表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無メイの乖離  作者: いすた
46/48

5-5  式典

それから過ぎる事一ヵ月。

いくつかのトラブルがあったものの、大きな問題は発生する事はなく。

ヴェイグから要請されたカイリ達の滞在期間3ヵ月の一週間前。

グリースレリアの中央広場に、過度な装飾は控えられがらも広大な会場が建設され。

入り口に設置された巨大なアーチには、こう書かれていた。


『グリースレリア首都化記念式典』


集っているのは、リンクス連邦の議員や豪族達のほぼ全員に。

この国で生きる民衆や他国からやってきた使者団達。

収容人数2万人の会場は全て埋まり、外にも溢れてまだ集まっている状態だ。

今日がリンクス連邦にとって記念すべき日であることはもちろんだが。

彼らが集まっている理由からすれば、それはついでに過ぎなかった。

皆の目的はただ一つ。

『無メイの乖離が初めて公的な式典に参加する』という噂が流れてきたからだ。

政治家達はその式典に参加をした実績がほしく。

民衆達は強い興味と野次馬根性で、時間が経てば経つほど続々と集まってくる。

式典が始まる頃には、会場を囲む人々は広間から溢れだし、繋がる大通りを埋めてしまうほど。

表向きは、あくまでも首都化記念式典だというのに。

これが今の世情かと苦笑しながら、リンクス連邦の新大統領へと就任したボンズは壇上にあがり。


「此度の式典へお集まり頂き、まず大統領としてお礼を申し上げよう。

 まぁ、皆の目当てはわしもよーく存じておるが、しばし老人の語りを我慢して聞いて頂きたい。

 遡れば60年ほど前になろう、わしがこのリンクス連邦の一兵卒として―」


ボンズの長い演説が、式典の始まりを告げる。

一方、会場の関係者以外立ち入り禁止区域の控室にて、その重要人物はというと。


「・・・動きずらい。脱ぎたい」


普段のボロボロでつぎはぎの鎧姿ではなく。

リンクス伝統のグレーの礼服に袖を通すも、動きづらく窮屈な感触にしかめっ面をしているカイリ。

たまらず脱ごうとしたその手を、ピシャリと叩いて止めさせる肉球がひとつ。


「我慢しろ。いつものボロ雑巾みたいな恰好で式典なんかださせねぇからな」


いつもの赤いマフラーの代わりに、蝶ネクタイと特注の燕尾服を着こなす茶歩丸。

うーうー、と喉から不満を漏らしている自由奔放主義の犬っころは、臀部のあたりをさすりつつ。


「しっぽがキツイ」

「借りモンのズボンに穴あけるわけにゃいかねーだろ?

 ズボンの中で足に巻き付けとけ、ほれ、こういうふうに」


獣尾持ち同士、表情はしぶしぶながらもカイリの世話をやいていく茶歩丸。

なんで俺がとかれこれ20回ほどぼやいているが、放り出す気は一向にないのが実に茶歩丸らしい。

アズキはこの場にはおらず、別室でシルナとツユナに、着替えを手伝ってもらっているはずだ。

実はアズキも、いつもの恰好でいいじゃないとカイリと一緒に不満を口にしたのだが。

こんな大事な行事に主達をみすぼらしい恰好でだすなど、従者として認められないと茶歩丸が断固拒否。

人間の文化を達観してはいるが、決して軽んじてはいない彼はおもてなし部隊の助力を得て説得。

カイリの周りをグルリと一周して、ちゃんと着こなせているのを確認し。


「よぅし! 一応どっかの貴族様の出だけあって、礼服がよく似合ってんじゃねーか」


着させる前に”馬子にも衣裳”なんてバカ笑いしようなどと考えていたのだが。

なかなかどうして、世辞に頼るまでもなく見栄えが良い。

ふむ、と茶歩丸はその姿をまじまじと見つめ。


「この姿、きっとどっかの誰かにそっくりなんだろうな。

 ・・・いいのか?」

「何がだ?」

「その似てる誰か、お前の親の事だよ。

 結局ヴェイグのおっちゃんに聞かなかっただろ?」


自分がどこの生まれで、誰が親なのか?

兄弟の有無は? そして本当の名前は?

あの時、ヴェイグが話してくれると申し出た時、カイリはそれを拒絶した。

知らなくていいメリットなど何もない。

今後のトラブルの種になりかねないのに、カイリが聞かないと決めたのはどうして?

