感想
とりあえず殆ど脱ぐ。
下には例の魔法大会の時に着ていた
魔法で消滅しない黒パンツを穿いているだけだ。
ピグナがニヤニヤしながら
「どうしよっかなーあー楽しいかも……」
嬉しそうに荷物の中から、何種類もの調味料を取り出す。
「な、なあ、ここは戦略的にいこう。
マクネルファーの枯れた体が辛いものと合っていたのなら
俺の若い体なら……」
「そうだね!甘さの割合を増やそう!」
辛い調味料で、全身ヒリヒリになりたくないので
言ってみたが、通じたようで良かった。
ピグナはノリノリで甘い調味料と辛い調味料
そして刺激物と酒を混ぜ合わせ始めた。
結局、塗られると痛そうである。辛い。
チラチラとファイナもペップの介抱をしながら
こちらを見ているが
女子二人で悪乗りされるのも辛いので
とりあえず、見ていないふりをする。
そして、出来上がった紫色の液体を
容赦なく俺の身体に塗り付け始めた。
「お、おお……刺激が少ない」
「ゴルダブルのために頑張って混ぜたんだ。
いいでしょ?」
「ありがたいな……」
感謝しながら座って塗りたくられていると
堪えきれなくなったファイナが駆け寄ってきて
真っ赤な顔をして隣で黙って塗り始めた。
ピグナはニヤニヤしている。
ペップが寝ているのでニヤニヤし放題らしい。
十分後。パンツの表面にまで
紫色の液体を塗られた俺は立ちあがる。
すかさず二人が足の太ももの裏にまで塗ってきた。
「よし、できたね」
「……」
ピグナは満足そうに額の汗をぬぐい
ファイナは顔を赤らめている。
「よ、よし、じゃあ行ってくる」
俺はそのまま城門の前まで行って
グニャグニャと塔を曲げて
こちらを見ているような城へ向かって
「味付けしたぞ!食べてみろ!」
と宣言する。
その瞬間、左右に開いた城門の間から
真っ赤な舌が伸びてきて、身体に絡まり
そして、俺は城内へと連れ去られた。
気付くと
巨大な食堂の中心に置いてある
白いテーブルクロスを敷かれた丸テーブルの上に横に寝かされていた。
辺りを見回すと、透明な正装をした男女が
十人ほど椅子に座っている。
俺を見つめると、一斉に透明なフォークと
ナイフを取り出して、それを体中の各部位に
突きさして、透明な肉片を俺の身体から
取り出して食べ始めた。
透明なフォークやナイフで
透明な肉片が切り取られるごとに
言いようのない快感と痛みが身体を突き抜けて
気付いたら俺は気絶していた。
次に気付いた時には
城門の外で倒れていた。ファイナとピグナが
俺を囲んでいる。
「あ、起きたぁ?ダメだったみたい……」
「城の感想をそのまま言いますわね。
"メイン料理だと思ったら、生ごみだった
殺す気か"……ですって」
「……生ごみ……」
マクネルファーより遥かに不味かったらしい。
何がいけなかったのかはわからない。
「しかし殺す気かって酷いな……」
「あ、あたしが城だったらそんなこと言わなかったのに」
「わ、わたくしでも言いませんわ……むしろい美味しく……」
俺に詰め寄ってきた頬を赤らめた二人の間から
「エッチなのはいげないにゃああああ……」
ヌッと怖い顔のペップが出てきた。
その後、ファイナとピグナに混ざり
何故か俺までパンツ一丁で正座させられて
説教されつつ、真面目に状況説明をしていると
立ったまま、こちら見ているペップが理解したように
「つまり、このままだと
裸の私たちにゴルダブルが調味料を塗るという
展開になるにゃ……」
「わ、わたくしはいいですけど……」
「もちろんあたしもいくらでも……」
ペップは正座している二人をキッとひと睨みして
黙らせ、しばらく立ったまま黙考すると
意を決したように
「もうこれは完膚なきまでに破壊するべきだにゃ。
こんなエッチな建物が
この世に存在すること自体が許されないにゃ」
真剣な顔でそう言い放った。