今日も良い日でありますように
初めて投稿します。誤字脱字などご容赦下さい。また、ご指摘いただければ嬉しいです。何分、思うままに書き連ねているのでお見苦しい点などあるかと思いますがお許しくださいますようよろしくお願いします。
・・・敬語・・あってた?w
「ああ・・いい天気だなぁ・・・」
晴天の空を見上げながら大きく手を伸ばす。
まるで青空のすべてを手にするかのように。
「今日も良い日でありますように」
祈りにも似た日課の言葉を紡ぎながら、大きな皮袋を肩に掛け直す。
元気よく少女が足を踏み出したのは、けもの道のような人1人歩くのがやっとの山道。
鬱蒼と茂った木々の根が張り巡らされ、お世辞にも歩きやすいと言えない道をどこ吹く風の軽快さでずんずん進んでいく。
そう、進んで行く。全てを蹴り一つでなぎ倒しながら・・・
やってることはめちゃくちゃなのに、どこかのんびりとした少女と、その後ろをニコニコと微笑みながら同じ様に歩いて行く青年。
前を歩く少女に合わせるように青年はゆっくりとした足運びで、ずいぶん余裕があるように見える。
しかし、その背には少女の3倍以上の荷物が背負われている。
勿論、その荷の大きさに比例するように重量もあるのだが、青年の表情からも様子からも全く重さを感じさせない。
そんな2人連れがこの物語を綴っていくのである。
♪*:..。o○ ★ *:..。o○♪
時間は遡る。
2人が大きな荷を背負い山道を行く原因へと・・・
山間にある2人が住む村オーケンでは、狩りと小さな畑で出来る作物、山菜などの山の恵み等の基本自給自足で日々暮らしている。
周りは見渡す限り山、山、山。
救いは山々から昏々と湧水が枯れることなく村の井戸を潤していること。
後は数か月に1度、各村を回る行商との物々交換で村では得ることの出来ない塩や小麦などの日用品を仕入れている。
しかし、半年前の長雨で村への道は山崩れに合い通行止めになってしまった。
当初は皆「すぐに復旧するだろう」くらいに考え、日用品を節約すべく工夫して使用していた。
だがそれも限度があり、一つまみの塩さえ無くなってしまうと村長パパゴへの相談が相次ぎ始めた。
村人の不安がピークになりつつある頃、パパゴの家でほぼ全員の村人集め今後のことを話し合うこととなった。
それまでにも何度も話し合ってはいたが決定的な結論が出なかったのだ。
「やはり誰かに隣村ハウまで行ってもらうしかないな。」
「それはわかっているのですが・・・」
「たしかに、道を迂回するとなるとハウまでは、大型の獣のいる険しい山を3つ越えることなる。しかもこちらの必要な荷は重い塩や小麦などだが、馬車も使えん。」
普通、少量の荷であれば日常的に山で狩りをしている数人の大人で運ぶことは出来るだろう。
彼らの仕事場はまさにその大型の獣を狩ることであり、険しい山に入ることだ。
だが、もうすぐ冬を迎える村では食料の長期保存の為、大量に塩がいる。
それでも日にちをかけ何往復もすれば可能なように思う。
しかし、お金を殆ど使うことのない生活をしている村では物を手に入れることは交換なのである。
つまり狩りを行うことの出来る者に荷運びを頼んでしまうと冬の備蓄食料や交渉用の品まで事欠き、必要量の交換品を手に入れられない。
まさに八方ふさがりの状態のまま、話は遅々として進まなかった。
パパゴが年齢で落ちくぼんだ眼を伏せ思案に暮れていると
「私たちが行きます。」
重苦しい場の雰囲気を壊すような明るく高い少女の声に、みんなが一斉に声のした方を振り向く。
そこには、あどけない顔で微笑みながら手をあげる少女が居た。
「お前は2か月前から空き家で暮らし始めた者だったな。確か・・・名はニアとか・・・・。」
「はい。弟のヒロと山の中で迷子になってるところを狩りに来ていたコランダムさんに助けていただきました。
そんな見ず知らずの私たちにコランダムさんをはじめ、村の方々は食事や住む場所まで用意してくれました。
ありがとうございます。すごく感謝しています。
ですから、少しでも恩返しのチャンスを私と弟に頂けませんか?」
