表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/200

次の審査員

地下へと伸びる階段を下りていく。

固めの土でできた周囲の壁を見回しながら

階段を慎重に進んでいくと

いきなり、青空の中へと出た。

足元には延々と透明な床が広がっているようで

歩いて行ける。


「こりゃまた、とんでもないところに来たもんじゃな……」

マクネルファーが上下左右を見回しながら言う。

「ちょっと待ってね、悪魔パワーで

 床の範囲くらいは分かると思うから」

ピグナが両目を閉じて、しばらく集中した後に

「ここから、三百六十度、八万キロに渡って

 透明な床があるね。こっちの方向には

 五キロ先に、建築物があるみたい」

「どんな建物なのかにゃ?」

「いや、そこまでは分かんなかったよ。

 妨害なのか、イメージが薄れてて」


とりあえずそこまで歩くことにした。

妨害するものが一切なく

直線距離でいけるので

たどり着くのに、それほど時間はかからなかった。

そこには、直系数百メートルほどありそうな巨大な穴と

それを囲って覆う太い鉄格子が聳え立っていた。


「なんだにゃ、これ……」

「わかんないね。どうする?

 ここで休憩する?そろそろ夕食の時間だし」

「そうしましょう。疲れましたわ」

近くにテントを張って、俺たちは夕食の準備を始める。

「足元が透明な床なのが慣れんのう」

「でも、割れて落ちることはなさそうだよ。

 相当に強度な素材じゃないかな」

「わたくしの魔法で実験してみますか?」

「私の気弾でもいいにゃよ?」

「いやいやいやいや、止めてくれ……わしは

 ここから下に落ちて、死にたくはないぞい」

炊飯の煙が辺りに漂い始めて

皆で力を抜いて、雑談しながら夕食の準備をしていると

いきなり


ゴゴゴゴゴゴゴゴ……。


という大きな地鳴りのような音が

透明な床の下から響いてきて

巨大な何かが、俺たち目指して飛んできた。

よくみると、苔むした異常に大きな翼をはばたかせたドラゴンのようである。

そのドラゴンは、小さな島ほどもありそうな

竜の顔をスポッと巨大な穴に入れると

鼻息荒く


「飯をくれ!めーしーをーくーれー!」


大口を開けて俺たちに言ってきて

同時にテントも用意していた夕食も

さらに俺たち自身も、その言葉を吐いた風圧で

吹き飛ばされていく。

「ハイキャッター拳、七の章!

 風渡りスイミングだにゃ!」

ペップは、風圧の中を泳ぐように移動してきて

五人全員を捕まえると、無難に着地した。


呆然と吹き飛ばされた荷物類と

竜の巨大な顔を見回していると

「すまん……毎回、飛ばしてしまう……」

申し訳なさそうに、巨竜が呟いてきた。

呟き声でも、かなりでかい。


「私がいたからにゃんとかにゃったにゃ。

 以降気をつけるように!」

ペップから指を差されて怒られて

巨竜が申し訳なさそうに、苔むした瞼の

両目を伏せるのがシュールだなぁ……と

見上げていると

気を取り直した顔のピグナが

巨竜の顔に近づいていって

「あんたが、次の審査員なんだね?」

と尋ねると、巨竜はニカッと笑って

ゆっくりと頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