神は蛙
放課後。私たち3人は生徒会室に籠っていろいろと作業をしていた。(おもちゃは学食の残りのメロンパンを食していた)
「優奈さん、会計お願いしてもよろしい?」
だが、けっこうかかりそうだ。だから、2年執行委員の梶原優奈に頼むことにした。
「ああ、いいよ。私今日空いてるし。」
「ごめんなさいね。夕食を作らなくてはいけないので・・・。」
「ああ、お母さんとかが居ないんだっけ。大変だねー。任せといてっ!」
設定という物は役に立つものだ。
「おいおい、せわ・・・の、もう帰るのか?私はまだ終わってないぞ。」
「え?新聞は終わらせないと駄目ですよ。しょうがないじゃないですか。コツコツやってなかったんだから。」
神は溜息をもらして、しぶしぶ作業に戻った。
私はおもちゃに支度をするよう促して、生徒会室の扉を開けた。
「では、お先に失礼しますね。あ、最終下校は6時半ですよ。」
「じゃあ神ちゃん、優ちゃん、がんばってね!」
腕時計を見ると、もう5時半を回っていた。窓の外が暗くなってきている。
「じゃぁね、みかん、ゆいちゃん!」
「今日の夕食は豪華にしてくれよ。」
バタン。
「んーっ。夕食・・・。おもちゃ、何がいいですか?」
「コロッケ?」
「分かりました。買い出しに行かないといけないので、早く帰りましょう。」
「うん!」
私は、神だ。
「絶対羅蘭様の方が良いわよ。」「そうよ、何でこんな人が・・・。」
あぁ。そうか。五色院のオトモダチか。・・・天界ではこんなのなかった。
「なんで五色院様が落ちてこんな人が。」「なんで!」
人間は醜い。
醜い。嫉妬。妬み。恨み。絶望。
「あんたが辞めればいいのよ!」「辞めなさい!」
人間は醜い。・・・だから面白い。
人間の手が真っ直ぐ伸びてきた。人に触れられるなんて・・・。
バシッ!
痛い・・・?神の頬に触れるなんて。人間は面白い。
これは神罰を下さなくては。
「お前らが辞めれば良いだろゥ?ニンゲンを。」
「は?」
キッチンにジャガイモと油のいい匂いが漂う。珍しくおもちゃが衣付けを手伝ってくれた。
「早くたべたい~」
「神が帰ってきてからですよ。全部揚げ終わってませんし・・・」
ヒュイン
・・・ん?なにかが頭をよぎった。
そういえば神は?時計を見ると、もう7時前——下校時間はとっくに過ぎているのだ。学園から家なんて30分もかからないのに、おかしい・・・。
「ちょっと、おもちゃ!火、止めてください。」
「え、ちょ、どしたの?揚げなきゃでしょ?」
「そうですが・・・神がっ!!」
もう言葉が出てこなかった。とにかく、神の身に何かを感じた。
神はもはや神宮はるみでは無かった。はるみだった時の美しい黒髪はどこへやら、耀かんばかりの金髪が腰まで伸びていた。目も最早人外の色――というより光り輝いていた。
【下されよ。神罰。妾ヴィクトワールの名のもとに!】
神が叫ぶと共に幻想の炎が湧く。人間どもが苦しがっているのを見てニヤリと笑うと呟いた。
【今日の夕食・・・食べたかったなァ。】
神は急に真面目な顔になって最早消えた炎のせいで苦しんで・・・今は倒れている人間どもを見つめた。
【・・・人と神は交えぬ存在なのだ。トアキウヌキオレ!】
そして神は―――消えた。
学園はもう暗く、明かりがついているのは職員室と事務室だけ。私はおもちゃのライト機能を起動し、神を探した。
生徒会室にもおらず、教室にも居なかった。残るは体育館方面である。
私と、よく状況の分かっていないおもちゃは、体育館に向けて走った。すると、体育倉庫の扉が少し開いていた。
「もしかして・・・」
ガチャッ
「神っ!?」
神はいなかった・・・だが、なんと五色院羅蘭の側にいるヤツらが、数人倒れていた。・・・一悶着あったのだろうか?神のことだし、無いことも無いけど。
だが今ここにいると私たちがやってしまったことになるぞ?
「ちょ、どうしましょう・・・。証拠隠滅しとかないと私たちが危ないですね。」
「ん・・・っじん・・・ぐう・・・」
すると急に、倒れていた一人が起き上がった。おーっと、やばいぞ?!
「てやぁっ!!」
「あぐっ!!」
一瞬の出来事——おもちゃがお腹にパンチを・・・!殴られたヤツは、どさっと音を立てて崩れた。
「おもちゃは魔法を使えないですしね。はぁ・・・もういいや。少しだけでも忘れてもらおうっと。」
人間界で魔法を使うことは無いし、使っても大丈夫だろう。私は呪文を唱えて、彼女たちの記憶を少しだけ消して、きれいに壁に立てかけておいた。
「ふぅ・・・。とにかく、神を探さないといけな・・・あれ、これ・・・!」
心底ビックリした。
私は、灰色の汚い床に見つけたのだ。神が長い髪を結ぶのに使っていた黒いゴムを。
「おもちゃ・・・おもちゃ・・・っ!どうしましょう・・・!神はここにいたのですね!」
「えぇと、神ちゃんはここに来て、あの人たちをばーんってして、髪をほどいた?」
「どこにほどく必要があるんですか!おそらく神は・・・」
なぜだろう。「一悶着」では無かったのか?!
「天界に帰ってしまいました・・・!変な感じがしたのは神が天界に帰る呪文を唱えたからです・・・。」
最後はもう言葉にならなかった。おもちゃも黙り込んでしまった。
「追わなければいけませんね・・・ああっ!!でも力をさっき使ってしまった・・・」
今までで一番の後悔かもしれない。私に残っているのは、わずかな人間並みの力だけだった。
「しょうがないですね・・・神のことです。すぐに帰ってくるでしょう。」
「ほんとかなぁ?帰ってくるかなぁ?」
おもちゃは今にも泣きそうな声だった。(あ、涙、出るのかな?)
「ええ、信じましょう。大丈夫ですよ。」
いつもならこれで済むのだが・・・今回ばかりは、少し嫌な予感がしていた。おもちゃもきっと、それを察知しているのだろう。
「——ほら、おもちゃ!帰ってコロッケ食べますよ。冷めちゃってるでしょうけどね。あたためましょう。」
「・・・うん!食べる!」
今回は。こんなくそ長い物語を読んでくれて、ありがとなー。
今回は。ここで終わろっかな―。と思ってる!
今回は。私が、書いたところあるんだぞ!
今回は。・・・もうこのネタ、キツイなぁ。
今回は。世話役Aあたりに任せようと、思う。
今回は。神より。
こんにちは。世話役Aです。(神、「今回は。」を連呼し過ぎですよっ)
今回は長かったですが、いかがでしたか?
ええ、今回で「世話役Aの苦労物語」は終わりです。閉店ガラガラ〜でございます。
「せわくろ」は終わりますが、第2期が始まりますよ。ご心配なさらず。
だって、神が帰っちゃったままだといけませんしね。
by世話役A
どもっ!おもちゃでーす。今回で最終貝(!?)の「せわくろ」でした~。
でわでわ、第2期も見てね。バイバイー!!
byおもちゃ