表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/38

10.5.もう一つのプロローグ

お待たせしました。

この話を.5話で進めるか11話として進めるか悩みました。

「私はスケルトンさんと一対一で話をしたいので、退室してもらってもよろしいですか?」


 本当なら海斗様と呼びたい所をグッと堪えてスケルトンさん呼びをする。うううスケルトンさん呼びに慣れない……。


「あぁ、わかった」


「ふむ、分かりました。スケルトン、あまり失礼な事はするなよ」


「スケルトン!初代ギルド長に変な事したら許さないからねー!」


 とりあえず3人には出て行って貰えそうです。事情を知らない人がいると面倒な話なので有難いですね。


『話とは?』


 海斗様が地面に文字を書いて意思疎通を図って来ています。どうやらマッシュラーさんが文字を教えていたようですね。ありがたい事です。


「まずは私の事を話させていただきたいと思います。先程も申しました通り、名前はカオリ・タチバナ。日本だと橘香織ですね。今はハーフエルフで初代ギルド長をしています」


『やっぱ転生者か』


「そうですね。私の場合は少し特殊なケースというか、神様がだいぶ融通を利かせてくれた結果なんですけど」


 本当、神様には足を向けて寝られません。勿論海斗様にも。にしてもやはりいい骨の形をしていますね…。


『俺をどうやって知った?』


 地面に文字を書いているのであまり長い文章は書けないのか、淡々とした文章しか来ません。声帯がないスケルトンなので仕方がないのですが、海斗様とはもっとフレンドリーに話してみたいです。


「そうですね、まず、私は前世で海斗様に助けていただいた人間です」


 海斗様との事を話すには一番初めの出会いから話さないといけませんよね。


「海斗様を死に至らしめた凶刃。本来なら私が刺されるはずだったものを庇ってくださったあの時の少女が私です」


『あれか……』


 海斗様も私が誰だかわかって下さったようですね。


「結局の所、私はあの後殺されてしまいましたけど、あの時の海斗様の事は一生忘れません」


 逃げ惑う人衆に、ナイフを持つ男。血を流した女性に足がすくんで動けない私。誰もが我先にと逃げていく中で、海斗様だけは私の事を守ろうとして下さった。


「私が海斗様の事を知っているのは神様がいたあの白い部屋に神様と一緒にあの場にいたからなんです」


 そう、あれは今でも思い出せます。



 ◇



「おお、死んでしまうとは情けないのぉ」


 私はどうやら一面真っ白のお部屋にいるようです。目の前のお爺さんが不謹慎な事を言っています。


「私が死んだって、どういう事ですか」


「むむ、記憶が飛んでおるのか。しょうがないのぉ」


 私の頭にお爺さんの指が触れます。そうしたら、私の頭の中に映像が流れて来ました。俯瞰した視点から見える私と1人の男の人。


「あっ、あっ……」


 そうでした。私は、死んだんでしたね…。あのナイフを持った男に刺されて。これでは助けてくれた男の人へ顔向け出来ないです…。


「はぁ……。とりあえず休んどれ。死んで混乱しない方がおかしいからのぉ」


 そう言ったお爺さんの指から光が溢れ、私の意識は薄れていきました。


 次に私が目覚めた時、まず聞こえたのはお爺さんの声です。


「それであっとるぞ。魔物は人間を襲うし、魔物の一機関である魔石は様々な物へと使われておる。魔物として生きるのはなかなか大変だと思うのぉ」


 話の内容的に誰かいるようです。


「魔物は進化、変化、または別の何かに変身したりってのは出来たりするのか?」


 その声は、とても聞き覚えのある声でした。それも生前です。


「魔物は選べるのか?」

「なら、どんな魔物になっても最終的に人間、またはそれに近しい存在になれるか?」

『膨大な体力』と『治癒魔法』をくれ。魔物になる」


 話の内容は分かりません。出てくる単語すらも全くです。でも、この声は分かります。あの時に助けてくれた、男の人です。


 私はすぐに起き上がりその姿を見ようと、あの時のお礼を言おうとその声の主を探しましたが、見つけられませんでした。


「おお、目が覚めたかのぉ。どうじゃ、落ち着いたかのぉ?」


「あの人はっ!さっきの人は何処ですか!?」


「なんじゃなんじゃ、どうしたんじゃいったい」


「さっきの人は……」


「宮城海斗君の事じゃな?それならもう転生してしまったわい」


 宮城海斗。それが、あの人の名前。私を助けてくれた人の名前。


「あの人に、宮城海斗さんにもう一度会う方法を教えて下さい!」


「ふむ…。会う方法なら簡単じゃ。お主も同じ世界に転生して会えばいいのじゃよ」


 転生。私という存在が別の存在へと生まれ変わればいい、そういう事ですね。


「なら今すぐ転生させて下さい!私はあの人に言わないといけないんです」


「まあ待つのじゃ。考えてもみよ。まだどこに転生するかも、そこがどんな場所なのかも知らんじゃろう。それを知らんうちに転生などすれば会う前に死んでしまうぞ」


 それは、いただけません。絶対に生きて会わなければ意味がありません。


「なら、説明をお願いします」


 そこからお爺さんの、いや、神様の世界についての説明が始まりました。剣や魔法のファンタジーだとか、どんな文化だとか、世界水準なども。


「まあこれは主に人間やエルフ、龍人などに当てはまる話じゃな。先程の宮城海斗君には当てはまらん」


「それはどういう事ですか?」


「あの子は魔物としてあの世界に転生した。魔物はあの世界の害虫と一緒じゃ。害ある生き物として討伐される定めにある。ドラゴンなどの強い魔物なら話は違うんじゃがのぉ」


「海斗さんは、一体なんの魔物に?」


「スケルトンじゃ。あの世界のスケルトンは一番弱い魔物と言っても過言ではないくらいに弱い。進化すれば強くなるが、その進化も楽にはいかんじゃろうな」


 魔物……。人じゃない生き物。果たしてそれに言葉は通じるのでしょうか?ちゃんと、話せるのでしょうか?


