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準決勝へ

宿泊室へと戻るまで

ピグナとは一言も口を聞かなかった。

そのままホテルに戻り

部屋へと入って、ペップにファイナの様子を

聞いたりしながら普通に食事して

皆、外出したり風呂に行ったりと

思い思いに過ごして、夜中に寝袋に

入ろうとするときに


ピグナがソワソワしながら近づいてきて

「あ、あのさ。まだ返事、貰えてないんだけど……」

などと顔を真っ赤にして言ってくる。

お、おう……寝る直前は辛いな。

「えっと……朝になってからでいい?」

そう誤魔化すと、コクリと頷いて去って行った。


とりあえずそのまま眠り込んでしまって

翌朝になった。

早朝に皆起きだしてきて、

食事をそれぞれとる。キクカとクェルサマンは

まだ来ていない。

ピグナが隣に座ってきて

「で、返事は……?」

ソワソワとまた尋ねてくる。


しばらく食べながら考える。

脳内付き合いたい順位は

バム>ファイナ>>>>>ペップ>無限の壁>クェルサマン>ピグナ

である。悪魔と付き合うくらいなら

まだ男との方がマシだが

とはいえ仲間としてのピグナは認めている。


傷つかないようにどうにか処理したいな。

何か上手い方法は無いもんかなと

思っていると、逆隣りで食べていたペップが

「にゃにゃにや?エッチなのはダメ案件の

 臭いがするにゃよ?どうしたにゃ?」

と話にクビを突っ込んできた。

さすがの嗅覚である。


途端にピグナは身体をそらした。

……これだな。と思ったので

「なあ、ペップ聞いてくれよ。ピグナが……」

「あーあーあーあーあーあー!ダメだよ!

 何でもないってば!!」

ピグナは必死に妨害してきた。


「ふーむ、これはこちょぐりが必要なのかにゃ?」

「いやいやいやいや何でもないんだって!」

ピグナは慌てながら、寝室へと駆けこんでいく。

「ゴルダブルはどう思うにゃ?」

「いや、もういいと思う。ありがとう」

よし。これでしばらく黙るだろう。


午前中は、キクカとクェルサマンも交えて

準決勝への対策をしていた。

次のチームはどうやら俺たちと同じ

妨害をほぼ使わずに勝ちあがってきたチームらしい。

「純粋な料理力と、そして守護神のガード力だけで

 勝ってきたチームですね。

 メンバー三人で、皆、有名なシェフたちです」


ピグナがペップを気にしながら

「グランドヴァランスという南の大陸の大国が

 世界の有名シェフに

 一時的に国籍を与えて作りだしたチームだよ。

 守護しているのはその国の守護神ラグンドだね」

「大地をつかさどる神で、かなり大神ですよ」


「じゃあ、今回は純粋な料理対決になるわけだな」

「そうだね。でもある意味、

 今大会で最も厳しい戦いかも知れない」

「……気弾でふっ飛ばされたりとか

 しないだけ気が楽だわ」

そして今回は作戦会議は終了して

そこからは時間を惜しむように

料理の猛特訓が始まった。


レシピはクェルサマンとキクカとピグナが

話合って、即座にオムライスにすることが

決定された。シンプルだが

難しい料理だと元の世界に居た頃に

聞いたことがあるなと思っていると三人が


「如何に絶妙に不味く作るか

 という匙加減が難しい料理ですが

 きちんとできれば、シェフの料理に叶うと思います」

クェルサマンが真面目に言い、ピグナが

「卵の腐り加減とか、香辛料の具合で

 上手い事吐くような味を作りだせだら勝ちだね」

「うむ。試食は私がしよう」

キクカがそう自分で言って頷いた。


そこからは試合当日まで寝て食べる以外は

ホテルの調理室の一角を借りて

最高に不味いオムライスを作り続けることに

俺たちはひたすら専念し続ける。

体力が回復しつつあるファイナも時折混ざり

試食をしてくれる。

今回は透明なクェルサマン以外の

全員で料理する。

ペップも出場停止が解けたので

当然特訓に参加している。


あっという間に時間は過ぎて

六回戦……準決勝の開始時刻になった。

控室で俺たちは開始時間を待つ。

なぜか変装が白装束に白マスク、虹色のサングラスのキクカが

「ノルノルに一応、相手の様子を見るように

 伝えた。クェルサマンも頼む」

「はい。そちらの亡霊の皆さんもスタンバイさせておいてください」

「襲い掛からないでくれよ」

「分かってる、任せろ」

審判員たちが呼びに来て

俺たちは競技場へと向かう。

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