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主役交代?(笑)  作者: 未満
14/53

村長パパゴとの対面

登場人物が増えたよw

 「ヒロぉ~。重くない?代わるよ。」


 「大丈夫。重くない。俺のニア姉ちゃんは応援しててくれたらいいの。」


 先ほどからこのセリフの繰り返しをいったい何回聞いただろう。ダンは最初こそ微笑ましく見ていたのだが段々呆れ、そして今ではスルーしていた。

 程なく村が見えてくるころだろう。

 そして間もなく村の人たちが俺たちを見つけて大騒ぎをすることだろう。

 もしくはすでに誰かが見つけて村長の家に駆け込んでるかもしれない。

 

 「もうすぐ村に着く。ヒロの怪力はその荷物を見れば一目瞭然なので隠せないが後はさっきの作戦、えっとネコまたぎでいくぞ。」


 「ダンのおっさん、それを言うならネコ被りだ。力が抜けそうになるからそんな間違いをしないでくれ。」


 「あははは。悪い悪い。」


 全く、悪びれた様子もなく軽く謝るダンに大きなため息を一つ。

 さて、ここからが大一番。これからの生活が懸かっているんだから猫を山ほど盛大に被ってやるさ。ヒロは内心で色々歩きながら画策していたが、ふと自分を心配をしながら隣で並び歩いていたニアが黙り込んだのに気づく。


 「ニア姉ちゃん、心配しなくても大丈夫。俺が全て引き受けて話するから。ニア姉ちゃんは挨拶だけして俺の後ろに居ればいいよ。」


 「そうだぞニア。交渉事なんかの厄介な事は俺とヒロに任せとけ。ニアはネコを被ってヒロの後ろに隠れ解きゃいい。」


 ヒロの援護射撃のように豪快に笑いながら胸をたたいて頼っていいぞと言うダン。

 ニアは村へ着くということで急に現実味を帯びた異世界と遠く帰れない所へ来たことに寂寥感を感じていた。

 暗い考えに浸っていたニアを2人は気遣い(理由は間違っていたが)励ます。

 そんな心遣いにニアの心が温かくなるのだった。




 ダンが想像した通り村の入り口には沢山の人が待ち構えていた。

 そのうちの一人がダンに気づき近づいてくる。


 「コランダム。お前、その荷物はなんだ。それに連れてる2人も見た事ない顔だな。」


 「おお、ただいまアイオライト。山で迷子を見つけてな。まぁ詳しいことは村長への報告で話す。一旦、こいつらを俺の家に連れてくわ。」


 「だがお前・・・。」


 アイオライトはその後の言葉を濁す。

 だがそれを的確に理解していたダンは「こいつらの責任は俺が全部取るから」と宣言して自宅へと2人を伴い人垣の間を抜けて行った。


 

 村の外れの小高くなった場所に小さいが頑丈そうなダンの家はあった。


 「小さい家だが遠慮はいらない。俺しか居ないしな。」

 

 そう笑顔で2人を招き入れたダンは入ってすぐの机に荷物を乗せる。

 その部屋には華美な装飾は無く簡素だが実用性のある机と椅子4客、正面の壁には暖炉があり火は勿論ついていないが鍋がかかっていた。

 お邪魔しますとなぜか小声で挨拶をするニアの背を押しながら入ってきたヒロは床に背中の荷物を下ろす。


 「ダンのおっさん、この荷物の中のどれを村長宅へ持って行く?後でご近所の顔つなぎに持って行く分はよけてくれよ。」


 「そうだな。じゃあ、村長には毛皮を持って行こう。一般家庭には不釣り合いな品だしな。近所には肉の方が喜ばれるだろう。」


 そう言うと椅子にドカっと座り着かれたなぁとつぶやく。

 これからだってと言いながらダンに習いヒロも椅子にかけると肩の力を抜いた。

 そんな2人にニアはバックからカップを取り出すとペットボトルから今ではもう手に入ることのない故郷の味の緑茶を注ぎ手渡す。

 

 「ありがとなニア。これから俺とヒロで村長の所へ挨拶に行ってくる。ニアは家の中でも見ながら待っててくれ。」


 そう話すダンに私も行くと聞かなかったニアだが、どんな人が居るかわからないから待ってて欲しいとヒロにまで言われてしぶしぶ頷いた。

 そんなニアを家に残しダンとヒロは土産を持って村長の家に向かうのだった。



 2人が通された村長の家の居間には村の男たちが集まっていた。

 男たちはダンが連れ帰って来た2人の子どもが本当に危険がないのか気になっていたのと、その子どもが背負っていた大きな荷物にも興味があったからだ。


 「パパゴさんこの度は勝手に子どもを村へ入れた事、申し訳ない。その事情は後で説明するので誰かにこの薬草をガバンシの所へ届けさせてくれませんか?」


 そう言うとダンは手に持っていた袋を差し出す。

 パパゴことこの村の村長はダンが親友のガバンシの怪我の治療の為にノーラの山に入ったことを知ってたので袋を受け取ると右に控えていた者にその薬草を託した。

 

 「さてコランダムよ。これで憂いはなくなっただろう。そこに居る子どもを連れてきた事情を話してもらおう。」


 そう告げるとコランダムに嘘を見透かすような視線を向けるのだった。

 

 

 

 


 

 




 


読んでいただき有難うございました。

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