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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
ミチャンポ王国、漁師連合国の諍い

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40/200

南西へ

とにかく俺たちはミルバスの街から

南西に向かうべく、準備を始める。

マクネルファーも研究を一時中断して

それを手伝ってくれた。


地図を買い込み食料の作り置きを造り

さらに予備の食材も買って

武器や野営のための用具もそろえて

ようやく準備が終わったころには夜になっていた。


夕食を食べていると

「あー楽しかった」

ピグナがニコニコしながらのたまう。

「いや、お前、屋敷でゴロゴロして

 つまみ食いしてただけだろ」

「うん。でも悪魔センサーでみんなの奮闘ぶりは見てたから。

 気持ちは一緒だよねー」


文句を言うのも面倒そうなので黙って

みんなで夕食を終えて、就寝準備をして

それぞれの部屋で寝た。

そして翌朝の早朝、俺たちは

昨晩の準備物を、それぞれに手分けして

背負い……というか俺とバムが分けて背負い

当たり前のように手ぶらなファイナとピグナと四人で

新マクネルファー研究所から出発する。


見送りに外へと出てきたマクネルファーが

「気をつけてな。留守番はまかせておけ」

と右手を突き出して言ってくる。

「うん。やばかったら戻ってくる」

そう言って、俺たち四人は早朝のミルバスの街を

歩いていく。


ミルバスの街を抜けたころに

さっそく飽きた顔のピグナが

「ファイナ、移動魔法とかあるんじゃないの?ずっと歩き?」

と言ってきて、既にバムに肩車されているファイナが

何故か得意げに

「わたくしは、闇魔法のスペシャリストですわ!

 移動魔法などという地味なものは一切習得していませんからね」


「そ、そう……」

ピグナはがっくりと肩を落とす。

「意外と人間の身体って疲れやすいんだね」

愚痴りながらも、俺たちについて歩いてくる。


そのまま陽が沈むまで

南西へと続く道を歩いていき

山道の途中で野宿と言うことになった。

一応、脇に逸れて、人目につかない所にテントを張り

火を起こして、それを四人で囲んで

作り置きを出して、食べる。


ファイナは食べるとすぐにテントに入って

寝てしまった。

「ミチャンポ王国について、話したかったけど

 もう怠いなぁ。あたしも食べたら寝るからね」

ピグナは人間の身体に似せたのを後悔しているようだ。


バムがサンドイッチを頬張りながら

「ミチャンポは猫人たちの国だと聞いていますが」

「猫人?」

ピグナはダルそうにスープを飲みながら

「ネコミミと尻尾を持つ、猫から進化した人間の国だよ」

「……なにそれ?」


「獣人もいるんだよ。この世界にはね」

ピグナはそう言うと、テントの中へと入って行った。

「獣人?ネコミミと尻尾が人間に生えてるの?」

「そうだと聞いています。私は村で教えられただけですが」

「そ、そうか……」

よくわからないが明日にはつけそうなので

その時実際に見てみることにする。


ちなみに、テントはバムが寝ると定員オーバーで入れなかったので

俺は荷物と共に外で寝袋で寝ることになった。

比較的暖かいので、凍死はしないようだが

一時間ほど這いよるやぶ蚊どもを心頭滅却して耐えて

何とか、眠気が意識を落としてくれたので

寝入ることが出来た。


その夜、俺は物音で起きる

目を開けると、俺の隣に積まれていた

荷物を漁る女の子の姿が

「あ、おい、何してる……」

「あにゃ!にゃにゃにゃ!怪しいものじゃないにゃ!」

月明かりに照らされて焦りまくるその子の顔には

大きなネコミミが二つ生えていた。


すぐにテントの中から飛び出てきたバムが

一瞬で女の子を締め上げて

「何してたんですか?」

と耳元で厳しく尋ねると、その子は冷や汗をかきながら

「お、お腹がすいてにゃ……た、食べ物を……」

と必死に弁解し始めた。

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