世話役A 苦労する
にゅ、入学・・・
「神、無理なこと言わないでください・・・もう私、疲れました。し・か・も!住民票ナシ、名前ナシ。第一、私たちは人間界に生まれても死んでもないんですよ?!」
「そぉだよ、神ちゃん!おもちゃもフカフカベッドでお休みしたいよぉ。」
「おもちゃ、おまえは何もしなくていいぞ。おまえはデリケートだもんな。」
おもちゃがこくこくと首を縦に振る。じゃぁ、誰が・・・はっ!!
神は私の方を見た。嫌な予感。
「世話役A。おまえは『世話役』だよな。だったら、なーんでもしてくれるよなっ!なっ!」
ということで、私は働かされることに。やることはたんまり。
1 出生届の作成(いい名前を作る。プレッシャー・・・)
2 家探し
3 入学手続き
なんでも、人間界は魔力が弱い。神でさえヘトヘトになるのだから。
神とおもちゃは、長期滞在することになる高級ホテルで休んでいる。ああ、早く今日が終わんないかなぁ・・・
まず、出生届。外見は大人なのに、「生まれました」とか言ったらもの凄く不自然である。このくらいだったら疲れないので、魔法を使う。しかも、名前は、さらっと出てきた。
「神宮 はるみ」「王元 ゆい」「世話野 みかん」(今日学園祭で食べたみかんがおいしくってさ)
完璧。
一方、神とおもちゃは。
「おい。おもちゃ。大丈夫か?」
おもちゃからの返事はない。当たり前だ。寝ているのだから。精巧なアンドロイドは寝るのだ。
神はため息をついた。神は、眠る必要がない。寝てる間に何かあったら、取り返しがつかないではないか。・・・という理由で、眠る機能がなくなった。神は、ダルそうに専用の機械を持ち出した。
「世話役Aが・・・サボりだサボりだってうるさいからな・・・。」
ウィィィィン
その機械は、静かに・・・起動した。
次は家だ。重要なポイント。神もおもちゃも、「ボロかったら承知しねえぞ、コラァ!」と言っていた。(こんな風には言っていない)不動産屋へGo!
「いらっしゃいませ。どういった物件がよろしいですか?」
「そうですねぇ。お金は惜しみませんので、この辺の一番良いものを。庭付きね。」
「かしこまりました。えー、そうですねぇ。こちらはいかがですか?」
店員が見せたのは、100坪程度の庭付きの新築。白いコンクリの壁に、3階建て。ちょっと狭いが、人間界であれば上等だろう。
「では、お願いしますね。」
「ありがとうございます。お支払いはどうなさいますか?」
「あぁ、もちろん現金・・・」
わ、忘れてた・・・今手持ちにある金は150万円。この物件の金額は・・・
3500万円!?あれぇ・・・天界では魔法で造っちゃうし、土地もたっぷりだからタダに近い金額なのに。
どうしよう。足りない。
「お客様・・・外国の方ですか?」
「え?はい・・・」
外国人になりきっとけばなんとかなるかな。
「我が日本には、ローンというものがありまして・・・」
店員は「ローン」の魅力についてえんえんと語った。ローン・・・一応組んでおこう。
一件落着。住居問題も解決だ。
一方の神とおもちゃは、・・・と言っても、おもちゃは寝ているのだが。
神は、機械を素早く操作した。この機会の操作方法は、神族しか知らない。・・・だから代役が探しづらかったりするのだ。その結果。世話役Aがブツクサ言うことになるのだが。
神は、その機械を上野市周辺に合わせた。そこに書いてあったのは、明らかに神が書いてない言葉が。
《神・victoire 、世話役・aimable protezione、アンドロイドO・Mに会う》と淡々と書き加えられていた。
「くそ・・・やっぱりこうなるのか・・・。」神は、おもちゃを起こさないように、そっと機械を動かし続けた。
最後は、学園に入学手続き。
「えっと、この学園に入学したいんですけど。」
私立上野学園(略して「うえがく」というらしい)の事務室に行けばいいという神からの唯一の伝言だ。
「あれ?保護者の方は?」
「実は・・・この前亡くなって、親戚の家に来てるんです。」
「まぁ、お気の毒に・・・」
ハッハッハッ!親なんて最初からいませんよーだ。考えてたのさッ!
「じゃぁ、前はどこの中学校で?この辺り?」
「福岡県の〇設中学校です。」
「まぁ!名門じゃない。」
ハッハッハッ!中学なんて行くかッ!名門校くらい調べたよ!
「では、入学手続きをしますね。」
「親戚の子供と、里子も入学したいです。みんな中2です。」
「えッ。みんなその〇設中?」
「はい。証明証あります。」
ハッハッハッ!簡単に作れるのさ!まんまと騙されてる、この人間!
「では、また明日来てください。証明証はお預かりしておきますね。」
よし。終わった。また明日来れば、12月はゆっくり過ごせるな。
一方神とおもちゃは。・・・と言っても(以下略)
神は上野市周辺で、ある人間を探していた。その『人間』の所にくると、神はおもちゃが寝ているかどうか確かめ、ゆっくりと書き加えていった。
《神・victoire、世話役・aimable protezione、アンドロイドO・Mと親しくなる。》
そして、伝言板らしきところに、《代役へ、この文句は消さないように願う》と書き加えた。
ウィン・・・。神はその機械の電源を静かに切った。
やっほ~!!おもちゃだよ~。今回は名前のことについて話すよ~ん!
ちなみにAちゃんが作った人間名と天界での本名の二種類があるの。
人間名のは感じでわかるかもだけど、いろいろもじってるよ!!(わかる人はわかるよ~)。んで、天界名なんだけど、神ちゃんは『ヴィクトワール』で世話役Aは『プロテッツィオーネ』って読むの。え!?意味?・・・・。そ、そんなのおもちゃわかんなーい。
byおもちゃ