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冥界からの使者

※昨夜二十一時に、誤って他作品の最新話を投稿してしまいました。

 読まれた方々に混乱を招いてしまって、申し訳ありません。

 すでに移動してこちらからは削除済みです。

 改めて、よろしくお願いします。






燃え盛る小屋へと全員で近づいていく。

中からは、陽気な楽団の音楽が流れてくる。

「な、なんだよここ……パシー起こして尋ねてみようか?」

悪魔であるピグナが困惑するような状況である。

ペップは首を横に振り

「どうせ、ポンコツだし知らないにゃ」

「むしろ、寝かせといた方がいいかもしれぞい」

「……わたくしが扉を叩きますわ」

ファイナが意を決して、進み出て

小屋の扉を叩く。


中からは

「はぁーい、今いきますわー」

と中年女性の声がして

熱が無く燃えている扉が開かれる。

その相手を見たピグナが口を手で塞いで

即座に膝をついて頭を垂れた。


中からは、捩じれた真黒な角が二本

頭から生えているピンク色の長髪の

目鼻立ちの涼し気な綺麗な女性が出てきた。

真っ白なショートドレスの胸元は

はちきれんばかりである。

露出している手足も白くて異様に美しい。


女性は俺を見つめると

「あら、ようやくですわね。

 みんな悪いけど、お役御免ですよー」

女性は嬉しげにそう言うと

燃え盛る小屋から出てきて

右手の指を鳴らした、次の瞬間には

女性の背後の小屋は

瞬く間に消し炭になり

残された微かな灰が、風に飛ばされていく。


ファイナが女性の顔を見つめて

「あの……どこかで……」

と尋ねようとして、慌てたピグナから

服の裾を引っ張られだした。

女性は笑いながら

「ファイナ・エルディーンさんですか?」

「はい、そうですけど……」

「冥界ではあなた、とても評判が高いんですよ?

 知っていらっしゃる?」

「そ、そうなのですか?」


女性はふふと上品に笑い

「夫もあなたのことを褒めていましたわ。

 その歳で我が小指を召喚するなんて、大したものだと」

「指……夫……?」

ピグナが必死に後ろからファイナを

下がらせようとしていて

それを煩わしげに見つめた女性は

「下がれ!下賤なものが!」

いきなり一喝した。


途端にピグナは二十メートルほど

座ったまま、必死に後退して

そしてこちらを向いて土下座のような

態勢で固まった。

仲間たち全員で唖然としていると

女性は深く頭を下げながら


「冥王ガスパールグルジャーナの正夫人である

 獄炎王のマーズラーヴァと申します。

 皆様、以降お見知りおきを」


ペップが首を傾げながら

「つまり、あんたは冥王の第一の奥さんということかにゃ?

 もしかして、相当偉い大悪魔にゃのか?」

女性は楽し気に笑いながら

「ふふ、そうでごさいますよ。

 夫が最近気を揉んでおりましてね、各界の英傑が

 揃っているのに、冥界からの従者だけが

 非常に格が低い。それで私に皆様へ

 ご挨拶をせよと」

マクネルファーが難しい顔をして

「つまり、挨拶するためだけに

 ここに現れたんかの?」

「いえいえ、手土産にこのふざけたフロアを

 丸々焼き尽くしておきました。

 次の階への道も、こじ開けましたので

 皆様、どうぞこちらへ」

女性は上品な笑みを浮かべて

俺たちが歩いてきたのと反対側の

方向を指さした。


燃え盛る世界を上機嫌に歩いていく

抜群のプロポーションの背中を見つめながら

少し距離をとってついていく。

ピグナはさらに俺たちの後ろを

二十メートルほど離れている。

マーズラーヴァは美しい笑みを浮かべて振り返り


「バムスェル様がいらっしゃいませんね。

 夫の話では、ご一行に必ず付いて回っているとの

 ことでしたが」


「バムスェルって誰だにゃ?」

「バムさんにお名前が似ていますね……」

「バムと何か関係があるんですか?」

気になっ俺が尋ねると、何かを気付いた顔の女性は背中を向けて

「あら、余計な事だったかしら」

と鼻歌を歌いながら、また先を進みだした。


熱が無いまま燃え盛る世界を

女性の案内で進んでいくと

十数キロにわたる森らしき場所が、

すべて燃えて消し炭になったような景色が広がり

かなり遠くに大穴が開いているのが見える。

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