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料理に興味が一切ない俺が、味覚が狂った異世界に転生した  作者: 弐屋 中二
脱走~バルナングス共和国編

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37/200

決断

表彰式まで間、俺たちは控室で待たされることになった。

バムは腕を組んで俯いて、何かを考え込んでいる。

周りに他人が居なくなったので

姿を現したピグナが

「あたしが居て良かったでしょ?」


ファイナは素直に頷いて

「良かったですわ!さすが悪魔ですわ!」

「で、あんたたちは何で浮かない顔をしてんの?」

ピグナは俺たちに近寄って

首を傾げて見てくる。


「ゴルダブル様、納得いきません」

「そうだな。やっぱり違うよな」

バムと俺は頷き合う。考えていることは同じなようだ。

「勝ったんだから、どうでもいいでしょ?

 悩むだけ無駄だよ」

ピグナは呆れた顔で俺たちを見ていた。


表彰式が始まって

俺たちは、偉そうなローブ姿の中年たちに

競技場の舞台の中心で囲まれる。

ちょび髭の太った威厳のある男が進み出てきて

周囲によく通る大声で


「チームゴルダブル!君たちは!過酷な料理大会を勝ち抜いて!

 ここに栄冠を得た!」

屈強な衛兵たちが大きな黄金で出来た優勝カップを

恭しくちょび髭男に渡してきて

「では、優勝カップを授与する!」

ちょび髭男がそう言った瞬間に、俺とバムが声を合わせ



「辞退します!」



と頭を思いっきり下げた。

しばらく全員が固まり

ファイナが、真っ青な顔で

「じ、辞退するんですの?本気ですか?」

俺とバムは同時に頷いて

ファイナの手を引っ張って

舞台から去って行く。


競技場の外まで、そのまま出て

三人で無言のまま、新マクネルファー研究所へと

歩いて帰っていき

研究所の中へと入ると、姿を現したピグナが

「ちょ、ちょっと!頭おかしいの!?

 せっかくあたしの努力が!」

さっそく詰め寄ってくる。


「あんな不正で優勝しても、意味がありません」

バムが毅然と言い、俺も頷いた。

ファイナも渋々頷く。

「……あのさぁ、相手も悪魔使ってたでしょ?

 窯の前に居て、必死に火を消してたのを

 あたしがボコったよね?」


呆れ顔のピグナに

「だとしても、あれはやり過ぎです」

バムは真面目な顔で言ってさらに

「あなたの仕事はこれで終わりです。

 冥界に帰ってください」

ピグナは不満気に黙り込んだ。


その日の夕食にピグナは居なかった。

四人で食べていると、事情を聞いたマクネルファーが

「優勝辞退とは大きく出たが、

 これからどうするのかね?ワールドイートタワーに

 向かうのが目的なんじゃろ?優勝を重ねなければ

 あそこにはいけんぞ?」


バムは俯きながら

「何とかします」

「優勝辞退したからには、もう大会エントリーは

 受け付けてもらえんじゃろうし、

 このままじゃと、食王への道が閉ざされるぞ?」

ファイナが決意した顔でいきなり


「私とバムさんと、ゴルダブル様の三人で

 世界を支配しましょう!そして圧倒的な権力で

 タワーまで向かうのです」

と言ってくるが、全員苦笑いしか浮かばない。

四人で黙って食べていると

ピグナがフラリと食堂に入ってきた。


「あたし、あんたたちに、ずっとついて行くことにしたから」


そして、いきなり衝撃的な発言をしてくる。

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