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第2話 名誉男爵
早朝の帝都の街並みを馬車は轍を使い巧みに揺れを抑えて走る。我がヴァイスヴァルド家の馭者シュルクは戦場の悪路でも余裕で駆け抜けれる技量を持っている輜重1中隊の中隊長だ。平時は親父の馬車の馭者兼執事の職に就く。まぁ簡単に言うとシュルクは親父の傅役で、年は親父より7つ上だそうだ。
ん、シュルクの事は良いな?
今日は我が帝国の皇帝陛下に拝謁する日だ。
馬車には親父と兄上の3人で乗り込んでいる。
すこ〜しだけ、俺も緊張している様で、随分昔からのクセである貧乏ゆすりが止まらない。
すると親父がそれを見つけて苦笑しながら俺に注意をしてきた。
「アッシュ?オシッコか?さっきから足が震えているぞ?」
「ち、違います!武者震いです!」
「ハハッ!そうか武者震いか?皇帝陛下との拝謁となれば、流石の肝っ魂のアッシュでも、その癖が出ちゃうか?」
「癖とは、、、そうですね。私も少し緊張している様です。」貧乏ゆすりはかなり昔からの癖だ。
かなりね。
馬車は皇帝の居城、白帝城の大手門に入った。