12.過信した青年
今回短いです、かなり。
街に着いた。俺にとっての初めての街。そこは街灯のようなものが街を照らし、円形の噴水があり、様々な建物が並ぶ、非常に文化的で豊かな街だった。
俺はあの洞窟から戻って来た人達に囲まれ、一般人には見られないようにフードを被りつつギルドと呼ばれる建物へ入って行った。
ギルドは木で建てられた建物だったが、防音性がかなり高いらしい。中に入った瞬間に怒声が響いてきた。
「だから!僕ならその程度楽勝だって言ってるだろ!」
「ならばランクを上げてください。楽勝ならランク程度すぐに上げられるでしょう?」
「その上がる時間が勿体無いと言ってるんだ!今にも被害が出たらどうするんだ!」
なにやら揉めているらしい。ランクという俺の知らない単語が出てきてるが、まあなんとなくわかる。階級とかそういうのなんだろう。それで、その階級が低い奴が何やら騒いでいるって感じかね。
「はぁ……。エンヴィー、これはどういう事ですか」
「初代ギルド長!何度も説明をしているんですが、この者が聞き入れてくれなくてですね…」
「あんたが初代ギルド長か!話が早い!僕をリッチ討伐に参加させろ!」
『ヴェルヘルミナ』
体力50
魔力5
攻撃5+18
防御10+10
素早さ45
『剣技』
なんだこいつ……。装備は剣一本。防具は申し訳程度の軽装。『簡易閲覧』で見てみても女騎士や猫耳に全く及ばない雑魚。名前がヴェルヘルミナって名前負けしすぎでしょ……。
「はぁ……。あなた、己の実力を過信してませんか?」
「僕は最強の勇者だ!誰が相手だろうと絶対に負けない!」
あー、痛い、痛いよ君。そういう事はもっとまともに強くなってから言うべきだ。
「それなら、海斗、さん。相手をしてあげてください。もしあの方に勝てたらリッチ討伐に加えてあげましょう」
なんで!?何故俺が巻き込まれなければいけないんだ!?
「何で俺が相手しなきゃいけないんだ?」
「まあ腕試しというか、自分の身体の動きに慣れておかないとじゃないですか?」
まあ、確かに。進化してからまだ一度も戦闘してないし、骨から土の身体を得たからか感覚が変わっている。それに『神聖魔法』も試してみたいしな。
「わかった。いいぞ、やろうか」
「ふんっ!お前なんか5秒とかからずに叩きのめしてやる!」
あー、そういえば俺って対人戦初めてか。それにアンデッド以外への攻撃手段も考え時だな。せっかくだ、ヴェルヘルミナ君には長い時間付き合ってもらおう。やるなら俺も色々試したいしな。
久々の第8回は男性型と女性型について。
人間など様々な種族に男女が存在するように魔物にも性別が存在します。(一部魔物には片方の性別しか存在しないのもいる)
男女それぞれで強さが違う魔物、男女ともに強さ変わらずの魔物、何か特別なスキルがある魔物などがいます。
リッチに関しては女性型の方が能力が高いです。それにも色々と理由があるのですが、まあ今回はここまでで。
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