「私も魔物になれば、スケルトンになれますか?」


「無理じゃろうな。魔物は選ぶ事が出来ん。それに運良くスケルトンになれたとしても、スケルトンは話せん。骨じゃからな。進化してリッチまでいければ、話す事も出来るのじゃがな」


 なら、私はどうすればいいのでしょう。海斗さんが最弱のスケルトンでそのリッチという存在まで進化出来るのか分かりません。それに、進化出来たとしても相手は魔物。他の人には私の事情など関係なく海斗さんを殺しに行く筈です。私は、どうすれば……。


『なら、どんな魔物になっても最終的に人間、またはそれに近しい存在になれるか?』


 ……そうです。そうでした。海斗さんは、そんな質問を神様にしていた筈です。それをして、最終的に魔物を選んだのであれば。


「神様、魔物でも、最後には人間になれるんですよね?」


「……なれる。スケルトンなら、完璧な人間としてまで進化するじゃろう」


 海斗さんの目的は、魔物から人間になる事だと思います。きっと、魔物から人間になれば何かあるのでしょう。なら私がする事が決まりました。


「私は海斗さんの手伝いを、助けをします。何か1つ、好きな物を貰えるんでしたよね?なら私はそれを願いとします」


 海斗さんに会うために。


「わかった。それを願うのじゃな。ならば1つ、見せてやろう。もし君が何も助けに入らなかった場合の未来を」


 そう言って神様が空中に映像を投映しました。そこには、今まさに動き始めたスケルトンが映し出されています。


「これは……?」


「あるかもしれぬ未来の1つじゃ。あのスケルトンは宮城海斗君。あの洞窟から彼の冒険が始まるのじゃ」


 そうして、そこに映し出されていった映像は、見ていて気持ちのいいものではありませんでした。ああ、海斗さんなんだなと思える人助けを何度もしていたのに、人に恐怖し、力を求め、歪んでいくその姿。その洞窟の下層と呼ばれる場所に現れたリッチとの死闘。そして、死。


 海斗さんのあり得るかもしれない未来の1つ。死を迎えたその骸をリッチが使役し人を襲います。その中には海斗さんが助けた人も含まれていました。


「こうなる事もある、という一例なだけじゃ。こうなるとは限らん。それにこうならない為の願いじゃろ?」


 そう、ですね。今のは私がいないからああなるんです。なら、私がいれば、何かが変わる筈です。


「そうじゃな、お主をハーフエルフにしてやろう。そして、宮城海斗君が転生する100年前に転生させてやる。それが、この願いの限度といった感じかのぉ」


 ハーフエルフ。先程聞いた説明にあった長命種であるエルフのハーフですね。しかも、猶予を100年も与えて下さるなんて!100年がどれだけ長いのか、短いのか、まだ10代の自分には推し量れないですけど。それでも、長い時間なのはわかります。


「ありがとうございます」


「そうじゃ、宮城海斗君が転生する洞窟の名とその近くにある街の名を教えておこう。洞窟の名は蔓延る死の洞窟。街の名はサングリアじゃ。忘れぬようその頭にしっかりと刻み込め」


 覚えました。これで、目的地がはっきりしました。100年後に信頼出来る方とともに訪れましょう。


「それでは、お願いします」


「頑張るんじゃぞ」


 そこで、私の意識は途絶えました。



 ◇



「これが、私があの白い部屋で体験した事です」


 そういえばあの時はまだ海斗さん呼びでしたね。


『なるほど』


 結局、ギルドという組織を作ったりしたから信頼出来る仲間と一緒には来れなかったんですけどね。立場があるというのは大変です。


『協力してくれるんだな?』


「はい。海斗様の為に魔石も沢山持って来ましたから」


 ギルドという組織を作るにあたって、というか海斗様の為に集めた情報をもとにしてギルドを作ったので、魔物の進化の仕方などは全部私が調べ上げました。


「どうぞ進化して下さい。私とあの人達で見張りをしていますし、リッチもすぐには来ないと思いますから」


 そう言うと海斗様は持って来た魔石を取り込み始めました。きっと、この進化は私が見た未来の海斗様とは違う姿になると思います。いえ、そう願うばかりですね。


 そして、私が言わないといけない言葉はまだ言えません。海斗様の未来を変えてからじゃないと、ダメなんですから。

説明とかって話書く余裕あってこそ考えつくものですよね……。って事で無しです、はい。申し訳ない。


もし面白いと思って下されば、ブクマ、評価の程、お願いします。励みになりますので……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