合法的に譲渡
全身痣だらけの、足がガクガク震えている
男の案内で、俺たちは建物の地下室へと降りていく。
食料や、ワインなどの樽が並べられている
冷えた空気の中を進むと、その端に猿轡をされたファイナが
縛られて転がっていた。
俺たちが縄を解くとファイナはホッとした顔で
「必ず、来てくれると思っていましたわ!」
バムは真面目な顔で
怯え切った男を指さすと
「この男が、恐らく主犯です。
どうしたいですか?」
ファイナはしばらく考えて
「そうですね。冥界に送るのが良いか……。
悪魔の奴隷にするのも良いですね」
恐ろしいことを言い出した。男は腫れあがった顔で
「ひー。で、出来心だったんですぅ……」
助命を乞うてくる。
「ゆ、許してやらないか?」
俺が皆を見回して言う。マクネルファーが
思いついた顔で
「おい、お主、確か魔法ギルドの長ラスネルじゃったかな。
この建物貰っても良いか?」
「なっ、なんでも貰ってください!命だけはー!」
「貰ってどうするんですの?」
ファイナは首を傾げて尋ねる。
「ふふ、考えがあるんじゃよ」
マクネルファーの眼鏡がキラリと光った。
その後、ミルバスの魔法ギルドは
本日をもって解散ということになり
降伏した魔法使いたちを全員、建物から
追い出した俺たちは、マクネルファーの指示通り
彼の焼け焦げた家の、地下室から
実験機材を次々に、元魔法ギルドへと運び込んでいく。
もう深夜である。勘弁してくれと俺が思っていると
マクネルファーが笑いながら
「ああ、すまんかったな。
あとはわしとバムさんでするから
おぬしはファイナさんと宿に戻り、寝ていてくれ」
取り戻したプラグナ二ウムの束を
建物の奥へと背負っていった。
ファイナは寝れないらしく、バム達と居ると言ったので
俺は、一人宿に戻る。ちなみに服は元魔法ギルド内に
あったローブを一着貰った。
宿に戻り、宿泊室のベッドに倒れ込むと
気を失うように眠ってしまった。
起きると周りの景色が違うのに気づく。
なんか、部屋が広い。
上半身を起こして辺りを見回していると
バムが料理をもって部屋に入ってきて
「ゴルダブル様、中々起きないから、私が連れてきました」
ニコニコとして、ベッド脇のテーブルに
料理を並べてくる。
「ここ、元魔法ギルドだよな?」
「はい。もう新マクネルファー研究所になりましたけど」
「……役人とか来なかった?」
「いえ、全然。街のニュースにはなってるみたいで
外は見物人だらけですので、今日は出ない方が
良いかもしれません」
「……」
要するに、ファイナを誘拐をして
俺たちにプラグナ二ウムを採掘させ、
邪に手に入れようとしたミルバスの魔法ギルドが
俺たちの逆襲にあってあっさりと壊滅した後に
さらに俺たちが、その本拠地をを
乗っ取ってしまったというわけらしい。
「いや、大丈夫?捕まるんじゃない?」
「大丈夫ですよー。この土地と建物の権利書は
今日の朝、昨日のあのラスネルから、合法的に譲渡して貰いましたし」
ラスネルというと、ボコボコにされた赤毛の彼の事である。
「う、うん……」
ニコニコしているバムから目を逸らしながら俺は
彼女だけは絶対に怒らせないようにしようと心に誓った。




