表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/16

プロローグ1

よろしくお願い致します。

民衆の投げる石の痛みはとうに感じなくなった。


「王よ!悪しき魔女に裁きを!!」

「恐ろしい、気味が悪い顔をした女だ」

「反逆者の女だ!この売女め!」


こぞって悪態を吐く国の役人どもの顔も、もはや醜い土塊にしか見えぬ。


「母様…だめだよ…こんなことって…」


嗚咽混じりの声が聴こえたような気がする、可愛いガレス、妾の『息子』

王を恨むことが出来ぬ、妾にしては出来すぎた息子だった。


「ガレス『姉様』だ、お前はこの国の太陽の下で生きていける、発言には気を付けろ」


ヴェイン、お前は私にそっくりに作ってしまった息子だ、苦労をかけるだろうがお前は頭が良いからやっていけるであろう。



きしむ木の階段をゆっくり上っていく。

最上部の見張らしは良い、まるで城のバルコニーから民衆を見下ろしているようだ。


聖職者の祈りの声を聞きながらその眺めを堪能すると、向いの屋敷の窓に見覚えのある金色の髪を見つけた。

ほう、と思わず声が漏れる。


「罪人よ、最後に懺悔があるのならば今ここで聞こう、その言葉は他言せぬ」


聖職者の言葉に、再び妾は民衆へと視線を戻した。


懺悔、悔いか

罵詈雑言を飛ばされることも、石を投げられることも、元婚約者にこれから殺されることも仕方のない運命なのだと受け入れていた。

しかし、こんな結末にどうせなるなら『わたし』がそう選択しなければ良かったと、後悔することが1つだけある。


死ぬと分かっていて、救ってしまったもう一人の息子。

あの子の最期を見たものはこの国の王だけ、今どうなったのかすら誰も知らない反逆の騎士を思い浮かべ、今まで築き上げてきた気丈な態度が少しだけ緩んだ気がした。


「すまぬモードレット、妾のことは許さなくてよいからな」



視界が暗くなる、麻袋を被せられたのだろう。

さてサヨナラだ世界よ、今度の人生も短いものであった









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