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爆発炎上

呆然と座席に座っていると

興奮した顔のファイナが

「すごいですわ!こんな大きな機械人形に

 私たち乗っているのですね!」

「じいさん!この機械で世界征服できるにゃ!」

「はっはっは!そうじゃろ!余裕じゃな!」

ピグナが小声で

「興奮してわけわかんなくなってるよ。

 どこかで機体捨てた方がいいんだけど……」

「だな……」


「大変なことをしてしまいましたね……」


「バムさん!?」

「バムちゃんだにゃ」

「おお、バムさんもわしの雄姿をみにきたんかの?」

いつもの格好のバムは首を横に振り

「いえ、今すぐにこの機械から降りた方が良いです。

 急がないと帝国のドラゴン空挺団に捕獲されますよ」

モニターを見た。


確かに前方から何か大量の機影が迫ってきている。

「赤外線モニターですから、夜間ですがよく見えるでしょう?」

「ま、まだじゃ!まだマクネルファー砲がある!」

マクネルファーは赤いボタンを押そうとするが

いきなり身体が固まる。

「だめです。皆さんにはここでこの機械から降りてもらいます」


「なっ、なんと!嫌じゃ!マクネルファー号を

 捨ててなど行けぬ!」

「そうですわ!この勢いで世界征服するのです!」

「そうだにゃ!世界のエッチを滅ぼ……ぐー……」

いきなり三人とも気絶したように首をうな垂れる。


バムは俺とピグナを見て

「ゴルダブル様は二人、ピグナさんは軽いファイナさんを抱えて下さい」

と言いながら、ロボットの目のあたりを内側から

指さすと、いきなり入ってきたときの様に

右目が開いて、外から猛烈な風が吹き込んでくる。


「飛び降ります!急いで!」

ピグナは頷いて躊躇することなくファイナを抱えて

外へと飛び降りていく。

俺もヤケクソ気味に、マクネルファーとペップを

両脇に抱えて、外へと飛び降りた。


夜中の真っ暗闇へと落ちていく。

ほぼ同時に、頭上で爆発音が鳴り始めた。

見上げると乗っていた巨大ロボットが、あらゆる角度から

火球のようなもので激しい攻撃を受けている。

俺自身は少しずつ、落下速度が落ちていき

そしてとうとう空中をふわふわと浮いている

状態になった。

そのまま真下の森の木々の中へと降りていく。


抱えていた二人を地面に降ろしていると

上空ではロボットが激しく爆発炎上していて

夜中の森の中が明るく照らされている。

ピグナがファイナを背負って駆けてきて

「あぶなかったね……」

「間一髪だなぁ……死んでたかも」

「ゴルダブル様と、仮初の身体である

 ピグナさん以外は死んでいたでしょうね」

いつの間にか隣に立っていたバムが

上空を見上げながらそう言ってきた。


「バムちゃん、その……ありがとう。

 ほんとならあたしが悪魔センサーでさ……」

バムはニッコリと微笑んで

「強いものが弱いものを助ける。

 それが倫理ですよ。人の道です」

「……いや、その言葉なんか棘が無い!?

 まるであたしが役不足みたいな……。

 それにあたしは人じゃなくて悪魔だし、バムちゃん神でしょ多分」

バムは笑いながらスッと消えた。


「も、もしかしてバムちゃん、あたしに嫉妬してるんじゃ……」

「なんでだ?」

「ゴルダブルの近くにずっといるから。それであんな皮肉を」

「……いや、今は考えるのよそう。

 ここどの辺りだ?」

「ちょっと待ってよ。悪魔センサーで探知するから」

ピグナはしばらく両目を閉じて集中する。


その間に俺は荷物の中からカンテラを取り出して

マッチを擦って火をつけた。

これで頭上の爆発の光が消えても問題ない。

そして三人を揺さぶって起こし始める。

「う、うーん」「あ、にゃ……エッチ帝国は滅びたかにゃ……?」

「……な、なにが起こったんですの?」

という三人に頭上の爆発と

バムによって間一髪で脱出できたという話をすると

愕然と黙り込んでしまった。


ピグナが目を開けて

「えっと、ここはワールドイートタワーから

 百二十キロ北のグリマスルの森だね。

 帝都からは百キロほど離れてるから

 結構距離は稼げたと思う」

「しかし、よくあの竜の部隊も追撃できたよな。

 もう百キロ進んだってことは、ロボットは相当な速度で飛んでたってことだろ?」

「魔法通信による帝国内の情報網が物凄いんだよ。

 マリアンヌ帝の手腕による賜物だね」


「うぅマリーのことはもう聞きたくないぞい……」

マクネルファーが凹む。

ファイナとペップは同時にため息をついて

「楽しかったけど仕方ありませんわ」

「そうだにゃ。楽しい時間は長続きしないにゃ」

「いや、お前ら……」

と言いかけて、責めるのはやめることにする。

俺もついていってしまったので同罪だ。


俺たちは深夜の森の中をカンテラの光だけを頼りに

ひっそりと南下していく。

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