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山の上での昼飯

中庭へと次々に降り立った俺たちは

飛行バイクへと乗り込んでいく。

俺たちを何とか運びきったパシーは

ペップからむりやりバイクの後部へと股がらせられて

そしてピグナは自分の後ろにキクカを乗せて

飛行バイクは一斉に、空中へと浮かび上がった。

眼下では、城の各所で

様々な形態の幽霊たちが見上げている。


俺が乗る飛行バイクを操縦しているファイナが

「ワールドイートタワーで慣れてしまいましたけど

 ……普通に来たら、怖かったでしょうね」

「だろうな……」

もはや何にも感じないが。


ピグナとキクカが乗る飛行バイクが先導する形で

青空を俺たちは一塊になって進んでいく。

俺とファイナは最後尾だ。

「競争はあとにしないといけませんわね。

 今はキクカさんを楽しませてあげないと」

眼下には延々と大小さまざまな墓が広がっている。

山の上にも墓が並び、確かに依然聞いたように

各国から、相当な数の遺体を引き受けているようだ。

「どこに行くか聞いてる?」

「うふふ。ついてのお楽しみですよ」

ファイナはそう言って、笑った。


一時間経たないくらいで、広大な墓石地帯を抜けて

そして高い山脈へとたどり着いた。

先頭のピグナ達は、晴れた山脈の上目指して

高度をグングンあげていく。

そして山脈の山々のひとつ

見晴らしの良い頂上へとピグナの飛行バイクは降りて行った。

他の飛行バイクも続いて、次々に着陸していく。


そこにはすでにテントが張られていて

洋服を着たバムが一人で飯盒で飯を炊いて湯を沸かし

料理をしていた。

俺たちが近寄っていくと

「準備は終わらせておきましたよ」

いきなりファイナが少し怒った顔で

「……みんなでやるって言ってましたわよね?」

「いいじゃないですか。少し、私も楽しみたくて」

「むー……仕方ありませんわね」

ファイナは苦い顔で了承した。


皆でピクニックシートを敷いて

和気あいあいと、少し早めに昼食を食べ始める。

キクカは最初は黙っていたが

次第に俺たちの近況や、ワールドイートタワー内での

出来事を聞いてきた。


俺がマクネルファーの居た墓石の街の話をすると

「……神話の話で、似たような場所を

 聞いたことある」

他のフロアの話も続けて、尋ねてみると

キクカは考え込んで


「それは……殆ど神話の舞台だ。

 実在したのか……ノルノルに今度聞いてみよう」


「神話の舞台じゃったんか……」

「わたくし歴史には疎いもので……」

「私は当然知らないにゃ」

パシーは何か言いかけて、背後からニコニコしたバムに

口をふさがれて黙った。

「バムは、知ってたんじゃないか?」

バムは微笑んで

「全て、知ってしまったら、きっと楽しくなくなりますよ」

「あ、バムちゃん逃げたにゃ」

「それほど重要なことではありませんし

 いずれ知る必要がある人が知ればいいと思います」

「くー超上からですわね……負けませんわよ」

何故かファイナが、悔しそうに言うと

いきなりキクカが爆笑しだした。


皆で驚いて見つめると

「楽しい。こんなに楽しいのは……」

と言ってまた笑い出した。

みんな察して、それからは和やかになって

雑談を続けたり、ご飯を食べたりして

のんびりとした時間が過ぎていく。


こっそり聞いてみたが、バムは昨夜のペップの

連れ去りはあの後、あっさりと眠らせて何事も無かったらしい。

さすが天界の主、というと首を横に振って

「大したことはありませんよ。

 私も冥王も、食王には適いませんし」

「食王との決戦は避けられないよな……」

「そうですね。私もこうしてる間に指示を出しています」

バムは真剣な顔で頷く。


「どんな戦いをするの?」

「それもまだ……」

言えないようだ。

今はやはりやはり、先のことは忘れて楽しむことにする。

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