1/1
プロローグ/始まりの物語【引き裂かれた双子の二人】
助産婦は、妊婦のお腹を摩ってみた。
医師は、腕を組んで首を傾げた。
「中でどうなっているのでしょう?」
「いやはやまったく」
十月十日を十日過ぎても、妊婦のお中はうんともすんとも。
このままでいたら、母体も胎児も両方危うい。
「やはりこの際バッサリと、腹を切るしかないでしょう」
「いやはやまったく」
「と言うことですが、よろしいですか?」
助産婦が妊婦を覗き込む。
「なんでもいいです。早く楽にしてください」
「それでは御覚悟!」
妊婦のお腹は真っ二つ。
あたりに血潮が飛び散って。
中から赤子が。
「ぬわんとこれは驚きましたね」
「いやはやまったく」
「一卵性の双子ですね」
「いやはやまったく」
「なんだってまたくっ付いて」
「いやはやまったく」
「引き離した方がいいでしょう」
「いやはやまったく」
引き裂かれた双子の二人、
オギャーと同時に泣き出した。




