機械たちの葬地へ
飛行バイクと天使たちの飛行で
南へと飛び始める。
親子の竜は寝ているので
骸骨たちに後を頼んだ。
今度はマクネルファーの後ろに乗っている。
彼は安全運転なので
落ち着いて、次第に暮れていく
景色を眺められる。
眼下にはしばらく草原地帯が広がり
それから不気味な腐った木々を持つ
沼地になり、さらに南へと下ると
不気味な塔が幾つも突き出している
深い森が広がりだした。
「なんじゃろな……あの塔……」
「気になる……」
とは言え、機械たちの墓は
もっと南下しなければならない。
事情を知っているキクカは別の飛行バイクで
ペップの後ろに掴まって上機嫌そうである。
夕暮れに照らされながら
高い山に囲まれた草木の少ない盆地へと
俺たちは次々に着地していく。
キクカは盆地の遠くの奥まった場所にある
狭い谷の入り口を指し示して
「あそこだ。行こう」
スタスタと歩き出した。
俺たちも殺風景な盆地を見回しながら続く。
「虫も鳥も居ないにゃ」
「気味が悪いほど静かだね」
「なあなあ、キクカさんや
沼地の近くの森にある塔は何なのかね?」
マクネルファーがキクカの隣に並んで
歩きながら尋ねる。
「ああ、あそこは、冥界から派遣されてきた
従業員たちの宿舎だ。居心地の良さを第一に設計した。
ちなみに沼地もそうだな、非定型の従業員たちが
今の時間は寝ている」
「非定型ってなんだにゃ?」
「形を持たぬ冥界の住人達だ。
ピグナに聞いた方がよくわかるはず」
キクカに顔を向けられたピグナが
「もしかして、泥龍とか、ファイアオーガとかも
雇ってるの?」
キクカは笑いながら
「さすがだ、沼地には泥龍が五体寝ている。
ファイアオーガは、西の火葬地帯に居るな」
「どんな姿なのですか?」
「泥龍は、泥で出来た龍で、体長百メートルくらいあるね。
空を浮いて移動して殆どの魔法とか武器じゃ倒せないよ。警備用?」
キクカは黙って頷く。
「ファイアオーガは、全身が炎で出来ている
オーガで、トレーナーパイセンたちと同じような
魔法生物の一種だよ。こっちは言ってたように火葬用だよね」
「そうだな。彼らが居れば油や火種が必要ない」
キクカは頷いて、辿り着いた
狭い谷の入口へと俺たちと入っていく。
左右を高く赤茶けた土で出来た谷に囲まれた
狭い道を歩いていく。
十五分ほど進んでいくと
一気に開けた場所に出た。
そこには、大量の工場のような建物が
立ち並んでいて、その中心には五階建ての
古びたビルが建っていた。
立ち並んだ工場の入り口には、帝国兵らしき
制服を着た男女が、荷車を押して出たり入ったりしていて
さらに遠くには、巨大な飛行船が着陸してきている。
キクカが俺たちを見回して
「ここ、飛行経路複雑。なので
一般用通路から歩いてもらった」
俺たちに説明してくる。
「葬儀はどうなってるにゃ?」
「中央の神殿で行っている」
キクカは古びたビルを指さしてくる。