今からでも遅くはないんじゃないか?と忠告する茶歩丸だが、カイリは。


「俺にはもう名前がある。

 アズキがつけてくれた、アズキのところへ帰るための名前だ。

 それ以外は必要ない」


アズキの傍にいられればそれでいいと、あの時こそ迷いはしたが、今はためらいなく口にするカイリ。

そこまでの結論に至るまでも、彼なりに考えた事なのだろう。

自分の記憶に刻まれていない過去など必要がない。


「わかった。俺もこの話はもうしねぇよ」


臆面もなくそこまで言うならば、引き下がる茶歩丸。

あの日、病室でカイリを見送った時に決めたのだ。

アズキが望むのならば、この男も全身全霊で手助けしてやると。

少々手のかかる犬っコロだがと悪態をつく茶歩丸。

と、カイリは何かを思い出したように、先ほどの言葉に補足をつける。


「訂正する。アズキと茶歩丸のところに帰るため、だ」

「んな事いちいち言い直さなくていいってーの」


こっぱずかしくなってくると、いろんな感情が含まれたため息をひとつつく茶歩丸。

次は髪だとブラシで整えていた所で、扉をノックする音が聞こえ。


「カイリ様、アズキ姫のご用意が整いましたわ」


声の主はおもてなし部隊のシルナだ。

失礼しますと一声かけて、入室してきたのは。

式典用のドレスを纏うシルナとツユナの双子姉妹と。

そして・・・。


「やっほー。えへへ、久しぶりに着てみたんっすけど、どうっすかね?」


少し照れ恥ずかしいのか、はにかんだ笑顔を浮かべるアズキの姿はいつもの忍装束ではなく。

またこの国の習わしとなるドレスでもない。

妙に幅広い袖をした、白百合の花模様をあしらった薄紫に染めた着物。

金を豪華に縫い付けた分厚い帯で着崩れぬように縛りつけて形を成すそれは、

『晴れ着』と呼ばれる倭本伝統の礼装。

宝刀・紫百合だけは肌身離すわけにはいかないので腰から下げたままだが、

それもファッションの一つとして馴染んでおり、アズキらしい魅力を引き立てている。

これは驚いたと茶歩丸は。


「こりゃまた豪華な着物じゃねーか。

 ま、さすがに着慣れてる感があるな」

「あの国に居た時には、動きづらいからあんまり着たくなかったんですけどね。

 久しぶりに着ると、なかなかどうして悪くはないっす」


クルクルクルクルと童女のように回って、その視線の先にあるのはシックな礼服の少年。

普段と違う彼の姿にどぎまぎしながらも、こちらから最初に褒めてはフェアではない。

こういう時は、男のほうから言わせなければと乙女心全開で、彼の言葉を待ち。


「・・・綺麗だ」


一切視線をそらさずに、カイリの口が紡いだ感嘆の吐息。

ありふれたセリフではあるが、それゆえにカイリの率直な感想を伝え。

性格の不器用さゆえにそれしか言葉はでてこないのだけど。

とにかく熱のこもった視線がアズキに注がれて。

確かに褒めてほしかったけれど、さすがに恥ずかしくなってきたアズキは照れ隠しにカイリの姿をじっくり眺めてから。


「えへへ、ありがと。カイリも似合ってるっすよ」


感想としては先ほどの茶歩丸と同じ、さすが元お貴族様ではあるが。

アズキの場合そこに少しだけプラスされるのは、彼女にだけ見せるあどけない寝顔とのギャップ。

愛らしさと凛々しさ、そのどちらもアズキは好きで、今は凛々しい彼がまぶしいぐらいに感じるのだ。


「いや、アズキのほうが・・・」

「ううん、カイリのほうが・・・」


二人で見つめあって、少しづつ距離が近づいていき―。


「はいストップ。イチャつくならあとだ」


その間に割って入り、二人の顔面に肉球を押し付けて止める茶歩丸。

このまま放っておくと、膝枕まったりモードに入るのがいつもである。

いつ入場を促されるかわからないのだから、今は二人には我慢してもらわねば。

さて実はアズキの晴れ着も借りたもので、持ち主は誰かというと。


「シルナお姉ちゃんってば、買ったはいいけど着方がわからないー!

 って大騒ぎしてたよね。

 こうしてアズキ姫に教えてもらう機会ができてよかったじゃない?」

「ツユナ! 余計な事を言わないで!

