4.善行の報酬
GWが終わった結果、書く時間が大幅に減少しました。
今回、後書きの説明長いです。基本斜め読みして大丈夫だと思います。後々になって説明した事が本編に出てくるなんて事があるかもしれませんが、その時は多分本番でも説明があると思うので……。
「……言葉は通じるか?」
「ああ」
一応助太刀という形で入ったはいいが、やはり見た目はスケルトン。それなりに警戒はされているらしく、だが、救って癒したからかいきなり襲ってくるような事はしてこなかった女騎士には感謝しかない。
俺の動きから普通のスケルトンとは違うと判断されたのか、女騎士から問いかけられたのでそれに答える。
「……」
「……」
だが、その後は一向に問いかけてこない。どういう事だろうか。
「ふぅ……。言葉は通じない、か」
「は?いやいや、ちゃんと通じてるし話してるだろ?」
女騎士の言葉は俺にはちゃんと聞こえてる。だが、女騎士の言から推察するに俺の言葉は女騎士には聞こえていないのでは?
「救ってくれ、そして敵意も今の所感じられない。倒すのは惜しい存在なんだが……」
「!?ちょ、待ってくれ!」
言葉が通じない時、意思疎通に一番有効な手段は身振り手振り!
俺は精一杯のボディランゲージで悪いスケルトンじゃないよ、とアピールする。
だが逆にそれが怪しい行動に見えたのか、女騎士がさらに警戒し始めた。何故だ!
「ちょっと、待って!」
おお、子供!そうだよ、ここには子供がいたじゃないか!子供よ!女騎士の警戒を解いてくれ!もし戦う事になったらいくら体力お化けでも素の能力値で負けてるから一方的にボコられて死ぬ定めなんだ!
「多分、だけど、そのスケルトンさん?言葉、通じてる、と思います」
「いや、言葉が通じているのなら何かしら返答があるはずだ。それがないというのは……」
「多分、さっきカラカラ言ってたのが、返答なんだと僕は思うんです」
え?俺の言葉全部カラカラって聞こえてんの?骨が鳴るような音出してるだけなの?
「その、スケルトンさん、もし、言葉が通じてるなら、頭を縦に振ってもらえません、か?」
おお、ナイスだ!頭を縦に振る。
「やっぱり!」
「言葉が通じているのか!なら、頭を横に振ってくれないか?」
これにも従い、頭を横に振る。
「おおっ!言葉を理解し、人に好意的なスケルトンとは!」
よぉっしゃぁ!声が通じない時はどうしたもんかと思ったが、やはり善行はその身に返ってくるもの!魔物としてはクソ雑魚なスケルトンを引き当てた時はこの先どうしようと考えてたが、人間との交流が得られるならだいぶやりようはあるぞ!
「変異種か希少種か、どちらでも構わないがまずは、救ってくれた事、感謝する!」
「あ、そ、その、ありがとう!」
いえいえ、どういたしましてーと身振り手振りで何とか伝える。いやぁ、辛い。何が辛いってこっちが思っている事を明確に伝える手段がない事が辛い。
「その、お礼なんだが、生憎と持ち合わせがあまり無くてな…。ここで屠ったスケルトンの魔石と私が今持っている最高の魔石でいいだろうか?」
「お姉さんが、渡す事ない!僕が、渡さなきゃ!その、これくらいしかないけど……」
女騎士が持っていたのは拳大の魔石が一つ。子供が持っていたのは飴玉一つだった。子供よ、君は本格的に探検に来ただけだったんだな……。よし、折角だ。
「両方とも貰おう」
きっとカラカラとしか聞こえてないのだろうけど、それでも言葉にしておきたかった。これが、この世界に来て初めての善行で、その報酬だったから。
そして、これだけだと一方的に、しかも2人から貰っただけなので、お返しを渡す。女騎士には……うん、渡せるものがないわ。子供にはスケルトンが使ってた弓をあげよう。
「えっと……くれるの?」
頷く。イエスノーなら簡単だな。
俺がこの子供に弓をあげたのは、まあ適性の問題だ。『簡易閲覧』で見せて貰ったが、この子供の能力値は剣士に向かないと女騎士の能力値と比較して判断したのだ。なので、弓で頑張ってもらいたいという想いだ。
「ありがとう!」
「それでは、な。この子を連れて帰ったら、今度また会いに来よう」
俺は頷いてグッと親指を立てる。
「バイバイ、スケルトンさん!」
「一応魔物であるが、人間の味方なら問題あるまい。魔物は魔石を取り込むと強くなるらしい。頑張れよ、スケルトン」
バイバイ〜と手を振って俺が向かおうとしていた方向へ2人が去って行く。どうやらそっちに出口があるらしいな。
にしても、魔石で魔物が強化される、ねぇ?その情報が一番の報酬だよ、女騎士さん。
第3回目は『生への残滓』について。
本編第3話で海斗は魔力の回復をこの『生への残滓』で行なっているのでは、と考えていましたが、違います。この世界の生物は空気中にある魔素と呼ばれるものを体内に取り入れる事で魔力を回復させます。人間などは魔素を取り入れる事が不得手な為、アイテムを使います。これはまた今度にでも。
魔物には、必ず魔石という機関が備わっており、魔石がない魔物というのはおりません。魔石は魔素吸収機関であり、魔石が剥き出しになっている魔物は魔素に直に触れる為、吸収効率が良く、スケルトンは魔力が尽きなかった訳です。
さて、『生への残滓』の説明な筈なのに全然出来てませんが、この説明しないと無理なんです許して。
魔物は魔力が無くては生きていけません。なので、原則的に魔力が尽きるという事なく、必ず魔物は魔力を1は残します。残さない時は相討ち覚悟な時くらいです。
それで、ようやく『生への残滓』の説明ですが、これはスケルトンやゾンビなど、死して魔物になったものが持っていて(海斗は例外)その効果は魔石があれば魔物として死んだ後も生き返るというものです。まあ簡単に言えばアンデットは復活するよ!って事です。魔石がないと意味がない為、基本アンデットは倒したら魔石を最優先で回収するのが鉄則となっています。あ、魔物は魔石が壊れると死にます。弱点です。
さて、長くなりすぎたので今回の説明はここまでです。これ『生への残滓』より魔石の説明が主になってる……。『生への残滓』と魔石の説明だったって事で許して!設定考えるの楽しいの!
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