私立上野学園に転(乱)入!
月日は流れ、x年1月10日。(たいしてとんでいない)待ちに待った私立上野学園に転入(乱入)の日である。
「まずは校長室に行きますよ。人間界ではあいさつは基本だそうです。」
「は?そんなのどうでもいいじゃないか。教室行くぞ、教室!」
「あーい。」
ちょっ・・・だめだめだめぇッ!!
そうして、校長室には行かずに2年A組の教室へ。
「すみません。2年A組に転入してきた世話野と申します。どこに座ればよろしいでしょうか。」
近くの人間に話しかけてみる。
「ひっ・・・え?て、テキトーにそのへんに居ていいですわ。この私に気安く話しかけないでいただきたいわ。」
髪の長いその人間はしどろもどろになって走り去ってゆく・・・。
「なんだよ、感じわりーなぁ。」
「ほんとほんと!」
「まぁ、しょうがないですよ。だって、スタバのコーヒーを持ったブロンドの女子高生が話しかけてくるんですから。しかも、後ろには『でっかいポニーテール少女』と『いかにもメイドっぽいくりくりの女の子』です。」
「そうか?普通だろ?」
あぅ・・・やっぱ神、ずれてるよ。こんなんでやって行けるのかなぁ。ますます心配。
「おい、そこでなにやってんだ?」
「な、おい!お前!!この神に向かって・・・むぐぅ!」
ますますますます心配。
「あぁ、私たちは2年A組に転入してきた者でございます。どこに座ればよろしいでしょうか。」
「おお、そうか。俺は2−Aの担任の戸田列だ。」
この大柄でへたれ・・・
「もうあと3分くらいでホームルーム始まるし、教卓の横にいて。」
「かしこまりました。」
戸田列はすこしぎょっとして、教室に入った。あ、コーヒーどうしよ・・・
「えー、今日から、新しい仲間が3人も来てくれた。」
「おーっ」とどよめきが起きた。そして、戸田列は私たちに目配せをした。
神が自己紹介を始めた。(どきどきどきどきどきどき・・・)
「私は天界から来た、神・victoireだ。よろしく。」
しまったーーーーーーーっ!!神、それだけはだめだと言ったのに!生徒の目がテン。
てことは、おもちゃも・・・
「おもちゃは、おもちゃだよ?なんで紹介なのぉ?アンドロイドは機密じこ・・・いたっ」
つま先って効くなぁ。そうでもしなかったら自分で機密事項を言ってしまうだろう。
「ごめんなさいね。この2人が変なこと言いましたが、こっちは神宮はるみ。こっちは王元ゆい。ちょっと変わった者ですが、仲良くしてあげてください。申し遅れましたが、私は世話野みかんと申します。何卒よろしくお願いいたします。」
キマッた。あれ?周りの空気が気持ち悪いぞ。ちょっと、拍手は?
「おう、では、仲良くするようにな、はは。」
戸田列は慌てて拍手。周りも続く。・・・なんだよ、それ!
「じゃぁ、あそこの席に座れ。」
「かしこまりました。」
「あーい。」
「なんであんなやつに指図されなきゃいけないんだよ。」
はあ・・・。
そうだ。私たちが座る席に囲まれたあの人とも仲良くなっとかないと。・・・なーんか見たことあるなぁ。やけに青ざめているが。
ま、まさか。
「おう、あのときの人間じゃないか。あの後、通報してないよな?」
「ひぃぃっっ!!し、してませんよぅ。どんなことされるかしれませんし。」
「よかったよかった。まあ、これから仲良くして行こうぜ。」
「はい・・・あの、ちょっとうるさ」
「そこ!うるさいぞ。」
「ほらぁ・・・」
「たいしたこと無いって。」
神とあの人間がやりとりしてる間に、戸田列の話はずんずん進んでいた。なんとこれから『始業式』とやらがあるそうだ。
始業式の終わった後は各自下校。私たちも帰る支度。
それにしても・・・なっがい!始業式って長いよ!冷たい床に座って校長の話聞くだけなんて。人間界ってめんどくさいわ。
「おもちゃお腹すいたぁ〜。メロンパン食べたいよぉ。」
「ほんと、私もですよ。帰りにメロンパン買って行きましょうか。」
「そうする〜!」
「ねぇ、神。早くパン屋さん行きましょ・・・なんですか?それ。」
神はカラフルなポスターを熱心に眺めていた。瞳は輝いている。
「おもちゃ、世話役A、私は生徒会長になってみせる!!」
へっ?おもちゃも私もキョトン顏。私はカラフルポスターを壁から剥がしとった。
《うえがくを引っ張る生徒会執行部員を募集中! 〆切:1月30日》
なんと・・・入学早々!?
「そんな、神に生徒会長なんて務まるわけないのに・・・」
「あ?」
「いえ・・・。」
「ああ、そうだ。生徒会長にはアシストが必要だよなぁ・・・?」
やっほー!おもちゃだよー(笑)このくだりあきたねー。なんかAちゃんの名前のことについて言いそびれてたらしいんだけど・・・。えーと「守護・親切」です。たぶん。んじゃ、バイビー!!
byおもちゃ