 ・・・コホン。でも本当にお二方とも素敵ですわ」


晴れ着の持ち主、姉のシルナが個人的に買い付けた倭本の礼装はかなり高い買い物だったが。

このお姿を見られたのなら元を取ってお釣りが来たとご満悦だ。

惜しむらくは、アズキが式典で袖を通した衣服としてカイリの正装と一緒に国に買い取られ、博物館行きになることだろう。

そうなる前に自分も一度ぐらいは袖を通しておこうなどと考えていると。

係官がやってきて。


「カイリ様、アズキ姫、そろそろボンズ大統領の演説が終わります。こちらへ」


関係者通路から式典の花道へと出る巨大なカーテンの前へ案内されるカイリとアズキ。

茶歩丸は二人とは少し離れた場所で、シルナ、ツユナと一緒に見守る事にした。


「花道でコけるなよ~? したら大爆笑してやるけどな!」


そんないつも通りの茶化し方で、二人を送り出してくれる茶歩丸。

口が悪くなければ完璧な従者なのに、いや、そうでなかったら茶歩丸ではないか。

カイリとアズキが顔を見合わせて、苦笑しつつアイコンタクトを交わしていると。

外から聞こえるボンズの演説の声音が跳ね上がった事に気が付く。


『―では皆の者、長らく待たせた!

 今や知らぬものはいない世界最強の戦士!

 無メイの乖離改めカイリ・ハウンド殿!

 そして彼の者を傍で支えし倭本の姫君、慈恵アズキ姫!

 どうぞ、ご入場頂きたい!!』


ワァっ! ボンズの演説中とは比べものにならぬほど沸き立つ聴衆。

カーテンがザッと開かれれば、会場の数万の瞳は一斉に集まった。


「おお! カイリ様が、リンクスの礼服をお召しになられている!」

「なんともお似合いではないか!

