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捧げもの

「あと二つ疑問があるんだけど、尋ねていいかな?」

ピグナは怖い顔でマクネルファーに詰め寄る。

「もっ、もちろんじゃ……」

「一つ目は、あたしたちを探そうとはしなかったの?」

「……当然、機械人形たちに、この世界を探索させておった。

 ただ、広大でのう……帰ってこなかった探索部隊も居るのよ」

「二つ目は、千年の間に、この世界から出るヒントは見つからなかったの?」

「……それも機械人形たちにあらゆる可能性を

 探らせたが、見つからんかったわ……」

マクネルファーはうな垂れる。


とりあえず、憔悴したマクネルファーの様子は

ファイナに見てもらうことにして

残りの三人で聖堂の中を探索することにした。

まずはマクネルファーの言う、調理場を探しに行く。

聖堂の脇の扉を開けると、廊下があり

そこから続く扉を開くと、すぐに調理場が見つかった。

確かに、最初の"一階"の調理場と構造はよく似ていた。

冷蔵庫や貯蔵庫がある、朽ちていない調理場が

綺麗に佇んでいる。


「……ああ、そっか。分かった」

ピグナは頷いて、調理場の中を探し出した。

「何がわかったにゃ?」

ペップは俺を見てくるが、当然俺にも分からない。

冷蔵庫や貯蔵庫の中をピグナは確認すると

「たぶん、すぐにこのフロアから出られるよ」

とニカッと笑った。


聖堂へと戻ると、マクネルファーは

長椅子に横たわって寝ていた。

ファイナに調理場の様子を伝えて

そして、ピグナに何がわかったのか尋ねると

「えっとね、昨日の霊魂に捧げた食事と

 この調理場付きの聖堂がヒントだよ」

「あっ、そうか……」

俺と共にペップとファイナも理解したようだ。


「昼食ついでに、作ってしまうにゃ?」

「そうですわね。次のフロアにも行きたいですし」

「そうしようか。神事への捧げものなら

 あたしが得意だよ。神のふりした大悪魔に

 付き合わされて、色んな小間使いやらされてたから……」

ピグナがそう言って、自分でフッと悲しそうな顔をした。

ペップがその肩を叩いて

「大変だったにゃ。でも今は前に進むだけだにゃ」

「そうだね。さっそく始めよう」


俺たちは調理場へと向かい

器具も食材も全て揃っているその場所で

ピグナの指示に従って、神に捧げる食事を作り始めた。

そうなのである。聖堂、そして大木に捧げた

死者への供物、さらに料理関係の設題。

それらを合わせると、神への捧げものを作れという

答えが自然と導き出される。


「聖堂の雰囲気的に、サイデリア教への捧げものだと思う」

ピグナは、貯蔵庫から肉や野菜を取り出しては

俺たちに焼き方や、盛り付け方をテキパキと指示していく。

一時間半ほどで、俺たちが食べる二種類の味の分も含めて

全て出来上がり、そして食べる前に

とりあえず、供えてみようということで

四人で大皿をうやうやしく持って

廊下を歩いていき、聖堂へと入る。


祭壇に大皿をピグナの言う通りの位置に

並べていく。そして俺たちは座席が並んでいる場所まで下がり

祭壇の奥にある両手を広げて微笑んでいる女神像に向けて

一人残ったピグナが両腕を組んで跪き

「大主ファイガナリス・ファムネル・サイデリア様よ。

 大地の恵みを受け取り給え……」

難しい顔をして頭を下げると

いきなり、聖堂中のステンドグラスから

まばゆい光が差し込んできた。


「も、もしかして晴れたのか?」

「そうみたいだね。外に出てみる?」

「いや、待つにゃ。罠の可能性があるにゃ」

「階段もこんな感じでしたからね」

四人でちょっと考えて、マクネルファーを起こして

昼食を食べてから、準備をして

外に出てみようということにした。

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