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52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった  作者: よっしぃ@書籍化


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第7話:魔力中毒の予防

 ◆ 時間経過


 数週間が経った。


 スラムは、大きく変わった。


 畑が実り始めた。


 野菜が育っている。


 住居が補強された。


 石造りの壁が、しっかりしている。


 住民の顔が明るい。


 笑顔が増えた。


 おっさんは、スラムを歩きながら思った。


(……ここまで来たか)



 ◆ セシリアとの就寝問題


 ある夜――


 おっさんは、ため息をついた。


 毎晩、セシリアが抱きついてくる。


 もう、完全に日常だ。


「なあ、セシリア」


「はい?」


「毎晩、お前が来るなら……」


「最初から一緒に寝るか?」


 セシリア、目を輝かせる。


「いいんですか!?」


「……どうせ、毎晩来るんだろ」


「はい! ありがとうございます!」


 おっさんは、慌てて付け加えた。


「ただし、布団は別だぞ」


「はい!」


(……これで、少しは楽になるか)



 その夜――


 おっさんと、セシリアは別々の布団で寝た。


(……よし、これなら大丈夫だ)


 そう思って眠りついた。



 翌朝――


 チュン、チュン。


 おっさんが目を覚ますと――


 セシリアが、おっさんの布団に入って抱きついていた。


「……」


 おっさんは、天井を見上げた。


(……意味ないじゃないか)



 ◆ 風呂が恋しい


 ある日――


 おっさんは、自分の体を見た。


(……汚れてるな)


 水の魔道具で体を洗ってるけど、やっぱり風呂が恋しい。


 日本人だからね。


「なあ、セシリア」


「はい?」


「風呂、作りたい」


「風呂……ですか?」


「ああ。大きな浴槽に、お湯を張って、浸かるんだ」


「日本では、毎日風呂に入るのが普通だった」


 セシリアは、目を輝かせた。


「それは……素晴らしいです!」



 ◆ 共同浴場の建設


 おっさん、ゴードン、住民たちで建設開始。


 土の魔道具で地面を掘る。


 建築用に土を固める。


 石を積む。


 浴槽完成。


「よし、あとはお湯だな」


 火の魔道具で水を温める。


 でも――


「……時間がかかるな」


 ゴードン「もっと効率的な方法はないか?」


 おっさん、考える。


「……温泉とか、ないかな」


「温泉?」


「ああ。地下から、温かいお湯が湧いてくるんだ」


 ゴードンは、首を傾げた。


「そんなものが……」


「試しに掘ってみよう」



 ◆ 温泉発見


 おっさん、土の魔道具で深く掘ってみる。


 強い威力。


 ゴゴゴゴ……


 地面が揺れる。


 そして――


 ドバァァァ!!


 温かいお湯が噴き出した!!


「……おお!?」


「温泉だ!!」


 住民たち、驚愕。


「本当に、お湯が!!」


「温かい!!」


 ゴードンも驚いている。


「こんな場所に、温泉が……!」


 おっさんは、笑った。


「日本人は、風呂運がいいんだ」



 ◆ 共同浴場、完成


 温泉を浴槽に引き込む。


 男湯と女湯、2つに分ける。


 共同浴場、完成。


 住民たちが、次々と入る。


「気持ちいい……!」


「体が温まる……!」


「疲れが取れる……!」



 ◆ 男湯


 おっさんは、男湯で湯に浸かった。


(……ああ、生き返る)


(やっぱり、日本人には風呂だな)


 ゴードンも、隣で湯に浸かっている。


「……これは、いいな」


「だろ?」


「体の芯まで温まる」


「毎日入れば、疲れが取れるぞ」


 ゴードンは、満足そうに頷いた。


「コウタロウの知識は、本当に役に立つな」



 ◆ 女湯


 女湯では――


 セシリアとリーナが、湯に浸かっていた。


「……はぁ、気持ちいい」


 リーナが、ため息をついた。


 セシリアも、幸せそう。


「本当に……こんなに気持ちいいなんて……」


「コータローの発想、すごいわね」


「はい。コウタロウさんは、何でも知ってます」


 リーナは、セシリアを見た。


「ねえ、セシリア」


「はい?」


「あんた、コータローのこと好きなの?」


 セシリア、きょとん。


「好き……ですよ?」


「そうじゃなくて」


 リーナは、少し考えた。


「男女の、好き」


 セシリアは、少し考えた。


「……よく分かりません」


「やっぱりね」


 リーナは、ため息をついた。


「あんた、本当に天然ね」


「でも……」


 セシリアは、湯に浸かりながら言った。


「コウタロウさんと一緒にいると、安心します」


「温かくて、優しくて……」


「コウタロウさんがいないと、不安になります」


 リーナは、少し笑った。


「……それって、恋じゃない」


「恋……ですか?」


「そうよ。あんた、完全に惚れてるわ」


 セシリアは、顔を赤くした。


「そ、そうなんですか……?」


 リーナは、湯に浸かりながら言った。


「まあ、あの男も悪くないわね」


「バカだけど、優しいし」


「スラムの人々を大事にしてる」


「あんたが惚れるのも、分かるわ」


 セシリアは、嬉しそうに微笑んだ。


「リーナさんも、コウタロウさんのこと……」


「私は違うわよ」


 リーナは、即答した。


「あくまでビジネスパートナー」


「恋愛とか、興味ないの」


「そうなんですか……」


 リーナは、セシリアを見た。


「でも、あんたは幸せそうね」


「はい!」


 セシリアは、満面の笑み。


「コウタロウさんと出会えて、本当に良かったです」


 リーナは、少し笑った。


(……まあ、いいか)