 その正体はどこかの皇族ではないかと噂されているが、

 あの出で立ち、あながち眉唾ではないかもしれぬな」

「まぁ、アズキ姫がお召しになっているのは、倭本の御着物ですわ」

「なんてお美しい・・・。

 次の倭本の交易船が来るのはいつだったかしら?」


拍手と喝采、賞賛を浴びながら二人で歩く花道。

大半は演技かもしれないが、それに悪い気はしなかった。

広大な式典会場に通された道が長く、ゆっくり歩いて数分はかかるだろう。

二人だけにしか聞こえない声で、アズキは。


「やれやれ、これでまた着物の売れ行きがあがって。

 倭本の呉服問屋は笑いが止まらないっすねぇ」


もう自分が何をしても倭本の利益になっている気がして。

この前やってきた倭本の使者が言っていたのだが。

アズキ縁の品の特需で今、倭本は国をあげての輸出強化に入っており。

特に女性向けの工芸品は作れば作るだけが言い値で売れていくらしい。

貿易船が到着すれば商人達が殴り合いをはじめるのも珍しくもなく。

またリンクスへやってきた倭本の外交官組織に同行してきた職人達が居るのだが、

あまりの注文の量に対応しきれず、本国に百人単位での応援を要請しているとか。

嫌いな故郷に利用され、国力を高められているのがあまり好ましくないアズキに、カイリは問う。


「・・・嫌なら、俺が―」

「いいの。あたしの名前で金稼ぎができるうちは、暗殺だとかアホな事をしでかさないっすから。

 これでいいんっすよ」


下手に事を荒立てるよりは、少しの我慢で穏便に済ませるに越したことはない。

しかし、アズキの気持ちを知っているカイリは。


「だが、例の鬼という生物兵器に関して調べておきたいんじゃないのか?」

「そこはこれからじっくりやっていくしかないっすね。

 ヴェイグさんの話では、証拠はしっかり隠滅済みだったみたいっすから」


母を利用し、命を奪った研究に関してはもちろんアズキも気になるが。

オボロの失敗で存在が公になった時点で全ての証拠は抹消。

忍軍は簡単にボロを出すような連中ではない事をアズキはよく知っている。

今現在グリースレリアに滞在している倭本の使者も忍軍とはまったく関わりがない連中で。

この事を詳しく知りたいなら、カイリを連れて帰国しろというスタンスに変化は見られない。

ここにきて、倭本はアズキの事を徹底的に利用するつもりのようだ。

そういう露骨な対応をするというのはつまり、倭本の連中はアズキを見くびっている。

箱入りの世間知らずのお姫様に何ができるかと、あの国らしい女性蔑視の思想を皮肉っぽく笑い飛ばして。


「確かに、カイリの力を借りれば脅迫は簡単っす。

 けど、このままあたしが倭本の貿易に影響を与え続ければ、

 いずれ少なくない発言力があたしにも得られるっす。

 あたしはあの国が嫌いっすけど、それ以上にあの国の男連中が大嫌い。

 ・・・だからあたしは。

 私は、女として倭本の連中に一泡吹かせてやるって、決めたの」


3か月前に出会った時よりも、少し大人びて見えるアズキの笑顔。

それは、まるで。


「まるで、政治屋みたいな考えだ」

「あれだけ毎日会談なんてしてれば、そういう考え方にもなるよ」

「アズキの考え方が、変わったのか?」


3ヵ月も政治家連中と関わったおかげで、

アズキも人並み以上の政局分析はできるようになった。

感情に流されず、しかし時として感情を利用して物事を有利に進める術。

束縛を嫌って逃げたアズキにはあまり似つかわしくない考え方にも見えるが。

これはアズキ自身が選んだ事。


「うん。貴方とこれからを生きていくって決めたのは、生半可な気持ちじゃないから」


乙女では口にできない、大人びた殺し文句。

朴念仁のカイリもこれにはドキリと心を高鳴らせてしまったようで。

珍しく頬を紅潮させて、視線を泳がせながら。


「あ、ありがとう」

「クスッ、どういたしましてっす♪」


どうやら前から使う機会を用意していたセリフだったらしい。

恋人の反応にしてやったりと、チシャ猫みたいな笑みを浮かべるアズキ。

そんな事を話している間に、もう式典の中央壇上は目の前だ。

ここでアズキは、聞くべきか今まで悩んでいた事を、やはり聞いてみる事にする。


「ねぇ、なんで式典の招待を受けたの?」

「?」

「いや、カイリらしくないじゃない?

