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プロローグ『楽になる』
「ふふ、私の能力は人の寿命がわかる能力。そして今わかることーーそれは、あなたが今日、あと数分で死ぬ、ということ。あなたさえよければ、今楽にしてあげるけど?」
少女は、僕に言った。
目隠しがあったため、僕は彼女のことは見えなかったが、おそらく今日は僕がいじめを苦に死んでいく日なのだろう。僕はもう少し楽しい人生を送りたかった。親からの虐待、学校でのいじめ、ネットいじめ・・・いじめを訴えても親も先生も僕のことが嫌いだから信じるどころか貶して笑った。
こんな人生、終わってしまっても構わない。むしろ、楽にしてほしいと思う。
「うん、頼むよ。」
僕は自分の魂を少女に授けた。
「そう。じゃあ頑張ってね。一度は楽にしてあげるけど、そのあとはどうとか私は知らないよ?覚えておくといいわ。私は・・・『ユズキ』」
少女は言うと僕の心臓に手をかざす。
ドクンッ
大きく胸が鳴り、僕の体が動かなくなった。その後、目の前は暗くなった。
僕は、死んだのだ。