死の少年
こんにちは、LastWolfです。
忙しい時間の合間を縫って出来る限り長く、小説を書き続けられたらいいなと思います。
よろしくお願いします。
三人。これは獨が産まれたときに殺した人の数。直接触れた者が死ぬという体質であり、魔法である。
東京の小さな病院で亜人の町に産まれた獨は、母と、獨を取り上げるために手を伸ばしていた二人の看護師を犠牲にこの世に生きている。父から聞いた話だ。
亜人を含め、人は一人一つの魔法を有してこの世に産まれる。大抵は、火、水、風、光に、陰魔法の火と光の六種類なのだが、稀に全く別の魔法を持った子供が産まれる。例えば獨の触れると生きたものを殺す魔法もそうである。
獨が自身の魔法のことを知ったのは五歳の時。いつも優しく笑っている父が珍しく真剣な顔をするもんだから、獨も子供ながらに真剣にその事実を聞いた。その目が少し恨めしそうに獨を見つめていたのは、話しながら当時のことを思い出したからなんだろう。それから十二年もの間、父に負い目を感じながら生きてきた。あの日から、父は一度も母のことを話すことは無かった。父は優しい。それが一層辛かった。
こんな産まれながらの殺人犯にも、たった一人の兄である汪久もいつも優しく接してくれた。獨が産まれたとき、汪久は四歳。一番母に甘えたい歳頃のはずだったのに、自身の母を奪った弟に対してとても優しかった。
そんな彼になんだか申し訳なくて、獨は毎日自室でひっそりと涙を流した。
優しかった父も、獨が学校に通うことは決して許さなかった。また誰かを殺したらどうするんだ、と。
いくら子供だからといって、それくらいのことは理解していたつもりだ。長袖、長ズボンに、手袋、あとは多少の気配り。それだけで人に触れることは無かったはずであるのに。
父が学校に行かせてくれなかったのは、本当に獨が誰かに触れることを恐れたからなのだろうか。
これは母を殺したこと対する父の復讐だった、というのが今や獨の中で真実となっている。だが父を責めるのも何か違う気がして、学校に行けずに将来まともな職にも就けないことを、ただ必死に生きていくだけの人生を、当然の報いだと諦めていた。
だがつい先日、あるチャンスが巡ってきた。触れるだけで殺す魔法をもつ男の存在を知った日本軍から、獨を特別戦闘班『ガーベラの槍』への入軍推薦状が届いたのだ。
日本軍へ入ることは、亜人にとっては唯一の人生が変わる機会と言っていい。亜人は古来より人間から差別を受け続けてきた。と言っても、人間と亜人との違いなんて戸籍だけのものであり、生物学的な違いは皆無だ。
理不尽な差別。でも、だからこそ亜人が人間になれるチャンスがある。それが日本軍への入軍。ここへ在籍する者は、人間の町の衛兵として働くことを建前に、家族全員が亜人の町から人間の町に移り住む事を許される。その際に戸籍も人間のものになり、その後の子孫は全員人間として扱われる。だから即決だった。母を奪ったせめてもの父への償いに、人間という権利を贈ろう。
名前:薊羽 獨
(薊、バードック(ゴボウ)から命名)
性別:男
年齢:17
身長:170
体重:61
容姿:パッチリ目
生日:3/29
魔法:死
自称:俺
家族:薊羽 汪久(兄)、父
性格:中々熱い。魔法にだけはトラウマが。