 こういう公の行事とか、これまで参加したことないんでしょ?」


一人で在り続け、どこの国にも組織にも所属せず。

ただひたすらに誰かを守りたいと戦い続けていたカイリ。

記録上では、公に声明を発表したのはポイント・ゼロで連合軍を迎え撃った時だけだったと聞く。

今回の式典が世界中から注目を浴びているのは、

これが無メイの乖離が初めて公的な行事に姿をみせるからでもある。

確かに、これまでだったなら考えられない。

カイリは自分でもそう思うと自嘲気味な笑みを浮かべ。

けれどこれは酔狂ではないと、はっきりとした意思の口調で。


「アズキに教わったんだ。

 自分の気持ちを誰かに伝える事の大切さを。

 それは俺がやらなければいけない事で。

 いつまでもアズキに任せっぱなしはだめだと思ったから」


変わったのはアズキだけではない。

カイリもまた、これまで目を背けてきた物に向かい合う決意を固めてきたから。

その意味を詳しく聞く前に、脚は壇上への階段を登りはじめ。

迎えるボンズは優しく手を広げ、二人を前へと招き。

彼の傍に、成人男性が3人がかりで持たねばならないほどの巨大なケースが運び込まれた。


「ロックラウンドを、ランジベルを、リングルスを。

 リンクス連邦の危機に救いの手を差し伸べし最強の傭兵、カイリ・ハウンド殿。

 此度の貴殿の功績にとても及ぶものではないだろうが、我らができる最高の品を用意させていただいた。

 我が国が持てる技術の粋を結集して作り上げた武具。

 どうか、此度の助力に対する謝礼と報酬として受け取ってほしい!」


開かれたケースに収められていたのは、白銀に輝く両刃剣と十字槍。

装飾は最小限に抑えられながらも不思議と気高さと美しさを感じさせるものの、

あくまでも実戦を前提として作られた一対の剣と槍。

並大抵の質量ではないのか、大柄のボンズですら一つの両刃剣を持ち上げるのに全身の筋肉を動員。

それを片手で受け取り、持ち上げるカイリは気づく。

これまで端材を寄せ集めて作った形だけの武器とは遥かに違う。

軽くはないが頑強。カイリの尋常ならざるパワーに耐えうるだけの堅牢さに加え。

少し振ってみれば、空を裂く感触がなめらかな事に驚く。

カイリの武器の振り方や姿勢を入念に観察し、フィードバックした刀身の重心バランスを高度な技術力で完成させているのがわかる。

続けて受け取る十字槍も同様だが、3つの刃はそれぞれ形状に工夫を施されており。

斬撃用の鋭利な東刃、打撃用にハンマーの形状をした西刃、先細に整えられた刺突用の北刃。

様々な局面で柔軟に対応しうる工夫に、感嘆の吐息を漏らすカイリ。

彼の表情に驚きと喜びが滲んでいる事にほくそ笑み、ボンズは。


「貴殿の右槍左剣の戦技を研究、分析し。

 リンクス連邦で精錬できる最硬最重の金属を用いて、

 最強の傭兵が使用するに耐えうる専用武具として完成したものじゃ。

 結果として通常の4倍もの質量となったが。

 貴殿ならば、まったく問題なく使いこなせよう」


重量にして十字槍は20Kg、両刃剣は40Kg。

総重量60Kgもの金属の塊だ、常人なら持ちあげるだけで精一杯。

だがカイリの怪力を持ってすれば、城壁をも突破できる破壊力を有する武器になる。

それにこれほどの業物ならば、暫くは武器の交換を考慮する必要はなさそうだ。


「これを造りあげる為だけに100人の腕利きを用意させてもらった。

 断言しよう、リンクス有史以来最高傑作であると」

「報酬、受け取らせて頂きます」


会場に巻き起こるわ割れんばかりの拍手。

勲章や称号の授与はない、これはあくまでも傭兵への報酬の支払いだからだ。

もちろん、政治的にはそれだけで済む話ではない。

新しい国の門出の式典に、流れの傭兵をVIPとして招待し、その場で国宝級の武器を受け渡す。

気づく者は気づくだろう、ボンズが武器をカイリに渡す際に片膝を床につけていた事に。

リンクス連邦の大統領が世界に示したのは、無メイの乖離への服従。

この瞬間、巨大な国家が、ただの個人への忠誠を誓ったという事実。

続けて受け取った専用のホルダーに装備を収めるカイリを隣で見守るアズキ。

と、その彼女の前にボンズは立って。


「倭本の姫君にして、カイリ・ハウンド殿のパートナー、慈恵アズキ姫。

 カイリ殿を補佐し続け、逆賊ダルマックを自らの手で討ち取りし功績。

 貴女にも報酬を用意させていただいた」

「え? あたしにもっすか?」


ただの付き添いのつもりだったので、思わず拍子抜けな発言をしてしまったアズキ。

ボンズはもちろん、と柔和に微笑んで、筒のようなものを差し出した。

それは、ダルマックとの戦いで折れて失われたのと同じ。

遠い異国独自の製造技術をもってしてのみ作られる、独特の反りと鋭さを持つ倭本の短刀。


「倭本の刀工を招き、その工法を学び、幾百もの失敗を繰り返しながらもついに完成した。

 リンクス連邦にて初めて打たれた倭刀じゃ。

 その腰の宝刀には到底及びはせぬだろうが、是非使っていただきたい」


手に取り、鞘から引き抜いて煌く刃紋を見ればすぐわかる。

確かに故郷とは使われた材質が違う為に同じとはいえないが。

そこはリンクス連邦独自の工夫を凝らすことで本家に劣らぬ仕上がりに達しており、

これまでの短刀と使い心地は変わらぬだろう一品物だ。


「見事な業物と見受けます。倭本とリンクスの良き交流が続くことを願い、大切にさせて頂きます」


