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再探索

その日は

紫色になった器具などを洗ったりした後は

調理場内にテントを張って泊まった。

静かに全員で夕食を食べてから

もちろん俺はテントの外で寝袋である。

しかし、いったい何なんだ。

魔界の食べ物を食べさせると

風船のように破裂した巨竜

つまり、張りぼてってことだろうか。

食王の嫌がらせとか?

考えるほどに分からないので

もう寝ようと瞳を閉じて眠り込んだ。


翌朝。とはいっても外は夕焼けのままだが

起きだしてきた全員で準備して

再び、下への階段を下りていく。

「三日ほど、無駄にしたのう」

「そういうことになるね。

 ただ、悔やんでも仕方ないよ。

 突破する鍵を見つけないと」


階段を降り切って青空の中に

透明な床が延々と続いている世界へと

再び戻ってくる。

「悪魔センサーでもう一回調べてみるよ」

ピグナはそう言って、今度は階段から見て

右方向を指さして

「十キロ先に何かあるね。前と同じで

 よく分からないけど」

「あの……ちょっとよろしいでしょうか……」


恐る恐る言ってきたファイナを皆で見つめる。

「それ、罠なのでは?」

「どういうことじゃ?」

「わたくしの勘ですけど、ピグナさんの様に

 そういうセンサーを持つ仲間がいる場合に

 延々と時間を潰させるための

 罠なのではありませんか?」

マクネルファーが腕を組んで

「つまり……また、破裂したりすると?」

「そんな気がします。まったく違う角度から

 物事を見ないと、突破できないのではありませんか?」

「例えば、どんなことだにゃ?」

「この世界には太陽がありませんわよね。

 なのに明かるいのです。おかしいと思いませんか?」

「たしかに……」

俺もそれには気づいていた。

「それが答えの何に繋がっているのかはわかりませんが

 同じように、おかしなところを探していけば

 何かわかるかもしれません」


「確かにファイナちゃんの言うことには一理あるね。

 あたしも、何となく変だと思ってたんだ」

ピグナも同意したので

どうするか、その場で話し合うことにする。

「バラバラに離れると、戻ってこれん可能性があるのう」

「私が探索に行ってこようかにゃ?

 ハイキャッター拳を駆使すれば短時間で可能だにゃ」

「それはいいかもな」

「でも、超人的な力は避けた方がいいかもね」

「そうですわね、昨日と同じ結果になる可能性があります」


色々とアイデアを出していると、ファイナが手を挙げて

「あの、ゴルダブル様が決めるべきだと

 思います。皆が集まったのも、この旅の発端も

 すべてゴルダブル様です」

「確かにそうじゃ」

「そうだにゃ。ゴルダブルが居なかったら

 こんな面白い体験はできなかったにゃ」

ピグナも真剣に頷く。

「俺が考えて決めろと?」

「考えるというより、感じたことを教えてください」

ファイナはいつになく真剣である。


俺は辺りをしばらく見回して、太陽のない空を見上げ

そして透明な板の下のどこまでも

続いていく青空を見下ろして、なんとなく

「あっち……じゃないかなぁ……」

と階段から左手側を指さした。

マクネルファーがそちらを見つめて

「ああ、そういうことか。雲の形が変じゃ」

そうなのだ、よく見ると、菓子パンの様に捩れた形の雲が

一つ、浮かんでいる。他の方角の雲はおかしなところはない。


全員を見ると頷いて、迷わずにそちらの方向へと

まっすぐに進んでいくことになった。

ちなみに話し合って、少なくともこのフロアでは

ピグナの悪魔パワーと加えてファイナの召喚魔法は

使わないことにした。

また使うとろくなことが起こらなさそうという

全員の意見が一致したからだ。


それから時折休憩を挟みながら

延々とねじれた雲の方角へと歩いていく。

いつまで経っても、青空と透明な床だけで

何も見えてこないが、ここは堪えて

何かあると信じながら進む。

そのまま一度、テントを張って宿泊して

そしてさらに半日歩き続けると


遠くに幾つもの高い塔を持つ巨大な石造りの城が見えてきた。

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