第二話「召喚完了」
気が付けば僕は、魔法陣の上に立っていた。目の前にいる女性は、髪をピンクに染めていて、魔女帽にメイド服、ツインテールで背の低い人だった。しかし僕は、頭にパニックの文字しかなかった。そんなことはその女性に悟られることもなく、女性は僕に言う。
「あなたはリラよ。私の方はスズ。あなたに助手になってもらいたいんだけど。」
断りたい。そんな気持ちが僕にはあった。いや、おそらくもしも分からない頃だらけではなかったらそうしていたと思う。でも僕にはこの世界で生き延びていく術がない。手掛かりになる記憶や情報がないから、僕にはスズとか言う女性の助手になるしか選択肢がない。
「僕は別に構いませんけどー・・・」
僕が言いかけたところに、スズは反応し、叫ぶ。
「え、リラ中身男!?」
そんなこと言われても僕は中だって外も女なんだけど、な。
「女、だけど。」
「マジで!?ぼくっこかぁ・・・可愛い♡」
スズは僕のことが気に入ったのか、僕のいろいろなところをほめている、が。実のところ僕は昨日何をしていたかや僕がどんな人物か、親や友達はどんな人物だったかさえも覚えていない。そもそも、リラとしてスズの手伝いをただただしているだけじゃ、僕だって満足いくわけがない。
「力と情報などがもらえるなら、ですが。」
僕がきつめに言うが、OK!そんなの大丈夫って~とスズ。僕からのイメージ、スズはお調子者な感じかなと思う。僕を召喚しておいて、といったところか・・・。