アズキ姫という立場としては満点の礼で、短刀を受け取る。

この短刀は、リンクス連邦と倭本の国交が生まれたからこそ打たれた象徴。

アズキが持つ事に意味がある、政治的な側面が強い一品だ。

ふらりこの国を訪れた少年と少女は、今や世界の政略の要となっていた。


「さぁ皆の者! 我らが国を救いし英雄に! 今一度! 盛大なる拍手を!!」


ボンズの扇動に、さらに激しく巻き起こる歓声。

彼らのためにリンクス連邦という国家が首都すらも移し、式典を開いて支持者であることを表明。

きっとこれから、二人はこうして政治的に利用され続けるのだろう。

本人の意思に関係なく、時に反して。

会場全体に巻き起こる拍手と喝采を浴びながら、複雑な気分だが、慣れていかないといけないと、口の中で自分に言い聞かせるアズキ。

その隣に立っていたカイリが、突然ボンズに申し出る。


「ボンズ大統領。少しだけこの場を貸して頂きたい」

「な、なんと!? それはかまわぬが・・・」


この場を貸すという事は、カイリが公の場で何かの声明を出すという意味で。

それは無メイの乖離として彼が世に名を広めてから初めての事。

予想外だった申し出に驚くボンズだったが、一度深呼吸して気を落ち着けてから、まだ拍手が鳴り止まぬ会場に向けて声をあげ。


「皆の者! これより、カイリ・ハウンド殿から話があるそうじゃ! 静粛に!!」


静かにと言われても、これがどれほど衝撃的な事案か知っていれば、動揺せずにはいられない。

最強の傭兵の、公の場での発言。

今や彼の言葉で世界が動く、その発言力は想像を絶しよう。

静粛にとボンズが何度も声を張り上げるも、群衆の戸惑いは収まりそうにない。

まぁそれはそうよねとアズキは呆れたように。


「やれやれ、普段の無口が祟ってるっすねぇ。

 日頃の行いのせいっす」

「・・・俺が話したいというのは、そんなに騒ぐ事なのか?」

「あたりまえっす。

 例えばいまからカイリが、会場の左半分の人が右半分の人を殴れっていったら。

 逆らう人、誰もいないっすよ?」


彼の一言が、すなわち絶対命令権。

自分の言葉がどれほど重いものなのか改めて突きつけられ。

カイリはためらい、壇上から降りてしまおうかと考え始めたと、アズキは察し。

優しくその腕をとって。


「ほら、伝えたい事、あるんでしょ?」


まだ収まらぬ喧噪の中、彼を連れて壇上の中央へと連れていく。

彼がせっかく固めた決心、こんなところでくじけさせるわけにはいかないから。

観衆を鎮めようと奮起するボンズの隣で、アズキはめいっぱい肺に空気をため込んでから。


「こらー! 静かにしないと、皆ぶっとばされちゃうっすよー!!」


もちろん冗談だが、発言者がファーストレディともなれば効果は覿面。

ひぃっと怯えすくんだ音を最後に、式典会場は不気味なほど静まり返った。

さぁ、お膳は整えたと、配偶者としての役目を果たすように。


「さぁ、貴方の気持ち、ちゃんと世界に届けて」


見守っているからと、カイリの背を押してくれる。

いつもいつも彼女に助けられて、出会って3ヵ月だというのにもう何度目かわからない。

感謝を告げ、カイリは何万もの人々の前で、壇上に立つ。

誰も言葉を発しない、呼吸まで禁止されたように静まり返った中、カイリはゆっくりと口を開いた。


「―この世界から戦争は無くならない。

 人が皆、それぞれに幸せになりたい生物だから。

 この世界から戦争を含め、あらゆる闘争がなくなる事はないだろう」


いつか、ロックラウンドの少女に語ったカイリの想い。

それは無メイの乖離が歩んできた人生の中で、累積し続けてきた最も強い願いなのだろう。

80年続く大戦をたったひとりで終わらせた、その彼が最初に告げる言葉としては、あまりにも皮肉だ。

それを理解していながら、彼が続ける。


「でも、ある人が死にゆく直前に思ったんだ。

 戦争がなければ生きていられたのに、幸せになれたかもしれないのにと。

 彼女は、戦争に勝つため、そのための道具の研究材料として命を利用され、殺された。

 許せなかった、ただ己の私利私欲のためだけに、一方的に弱者の命を奪う連中が。

 彼女を救いたかった。戦争がない世界で、幸福に生きてほしかった。

 だから俺は戦った。あの時守れなかった人の代わりに、圧制者に奪われる命を守るために。 

 だが、弱者を食い物にし、命を弄ぶ者はあまりにも多すぎて。

 救うために殺して、助けるために破壊して。

 それが、俺がこの5年間を戦い、生き抜いて。

 ・・・結果として、6万もの命を奪った」


それは無差別な復讐だと、ボンズの独り言がアズキに耳にはいる。

式典会場の一角に集まる一部の豪族の顔も青ざめ、

後ろめたい事がある者は、カイリと視線を合わさないようにうつむき始めた。

為政者からすれば凶行と呼んでいい行動理由。

式典を包み込む戸惑いの空気を感じながらも、カイリは己の主張を続ける。


「人は何かを奪わなければいけない生き物だ。

 そうして何千年と歴史を積み重ね、文化を築き上げてきた。

 なら? だから? そのために自分以外の誰かを、過剰な欲求のために犠牲にしていいのか?

 いいはずがない! 人は誰しも幸せになる権利があって、

 それを奪う資格など、誰にもないはずだ!

 だから俺は、略奪者を許さない。

 自分よりも弱い、ただそれだけの理由で誰かを悲しませるものは、この手で斬る!!

