですが……」

「……?」「……??」

バムと二人で首を傾げていると

「ほ、ほらわたくし、洋服が似合いますでしょ?

 で、ですが、時にはそういうワイルドな格好も……」


いまいち何が言いたいのか分からない俺に

バムがアッと気づいた顔をして、笑い出す。そして

「ゴルダブル様、ファイナさんも抱きしめてあげてください」

「い、いいのか?」

バムが頷いたので、ファイナの手を取って

優しく抱きしめてあげると


「……」

俺に身体を預けて、ファイナは黙った。

あ、ちょっと今、生きててよかったと思ってるかもしれない。

バムに続いて、ファイナも抱きしめられるなんてどんな幸運だよ。

しばらく恍惚としていると、バムが

「そ、そろそろ良いのでは……?」


焦った顔でファイナに尋ねてくる。

「いえ、もう少し……」

「や、やはりゴルダブル様の事情も……」

「いえ、今だけはわたくしのために……」

「そ、そろそろ寝る時間ですよ?」

ファイナは食い下がるバムを無視するように

両目を閉じた。


しばらくファイナの柔らかい身体を抱きしめていると

バムがいきなり立ち上がって

「ファイナさん!お風呂に行きましょう!」

とむりやりファイナを俺から引き剥がして

外へと引っ張っていく。


代わりにピグナとペップがニヤニヤしながら入ってきた。

「愛されてるね~」

「二人同時とかずるいにゃ。いつか刺されるにゃよ?」

「い、いやそんなつもりは……」

ピグナはドンっとテーブルに酒瓶を置くと

「飲もう。飲んで腹を割って話そう」

「飲むにゃ。そして腹の内を曝け出すにゃ」


断われない雰囲気なので、仕方なく

二人に付き合って、チビチビと飲む。

「あーっ、おいしいにゃー!」

「うむ。味覚が狂ってないからね。美味しいよね」

異種族女子二人は、、早くもノリノリである。


結局、俺は聞く側にまわって

ほろ酔いで自分たちの話ばかりしだした二人に

絡まれまくることになる。

バムたちが部屋に戻ってくる頃には

悪乗りした二人から、ベッドに押し倒されて

体中をくすぐられている所だった。


バムは慌てて、俺とペップたちを引き離して

「とっ、隣の部屋で寝てください!」

と激怒しながら、部屋の外へと押し出していった。

ファイナは何故かいきなり俺の隣に寝転んで

「く、くすぐってください!」

と耳まで真っ赤になって言ってくる。


まだバムが慌てて

「ファ、ファイナさん!ダメですよ!」

と止めに入ってきて、もう何かよく分からないうちに

三人で慌てながら、てんやわんやで話し合い

俺は気づいたら、寝袋で寝ることになっていた。

そう、床で一人で寝袋で寝ることになっていたのだ……。


何となく釈然としない想いを抱きながら

真黒な室内の床で、とりあえず寝ることにする。

明日は、漁師連合国に行くはずだ。

よし、長い一日がようやく終わ……。

寝袋の中にむにゅっとした感触の身体が入ってきて

何者かの吐息が、首筋にかかる。


「きょ、今日だけは……一緒に……」

バムの声だ。俺はドキドキしながら

バムに抱き着かれたまま、その夜は一晩過ごした。

もちろん、何もできなかった。

明日は睡眠不足になりそうだ。


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