28.南地区の親玉
へい、卒業公演も終わり、卒業もしました!
というわけで趣味に少しだけ時間を使えます。
ので、更新です
おっさんが戦いに集中するようになってから約5分後。ようやくアンデッドメイルが全員地に膝をついた。
「だぁぁぁぁぁくっそ疲れたぁぁぁぁ」
「よく耐えた。其方の魔法あってこそこの短時間で状況が動いた」
「だから褒めても嬉しくとも何ともないって言ってるだろ……。っと、どうやら敵さんも本気ってわけだ」
俺の耳にガシャンという音が聞こえてくる。戦闘区域の中心にいる俺ですら聞こえているのだから他の奴らもこの音が聞こえているだろう。
『ワレハナイト。ニンゲンヨ、ヨクゾタエヌイタ』
その無機質な声が俺の耳に届いた途端、今まで周囲にいたウォーリアーが全て光の粒子となって消えた。
『ソナタラニケイイヲヒョウシ、ワレヒトリデアイテヲシヨウ』
「ふむ……。アリー殿、冒険者を引かせてくれ」
「あなた一人で相手をするつもりか!?いくらなんでも無謀過ぎる!」
「そうだぞおっさん、あんただけでどうにかなると思ってんのか?」
「其方らは武人を知っているか?」
「……武人?」
武人か……。まあ、ある程度はわかる。正々堂々を重きに置き、真剣勝負を好む輩だろ。
「まあ知ってるが……まさか相手に合わせるのか?」
「そうだ。武人に多人数で挑んでもそれは勝利とは言えない」
「だからといって負ける可能性を自ら生み出す必要がどこにある!?」
「武人とはそういうものだ」
一対一でどちらかが死ぬまで終わらない死合。まさか魔物がそんなのを好むなんて思わなかったが、さて……。
「おいおっさん、まさか素手で挑む気か?」
「拳聖士だからな、不満か?」
ナイトと名乗った魔物を『簡易閲覧』しても何も見えない。俺との実力差があると思っていい。おっさんのも見えないからどちらが上かなんて分からないが……。
「あの武器相手に素手は無理だ」
ナイトが持っているのは綺麗な刃紋が見てとれる刀だ。しかも二本。名前だけなら見える。『金重』と『物干し竿』どちらもやばいのを俺は知っている。
「何、刀なら相手にした事もある。斬る、突くを警戒すればそう大した敵ではない」
そう言っておっさんは俺たちの横からナイトの前へと歩いていく。
『ソナタがアイテカ』
「まっ待ってくれ!」
「アリー、やめておこう。止めても無駄だ。それに……」
アリーが止めに入ろうとした途端、鋭い殺気が襲って来ている。あのナイトから。ナイトの中で相手がおっさんに決まってしまって、水を差すなら殺すというメッセージなんだろうよ。
「悔しいが、勝てない。今の俺だとな。だからおっさんに任せる」
「カイト……。わかった。マッシュラー!頑張ってくれ!」
「任せておけ」
あんたが勝てないと俺たちはナイト相手に総力戦だ。頑張ってくれよ……。