 俺は、これからもそのために旅を続ける。

 それが、俺の戦いの目的で、理由だ」


弱者を救うために、弱者を倒す。

これは自己矛盾で、カイリも気が付いている。

それをわかっていながらも殺してきた5万と8千の命。

心が壊れそうになりながらも、彼が貫いてきた道だ。

観衆の反応は今だ水を打ったように静まり返っている。

それはそうだろ、最強の傭兵は己の気の向くままに殺人を続けると表明したようなものなのだから。

重苦しい静寂の中、突如一人の男が式典の群衆から飛び出し、声を荒げて叫んだ。


「異議ありだ! ふざけるなカイリ・ハウンド!!」

「ちょ、ローレンス!?」


声の主は、ランジベルからやってきた若き士官、ローレンス・ミックホルン。

彼を止めようとするスイレンと一緒に式典に参加していたようだが、

カイリの言葉に我慢ならず飛び出してしまったらしい。

そのまま怒りの足取りで花道を歩み、カイリの元へと近づこうとするローレンスを。


「な、なんだなんだ?」

「どこのバカだ! やめさせろ!」

「取り押さえろ!」

「くっ! 離せ! あの男には、いってやらねば気が済まん!!」


カイリの初の公式発言を遮るだけでなく、異議を唱えるなど何を考えているのか。

彼の者の機嫌を損ねてしまったらどうすると、周囲の者数十人が慌てて取り押さえ、地面に組み伏せる。

それをローレンスは振りほどこうと暴れるが、さすがに人数が違いすぎた。

そのまま連行されそうになるローレンスを見下ろし、カイリは。


「・・・聞こう。ローレンス・ミックホルン」


壇上のカイリは、これまでと同じようにローレンスから目をそらさずに、そう応じる。

他ならぬ彼が、個人名を呼んでまで許可を出したのならば。

解放されたローレンスは再び歩き出し、その傍に、同じくランジベルから来たスイレンが付き添い。

歩みを進めたまま、ローレンスは怒りを露わにして、目の前に到着するまで待てぬと口を開き叫ぶ。


「貴様は、誰かを救いたくて力を振るうとほざく。

 だが、貴様の行いには秩序がない!!

 法でもなく、教典に従うわけでもない。

 ただ己の”悪”という概念だけで命を奪う。

 それは獣か神の所業だ! 人のやる事ではない!!」


軍人として生真面目なローレンスだからこそ許せない一線があって。

カイリは、突きつけられる言葉の意味も理由も知らないわけががない。

知っているから、これまで自分の積み重ねてきた殺戮を罪と、心を痛めてきたのだから。

それゆえに今まで一度もローレンスの叱責に反論せず、黙して受けとめていたが。


「ならその秩序で、今も虐げられる弱者を救えるのか?」


ローレンスの目を真っすぐ見据えたまま、カイリは問いかけてきた。

若干の怒気を孕んだカイリの言葉に、ローレンスは驚いて立ち止まり、目を丸くし。


「なんだと?」

「為政者は、自身の罪を罪としないように法を作り、

 受けるべき罰から逃れようとするのが、俺が今まで見てきた”秩序”だ。

 もう一度聞く、その秩序で何が救える?」

「秩序は守るものだ! 貴様の言う為政者は秩序を乱している!

 秩序を守れぬ者には、いずれ法の裁きが与えられる!!」

「裁けるのか? 今は亡きボラールという男は、法でこの国を切り売りしようとしていたはずだ。

 それを、秩序は止められたのか?」

「それは、いつか―」

「いずれ?いつか?可能性の話をしているんじゃない!

 虐げられ続ける弱者は、与えられるはずの未来も奪われて死んでいってるんだ!!」


そんな人々を、カイリは大勢みてきた。

自分は万に一つの幸運で救われただけで、本来ならあの時死んでいたのだから。

この怒りだけは、ほかの誰にも否定はさせない。

言葉に詰まったローレンスに、カイリは。


「秩序による統治ができるのならば、人は80年も戦争を続けているはずがない」


最後に、自分が終わらせた大戦を引き合いにだして、言葉を締める。

ローレンスには、それ以上言い返せなかった。

カイリより年齢を重ねていても、目にしてきた世界があまりにも違いすぎるから。

これで終わり、以上だと立ち去ろうとしたカイリを、止める声があった。


「異議ありじゃ、わしもな」


これまで若者同士の応酬を見守っていたボンズは、重い口をゆっくりと開く。

リンクス連邦の現大統領が、さきほど忠誠を誓うパフォーマンスをしておきながら。

まさかの出来事に、会場の空気が絶対零度まで冷えあがる。

これから告げる言葉次第では、リンクスは今度こそ地図上から消滅する。

黙したまま見返してくるカイリに対して、ボンズは悲しそうに言葉を紡ぎ始めた。


「君は、まるで世捨て人のような事を言うのじゃな。

 それが我ら老人がみっともなく続けた戦争で地獄を見てきたせいだとしたら。

 わしはまず謝罪をせねばならん。

 本当にすまなかった」


丁寧に頭を下げ戦争の加害者として謝罪をするボンズ。

だけどそれだけでは異議ではない。

ボンズが伝えたい心はここからだ。


「我ら人という種族は愚かで、争い続ける事しかできん醜い生き物かもしれん。

 それでも、それでもな、これでも少しづつ前に進んでおるんじゃよ。

 少なくとも、ワシが生まれた時の、戦争初期に荒れ果てたリンクスは、今やこれほどまでに大きな国家となった。

 ワシ一人の力ではない。

 君の語る愚かな80年の戦争の中でも、豊かな生活とするための弛まぬ努力を続けてきた結果じゃ」

「多くの人々を犠牲にして、ですか?」

「・・・そうじゃな、そこから目を背ける事はできん。

 しかし、だからこそ彼らに感謝し、我らは先へと進まねばならぬ」


ここでボンズはカイリではなく、この会話を見守る観衆へと向き直り。

驚く聴衆へ向けて、大きく手を広げて。


「リンクス連邦国民よ! なぜローレンス君以外はだんまりを決め込んでおる!?

 先ほどのカイリ君の言葉、悔しくはないのか!?