「し・・しかし・・・」
まるで近所まで散歩に行くようなニアの言葉にパパゴが口を濁すのも道理。
ニアは村の女性の平均身長より7cm低い158cmで、どう見ても成人しているようには見ない。
また,この村の子供よりも華奢で武術に秀でているようでもない。
しかもその弟ヒロと言うのも身体は大人に負けないくらいの175cmで程よく筋肉質で鍛えているようだが所詮、子供だ。
大型の獣が跋扈し、村人さえめったに立ち入ることない険しい山へ例え本人たちの意思とはいえ、非力な子供2人で向かわす事に即答出来る訳がない。
パパゴの言外の様子にニアは何を思ったのか、徐に近くにあった机へ向かった。
その机はパパゴの家にある一番大きな机で、大人2人がやっと動かすことの出来る重量のある物で、今は隣村までの地図が広げられていた。
それをニアは皆が見守る中、机の端を片手でつかむと軽々と持ち上げた。
信じられない光景に目を見開くパパゴをはじめ村人にニアはニッコリ笑って「これ軽いですね」と一言告げたのだった。
こうして無事(?)お役目をいただけた2人は、翌日まだ日も明けぬ早朝に村を発ったのだった。
♪*:..。o○ ★ *:..。o○♪
「ねぇ、ヒロ。なんか、荷物が増えてくのは気のせいかな?」
「(きっぱり)現実です。」
「だよねぇ。村出た時は背中の荷物だけだったよねぇ。」
「だね。でも、これはおまけってことでw」
「おまけにしては多いよねぇ。」
2人が呑気に話しているのは、引きずるように運んでいる物のこと。
それは、ここまでの道すがら襲ってきた大型の獣である。
その獣たちを肩や背の荷物を下ろすことなく蹴りだけで仕留めたのだ。
あまりのあっけなさに「強いの出てこないねぇ」とニアが言う始末。
倒した獣は軽く捌き、品物をまとめる為に持っていた紐で縛りあげ背の荷に加える。
一匹の獣の大きさが熊以上あり重量も100キロをゆうに超えた。
それが進む度、どんどん増えるのだから笑い事ではない。
「ねぇ、これ以上、持てないんだけど。」
「大丈夫、俺は後2匹くらいなら軽いから心配しないで。
それにね、後はこの山を下るだけだし。」
まるで小動物を扱うように話すヒロは、すでに3匹の獣を運んでいる。勿論、ニアも2匹引きずっているのだが・・・
彼らが進む先には道はなく、そんな大きな物を運ぶ彼らが通った後には大きな道が出来ていた。
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「た・・・大変です。何か得体の知れない者たちがこの村に近づいています。」
そのころ2人が向かうハウの村の正門を守っていた村人が真っ青な顔で村長ヘッソにそう報告していた。
「何!!盗賊か?どれほどの人数だ?どのくらいの距離まで近づいている?」
冷静に状況を判断しようと矢継ぎ早に問いかけるヘッソは、その昔、冒険者としてそこそこの実力であったが戦闘で足に怪我を負い、故郷に帰って父親の後を継いだ男だ。
鋭い視線で全てを見透かすようなヘッソは、今なお身体を鍛え185cmの大きな体に見合う筋力があり、右足を少し引きずるが村で1番の戦力で実力者である。
自分が不審者ではないが、そんな視線を受けた報告者は身震いし自分が見た状況を必死で話し出した。
「近くまで偵察に行った者によりますと、人数は2・3人。山の木々をなぎ倒しながら進んでおり、このままですと村まで後半時ほどで到着しそうだとのこと。」
「2・3人だと?・・・どんな風貌だ?得物(武器)は?」
「得物はわかりません。しかし1人1人が小山ほどの大きさだとか。」
「な・・何!!そんな大男なのか・・・・」
ヘッソは、今の自分では勝てそうにないこと村の中にも対抗できそうな者はいないことを瞬時に判断し、指示を出した。
「村人を裏の洞窟に避難させ、男たちには至急、武器を持ち正門に来るように知らせろ!俺は先に正門へ行く。」
「は、はい。」
そして男たちは各々の場所へ向かうべく駈け出した。
と・・・言う感じで始まりますww
読んでいただきありがとうございました。