おもちゃのおもちゃによるおもちゃのための取扱説明書
これは本文です。
フワフワ、フワフワ。
おもちゃは気がつくと青い空の上に浮いていた。
あれ?おうちにいたはずなのに・・・?と思っていると、どんぶらこ~どんぶらこ~と大きな桃が流れてきた。も、桃!?いくらおバカなおもちゃだって、ありえない大きさの桃が流れてくることはおかしいと思った。だけど桃・・・。かの有名な昔話のような展開だ。・・・・・。おもちゃの理性より好奇心のほうが上まわった。大きな桃を触ろうとした瞬間、桃の中から白い煙が飛び出して、視界が真っ白になった。
目を開くと、見覚えがある部屋にいた。いつだっけ・・。そうだ、『がくえんさい』に来た時の部屋に似てるんだ。・・・ん?でもなんで?さっきまで空の上だったのに・・・。
「コホン。」
必死に考えていてきずかなかったけど前方には人がいた。あごひげがご立派な、いかにも頭のよさそうなおじさんだ。
「す、すいませんっ。」
思わず謝ってしまったが、おじさんは気にしない様子で淡々とした口調だった。
「早く座りなさい。」
この部屋にはたくさんのイスと机があり、どこに座ったらいいのか迷ったが、一番前の真ん中に腰を下ろした。それを見計らったようにおじさんが、
「起立、れ・・・」
ガラッ
部屋の扉が開き、人が入ってきた。
「まったく神のせいですからね。」
「知るか、ばか。」
「か、神ちゃぁん!?Aちゃん!?どうしてここに?」
神は何を言ってるんだという風に、肩をすくめた。
「そんなの・・・」
「早く席に着きなさい。」
「ふぁーい」
神はダルそうな返事をして、おもちゃの後ろの席に座った。それを見て世話役Aも神の横に座った。
「え~では授業を始めますが。まず初めにおもちゃとは!!高性能アンドロイドなのである!!」
おじさんは最初の静かな雰囲気と打って違い熱く語った。
そしていつにお間にか用意してあったホワイトボードにおもちゃの絵(かなり下手)を書きこんだ。
それを指さしながら熱く語り続ける。
「ここ!!自爆ボタン!!おもちゃの最も触れてはならない所だぁッ!!」
おじさんは耳たぶの後ろを指して語るというか、叫んだ。
「ここ!!モード切り替えボタン!切り替えるモードは普通、攻撃、食事、睡眠、映写だぁッ!!」
おじさんはこめかみのあたりを指して語るというか、叫んだ。
「モード説明!!普通は普通!!ほかのモードは何もできない!!攻撃、自分自身の身が危険にさらされた時、モード切り替えボタンを押さずともなるぞ。攻撃の種類は、主にロケットパンチ、6連発銃(腕から乱射)、毒針(またもや腕から発射)だぞ。」
神がつぶやく。
「そんなに強いなら・・・私の仕事も手伝ってくれたら・・・。」
そんなつぶやきを気にせずおじさんは続ける。
「食事モード!!食事ができるぞ!!ちなみに、おもちゃは甘いものが好きだぞ!!睡眠モード!!仮眠と熟睡の2パターン!!映写モード!!おもちゃのあらゆる知識を映像化して、目から空気に映し出すことができるのだ!!たまにパクるぞ!!」
世話役Aがつぶやく。
「おもちゃって意外と高性能なんだね・・・。」
そんなつぶやきを気にせずおじさんは続ける。
「総じて、おもちゃは高性能なのだ!!」
キーンコーンカーンコーン
タイミング良くチャイムが鳴った。
「これで授業を終わる。こほん。」
おもちゃは感動していた・・・!!
(こんなにおもちゃのことをわかってくれてる人がいるなんて・・・!!サインを貰わなくては!!)
扉に手をかけているおじさんに、話しかけようとしたら・・・。
ガシャン
「何してんだ!!世話役A!!」
へぇ!?神ちゃん?
驚いて目を開くとそこは、高級ホテルのベットの上だった。
「おもちゃ起きた?桃いる?あ。コップの破片そっちに行ってない?」
「え?もも?・・・いる!!」
「帰って早々コップ落とすなんて、ハタ迷惑なヤローだ。まったく。」
「私はいっぱい仕事してきたんですッ!ス、ストレス発散ですよォ。」
「わざと!?」
神はおもちゃの方を振り向いて、
「なぁ、おもちゃ。世話役Aひどいよなぁ?」
おもちゃは神を無視して、無邪気に笑った。
「さっき夢見たんだよ!!」
今回はいままで活躍していなかった、おもちゃメインの話だ。
おもちゃらしく、バリバリのファンタジーだったが、楽しんでいただけ・・・あぁ!!めんどくせェ!!楽しんだだろ?テキトーな感じですまん!!
by神