 わしは悔しい! ああ! はらわたが煮えくりかえらんほど悔しいとも!!

 英雄ハンクスをはじめ、数多の英霊達が築きあげてきたこの国の秩序という歴史を、

 まだ20も生きぬ少年に、意味がないと扱き下ろされたのじゃぞ!?

 なんと無様か! なんと情けないか!!」


国民を煽るボンズの意図を、誰しも図りかねていた。

気が付けば呼び方をカイリ”殿”ではなくカイリ”君”と、近所の少年でも呼ぶように。

ボンズの焚き付けに、群衆の中からも少しづつ。


「・・・くやしい、ですよ」

「くやしいに・・・決まってるじゃないですか!!」


そんな声が、ポツポツとあがりはじめた。

ローレンスが異議を唱えて飛び出した時、彼らは内心良い気分がしていたのだろう。

国を動かす者ならばこそ、カイリの行いが許せないのは当然なのだから。

その声を待っていたと、ボンズは翻すような大きな動作でカイリへと向き直り、指を突きつけ。


「カイリ・ハウンド君! 我らリンクス連邦は、君に宣戦布告をする!!」

「え?」

「は?」


あまりにも唐突すぎて、大問題な台詞にカイリだけでなく、静観していたアズキもポカンと口をあけ。

続いて、式典会場にこれまでで最大のざわめきが巻き起こる。

さすがに冗談か、取り消すだろうかと待つカイリとアズキだったが、ボンズは不敵な笑みを浮かべ。

ざわめきすらも打ち消す大きな声で、高らかに宣言する。


「これよりリンクス連邦は、君が理想として語る人々が幸福であれる国となろう!!

 君が否定し嫌悪する、秩序をもってしてな!!」


それは、理想論だと誰もが笑う。

全ての人が幸福になれる社会構造など、人類に作り出せるはずがないのに。

それがどれほど困難で、人が一世代でできる偉業ではない事など、ボンズが知らないはずがない。

けれど、理想論だからこそ、誰もが夢見る世界なのだから。

国家元首としてボンズは怯えも迷いもない瞳でカイリを見据え。


「先の戦争でこそ我らは敗北を喫した!

 だが、此度の戦いにおいて、我らは負ける事を許されぬ!

 国を理想郷へと築き上げる、それができねばリンクス連邦の歴史の敗北!!

 我らは最強の傭兵を前に一歩とて退かぬ覚悟じゃ!!!」


そうだろうと再びボンズは手を広げ、国民の声を促せば。

ざわめきや戸惑いは全て消え去り、式典会場に巻き起こるのは、決意と喝采。


「いいじゃねぇか! 今度は負けねぇぞ!!」

「リンクス魂、最強の傭兵様に見せてやろうじゃねぇか!」

「見てなさいよカイリ様ぁ! 貴方がびっくりするぐらい、いい国にしてやるんだからね!!」


それを背に、ボンズはカイリとアズキへ向けて、勝ち誇ったようにニタリと笑う。

アズキの喉からは驚嘆しかでてこない。


「はぁ・・・なんつー無茶苦茶なおじいちゃんっすか」


なんでこれだけのカリスマを持つ人がさっさと大統領にならなかったのかと、

おそらく会場の誰もが思っている事だろう。

そして宣戦布告をされたカイリはというと、呆れの表情に笑みをたたえながら。


「・・・以前の手合わせの、お返しというわけですか?」

「うむ、わしは負けず嫌いでな。

 勝ち逃げは許さんと思っておったところじゃ」


強い決心を持って挑んだ公の会見で、まさかこんな反撃をされるとは思ってもみなかった。

おもてなし部隊のヴェイグといい、この老齢の大統領といい。

どうしてリンクスにはこんな手ごわい相手ばかりが残ってしまっているのか。

してやったりと、ガキ大将みたいな笑いを浮かべるボンズに、それと―。

いつのまにか壇のすぐ下にまで近づいてきていたローレンスとスイレン。


「ボンズ大統領、俺を利用しましたね?」

「それはリヨウされるローレンスがワルいヨ」


あの空気の中よくカイリに噛みついてきたものだと、ローレンスの無鉄砲さには呆れる他ないが。

誰よりもリンクス連邦国民の心を代弁したのもまた彼だ。

スイレンも、もしもの時は自分も処罰されると知っていながら静かにローレンスについてきた。

こんな人間達を見せつけられれば、世捨て人と称されたカイリとて、ボンズを真正面から見据え。


「・・・先ほどの言葉を取り消します」

「ふむ?」

「穏やかな国を見せてください。

 俺やアズキがここで暮らしてもよいと思えるような、そんな国を」


未来への希望を抱かずには、いられないではないか。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