1.ハズレ
タグ&タイトルでネタバレという…。
いやぁ、海斗君はいったいどんな魔物になったんでしょうねぇ()
俺の意識が無くなってからどれくらい経ったのだろうか…。そう思うほど、時間が経ったような気もするし、経っていない気もする。さて、そんな俺だがようやく意識を取り戻し、いや、転生し、身体の感覚を感じた瞬間に思った事が一つ。
(あ、これハズレ引いたわ)
まだ眼を開けてすら(いやまあ眼を開けるという行為が無いわけなんだが)いないのに、なぜそんな事がわかるかといえば、まず一つ目。自分の身体に思いっきり隙間というか空洞があるのだ。それが感じとれるのだ。二つ目は人型で手足の感覚などの自分の存在を認識出来るのに、生者にとって重要な肉という存在が自分からは認識出来ない事。三つ目は音だ。うん、動けばカランッて鳴る。
そんな訳で眼を開け、自分の姿を、手足を確認してみようか。
「わーお、見事に骨だ」
そう、なんと俺は魔物の中でも人型で死者に分類される、スケルトンという魔物に転生したのだ。
「本当なら人型である事を喜ぶべきなんだろうが……」
そう、第一目標を人間になる事と定めている現状、人型の魔物というのは喜べる要素なのだろう。ただ、アンデッドでなければ、という前書きが必要になるが。
「いや、決まった訳じゃないし、一度試してみるか……。『治癒魔法』」
発動の仕方がわからなかったからとりあえず貰った魔法を言ってみたがどうやら発動出来たようだ。右手骨から光が溢れて全身へーー
「っでででででぇぇぇえええええええええ」
激痛が走った。自分という存在が消滅するような奇妙な不思議な感覚。急いで『治癒魔法』の発動を止めれば、自分の骨から煙がぷすぷすと上がっている。
「くっそっ……。やっぱ、アンデッドに回復はダメージってか……」
どんなゲームにもある仕様のように、どんな物語にもある設定のように、この世界でも、アンデッドに対する回復は弱点攻撃なりうるらしい。
「貰っといてよかった『膨大な体力』って所か……」
別に他のアンデッドに試す事も考えなかった訳ではない。が、他のアンデッドが何処にいるのかも分からなければ、現状自分が何処にいるかもまだ把握しておらず、じいさんからの貰い物をすぐに試してみたいという欲求があった。だからしょうがないのだ、うん、しょうがない。
「さて……あんだけ痛みがあったけど身体は自由に動くな……。こういうのは瀕死だと動きが鈍くなったりするもんだが……」
自分の能力値とか見られないのか?
「うわっ、なんだこれ……」
『スケルトン』
体力10万
魔力20
攻撃5
防御5
素早さ5
『治癒魔法』『簡易閲覧』
謎のウインドウが空中にいきなり現れた。
「これが、俺のステータスってか?いや、簡易過ぎで自分の最大値しかわからないのはどうなんだこれ」
多分、『簡易閲覧』ってものが関係してるんだろうが……。
「体力だけ多いクソ雑魚スケルトンって事なんだろうなぁ…。しかも自滅技ありとか救いようがねぇ…」
俺、こんなクソ雑魚スケルトンでどうやって生き抜けばいいの.……?
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