8.現状
「さて……。私が報告した事により現在ここのスケルトンが狙われているわけだが」
女騎士、お前のせいか!俺は、俺はなぁ!
「ま、待て!『ドレイン』はやめてくれ!」
「やっちゃえー!」
「コルナっ!?そ、それよりも現状の問題をだな……」
む……。確かに今感情的になって『ドレイン』『治癒魔法』を使うのは話が進まない。冷静になろう。
それで?なんでスケルトンが狙われる?
「うーん、スケルトン、斬る、死ぬ……。狙われる?」
イエスイエス!なんだ猫耳、理解出来るじゃないか。その調子で通訳頼むな!
「今、スケルトンは集団で動いているだろう?あれは本来ならあり得ない事なんだ」
あれ、そうなの?俺だけハブられてるとかそういう事じゃないんだ。
「こういう事態が起きた場合、大抵はその魔物の上位種、まあ強いのが生まれて率いているわけだ」
ふむ。で、今回はスケルトンが集団でいるから、スケルトンの上位種ってわけだ。
「でー、まあこういう事はそこまで起こる事じゃないんだけど、基本的にスケルトンの上位種はリッチなんだよねー」
ふむふむ。リッチ、ね。俺も進化したらリッチになるんだろうか?
「それで今はそのリッチを捜索中なのだ。戦力を減らしながらな。……その、スケルトン、お前はリッチじゃないよな?」
ノーノー。私、悪いスケルトンじゃないよ。スケルトン・プリーストですよ。
「違うならいい。という事はやはりリッチは下層か」
「まあ上層にいたら被害が出てるはずだしねー」
なんかこの2人と一緒にいると色んな情報がバンバン出てくるな……。なんだ上層って、なんだ下層って。階段あるのは知ってるけど、え、何?層って事は下だいぶ続いてる感じですよね?
「で、だ。スケルトンをどうするかが一番問題なんだが……」
「うーん、襲って来ないんだし、街に連れてっても大丈夫なんじゃない?テイムしたとかで!」
「……スケルトンをテイムする人がいるか?しかもこの状況で?」
「だよね〜」
テイムとな。この世界そんな概念もあるんだなぁ。テイムとかされたら自由意志とかってどうなるんだろうか?イメージ通りだと危険だしテイムはされないように立ち回るか。
なぁ、この洞窟から出て外に潜伏してるのはダメなのか?そのリッチとやらはこの洞窟内にいるんだろ?
「えーっと?隠れる?向こう……外?外に隠れるって事?」
そうそう。流石猫耳。
「残念だが、外には出られないだろう。入り口に見張りが常駐している。ここは街からも近いからな。外に出てくる魔物が街を襲うかもしれないという事で見張りがいるんだ」
見張りかぁ……。人間とは平和的にいきたいし、刺激するような事は良くないな。
「となると〜スケルトンには頑張って生きてもらうって事で!」
言う方は簡単だよなぁ?こっちはガチで死の恐怖と隣り合わせで頑張ってんだぞ?あ?『ドレイン』食らうか?あ?
「悪かった!悪かったから『ドレイン』やめてー!」
さて、猫耳よ、全身をピクピクとさせてる所悪いが、通訳だ。
「こ、このー……。後で絶対仕返ししてやる!」
案がない以上、俺がここで頑張って生きるのは確定だ。なら、一緒に行動してもらう。そんでそれを他の人間に見せるんだ。味方しているスケルトンがいるぞ!ってな。
「えっと……。2人、スケルトン、ゴー?目……見る?3人?『治癒魔法』?んーと、つまり、一緒に行動する。それを見せるでいい?」
イエスイエス!
「成る程、私達と一緒にいて害意がない事を他の人に見せるわけか」
そうそう!
「アリー、どうするのー?」
「もちろん、するに決まっているだろう。これからよろしく頼む、スケルトン」
あぁ、よろしくな。女騎士に猫耳。
今回は無しで!
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