19.東地区防衛戦3
やっと6連勤が終わりました……
「おっとっと……」
誤射狙い、当たり前だが思ったよりも難しい。矢の間隔、アンデッドメイルの鈍重な動き、スタミナ。これらが思っていた以上だった。
矢の放たれる間隔が短い時もあれば長い時もありバラバラ。さらに、アンデッドメイルが俺の近くにいる時にはなかなか矢が来ない。アンデッドメイルに当たる事を恐れているのか分からないが、その行動から相手に意思があると推測が出来た。また、それに伴ってやはりというか目の存在だ。間隔を図れるって事はこちらをどうにかして観測しているはずなのだ。視認じゃなくても、音や何かで。
そしてアンデッドメイルの鈍さ、これも想定外だ。一歩一歩が遅く、重い。ただ、ガンテツに聞いたところでは逃げようとすると素早く追いかけられるとか。つまりは戦闘中は自身の硬さで懐の敵の攻撃を敢えて受けて潰す行動を取っている。これのせいで矢の着弾点にアンデッドメイルが来る前に矢が地面に突き刺さる。
スタミナは言わずもがなこっちが保たない。俺もガンテツも矢を避ける為に動き回り、アンデッドメイルと対面しているのだ。時間が経てば経つ程、不利になるし、ミスも出てくる。
「どーすっかなぁ…」
『簡易閲覧』でアンデッドメイルの能力値を確認したが、防御が高く、体力も200と女騎士の2倍しかない。そこまで強い訳では無いのだろう。でも高い防御のせいで200が削れない。
「でも魔聖のスタッフは効いてるんだよな」
魔聖のスタッフを叩きつけた時だけアンデッドメイルは機敏に動いて距離を取る。魔の性質が相反する性質を受け入れた、と『簡易閲覧』で見た時にあったし、聖の性質があってアンデッドに有効って事だろう。
「『治癒魔法』『ドレイン』『神聖魔法』」
アンデッドメイルもアンデッド。『治癒魔法』と『ドレイン』で減らさなくもないんだが、微々たるもの。『神聖魔法』もそれが脅威と判断しているのか、避けてくる。どーすればいいんだろうか。
「ガンテツ、チェンジ!」
「そういえば、何故我達の方にしかあの矢は飛んで来ないのだろうて?考えておいて欲しいだろうて!」
俺が下がり、ガンテツが前に上がる。その時にガンテツから言われた言葉を俺も考える。
確かに、あの地面を裂くような威力と真上から迫る矢。動いていなければ必中だし、そも、その矢の存在すら自分からは中々確認出来ない。なのに、サイサイの方に撃たれた様子は無い。サイサイの方にはまだ矢の雨が降り注いでいる。サイサイは1人だ。あの矢が来れば一たまりもないのは敵でも分かるだろうに。何故だ?
「こっちにあって、サイサイの方に無いものがある……?」
一体なんだ?敵がこちらを狙う理由はなんだ?各個撃破をした方が確実に潰せるのに、それをしない理由……。そう考えて、俺たちとサイサイのいるであろう方を比べる。
「……矢、か?」
サイサイの方には未だに矢の雨が降っている。それに比べて、俺たちの方にはサイサイが囮をしてくれているお陰で矢が少ない。お互いの矢が邪魔しない程度には。サイサイがいるであろう方の矢の雨を目を凝らしてよく見れば、矢と矢がぶつかって落ちているものが多数見られる。
「そういえば、この狙撃も俺たちとサイサイが分かれてからだ。なら……」
キツくはなるが、試す価値はある気がするぞ。違ったら物量に押されて死ぬだけだ。狙撃で死ぬのと変わらない。いや、サイサイはあの数の矢を捌けている訳だし、死ぬ事はない、か?
ただ、もしこれが当たってたとしても実行すれば待っているのはアンデッドメイルとの持久戦だ。誤射を狙って倒すという選択肢は無くなる。
俺だけなら持久戦をしてもスタミナが保つまでは大丈夫だし、『治癒魔法』と『神聖魔法』というアンデッド特攻で早期決着を狙えるかもしれない。
だが、ガンテツとサイサイは違う。あの2人はアンデッドメイルに有効な手段がない。隠し球があるかもしれないが、それも効くかどうかわからない。
今もガンテツがアンデッドメイルと対峙して、何とか剣の間合いや矢の間隔を掴みながら金槌を振るっている。それでもアンデッドメイルには傷は無く、ガンテツの息は上がっていく。『簡易閲覧』をしても見える体力は最大値だけで、現在アンデッドメイルの体力がどれほど削れているのかもわからない。
でも、東地区を守るにはアンデッドメイルと狙撃手はどうあっても倒さなければならない。それに女騎士や猫耳、ヴェルヘルミナ君、カオリも心配だ。敵の親玉が何処にいるのかもわからないんだから。
今ここでアンデッドメイルを倒さなければ援軍がもし来た所で東地区は落ちてしまう筈だ。ここは数を用意しても矢の雨で無意味に血が流れる、だからこそ、少人数でやらなければならない……。
「ウジウジ考えてないで!気づいたなら何か言うだろうて!」
「ガンテツ……」
「我もサイサイもそこまで柔じゃないだろうて!それに死ぬつもりもないだろうて!」
「……わかった。交代だ!こいつを引きつけながらサイサイと合流する!」
「おう!」
気張れよ俺!選択したからには覚悟しろ!




