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16.エンヴィーの予想

 その後も幾度か爆発音がしながらも、俺はギルドに辿り着いた。ギルド内は騒然としていて、落ち着きがなかった。


「カオリはいるか!?」


「貴方は確か、初代ギルド長が連れて来た……」


 俺の声に応えたのはカオリではなく、エンヴィーというあの銀髪の青年だった。


「いいから!カオリは!?」


「初代ギルド長なら事態を収拾させる為に現場へ向かいましたよ」


「クッソ!最高責任者が現場行ってどうすんだよ!」


 最高責任者は色んな事態に備えて現場に行かずに情報集めて指示出すのが鉄則だろうがよ……。


「私が指揮を任されています。私は文官寄りですので、初代ギルド長が外で、私が中で指示を出した方が上手くいくんですよ」


「そういう事か。なら今の事態が知りたい。これはリッチが攻めて来たって事でいいのか?」


「ええ。私の予想では何処かに我々が把握していない出入り口があり、そこからスケルトンが大量に攻め込んで来ていると思っています」


「俺もそうだと思う。アリーが洞窟内で子供を助けたが、見張りが子供を入れる筈が無い」


「ええ。その時見張りを担当していた者にも話は聞いています。なので、見張りのある入り口から入ったという事はあり得ない。同じ意見のようで良かったです」


 有難い。こういう奴は大抵こっちの言いたい事を汲んでくれたり事前に動いてくれていたりする優秀な人材だ。よくこんな人材がいたな。


「冒険者は今何手に分かれている?」


「洞窟捜索班、鎮圧班、遊撃班の3つですね」


 ふむ。妥当なところだろうな。ここに着いてから爆発音が聞こえないのも遊撃班が活躍してくれているからだろうな。


「リッチは出てきてるか?」


「情報によればまだです。ただ、やはり現場にいるより情報の伝達は遅くなりますので、正確なものはまだ…」


「やっぱり現場の方がいいか」


 ヴェルヘルミナ君の事も気になる。アンデッドと相対してなければいいが……。


「はい。貴方には現場へ急行していただきたい。『治癒魔法』が使える貴方なら戦力になりますからね」


「分かった。俺はこの街に来てまだ時間が経ってない。場所を言われても分からないかもしれないから方角で頼む」


「なら東地区の商売地区を。あそこには鍛冶屋もあります。潰されて武器が敵の手に渡るのは避けたいので」


「分かった。東だな」


 方角なら太陽の動きでわかる。


「それと、1つ。リッチはもしかしたらアンデッドじゃないのかもしれません」


「は?」


 リッチだからアンデッドじゃないのか?


「初代ギルド長の話によればリッチは翼を生やし、謎の方法で攻撃を無力化するらしいです」


「……」


 なんだそれ……。勝ち目があるのか?というか、翼がもし見せかけじゃないなら上を取られるという事じゃ……。


「どちらもリッチが使うはずのない代物です。なら、その存在はアンデッドではないのかもしれません」


「アンデッドでないなら、一体なんなんだ?」


「それはなんとも……。それに、これは私の勝手な予想でしかない。それでも、頭の片隅には置いておいてください」


「……分かった。じゃあ、行ってくる」


「えぇ、東地区をお願いします」


 エンヴィーの予想を頭の中に巡らせつつ、俺はギルドを出て東地区を目指した。

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