(あの二人、お似合いだし)



 ◆ 異変の発見


 数日後――


 おっさんは、スラムを歩いていた。


 すると――


 住民が倒れていた。


「おい、大丈夫か!?」


 おっさんは駆け寄る。


 住民、息が荒い。


 顔色が悪い。


「……すみません……ちょっと、休めば……」


「お前、ずっと働いてたのか?」


「はい……魔道具があれば、疲れないので……」


(……!)


 おっさんは、はっとした。


(魔石の魔力が無尽蔵だから……)


(疲れずに働き続けてしまう……!)



 ◆ セシリアの治療


 セシリアが駆けつける。


 治療の魔道具で治療。


「……過労です」


「魔道具を使いすぎて、体が限界を超えています」


 おっさんは、頷いた。


(……やっぱりか)


「休ませてくれ」


「はい」


 住民を、近くの家に運ぶ。


 休ませる。



 ◆ 4人での話し合い


 夜、地下倉庫で。


 おっさん、セシリア、ゴードン、リーナが集まった。


「このままじゃマズイ」


 おっさんが言った。


「魔道具は便利だけど、使いすぎると体を壊す」


 リーナが頷く。


「確かに。最近、疲れてる人が増えてるわ」


 ゴードンも言う。


「魔道具の性能が良すぎるんだな」


「いや、性能はいい」


 おっさんは、考え込んだ。


「問題は、使い方だ」


「使い方……?」


 セシリアが聞く。


「ああ。魔法の知識を広めよう」


「魔力の仕組み、魔道具の正しい使い方」


「それを教えれば、過労を防げる」


 セシリアは、目を輝かせた。


「……なるほど!」



 ◆ 魔法教室の開始


 翌日――


 スラムの広場で、魔法教室が始まった。


 セシリアが先生。


 おっさんがサポート。


 ゴードンとリーナも見守っている。


「魔道具は便利ですが、使いすぎると体を壊します」


 セシリアが説明する。


 住民たちは、真剣に聞いている。


「特に、休憩を取らずに働き続けると……」


「体が自分の筋肉や骨を削って、魔力に変えてしまいます」


「それが、魔力中毒です」


 住民たち、ざわつく。


「魔力中毒……!?」


「そんなことが……!」


 セシリアは、頷く。


「はい。私も、3年間苦しみました」


「でも、コウタロウさんが治してくれました」


 住民たちは、おっさんを見る。


 おっさんは、前に出た。


「魔道具を使うときは、1時間に1回は休憩を取れ」


「疲れたら、無理をするな」


「体が一番大事だ」


 住民たちは、頷く。


「分かりました!」


「気をつけます!」



 ◆ おっさんの健康知識


 おっさんは、さらに健康知識を教える。


「肉、野菜、果物。バランスよく食べること」


「水も、たくさん飲むこと」


「睡眠も大事だ。最低でも7時間は寝ろ」


「それと……」


 おっさんは、共同浴場を指差した。


「風呂に入れ。血行が良くなって、疲れが取れる」


 住民たちは、メモを取っている。


(……おっさんの健康オタク知識が活きるな)


 リーナが、笑った。


「あんた、教育者みたいね」


 おっさんは、笑った。


「いや、ただの健康オタクだ」


「でも、これで皆が健康になるなら、それでいい」



 ◆ スラムの変化


 魔法教室が始まってから、スラムの雰囲気が変わった。


 住民たちは、休憩を取るようになった。


 バランスよく食べるようになった。


 風呂に入るようになった。


 そして――


 倒れる人がいなくなった。


 セシリアは、嬉しそうに言った。


「皆、健康になりましたね」


「ああ」


 おっさんは、スラムを見渡した。


(……これが、本当の豊かさだな)



 ◆ 夜


 夜、セシリアが、おっさんに抱きつく。


「コウタロウさん、今日もお疲れ様です」


 リーナが、ため息をついた。


「あんたたち、もう好きにしなさい」


 おっさん、笑う。


「……慣れた」


 リーナは、笑った。


「そうね。もう諦めたわ」



 ◆ 就寝


「じゃあ、寝るか」


「はい」


 おっさんとセシリアは、別々の布団で横になった。


 でも――


 数時間後。


 セシリアが、おっさんの布団に入って抱きついていた。


 おっさんは、もう何も言わなかった。


(……もう、これが日常だ)



 翌朝――


 チュン、チュン。


 おっさんが目を覚ますと、またセシリアが抱きついていた。


「……やっぱりな」


 おっさんは、もう何も感じなかった。


(……完全に日常だ)


 セシリアが目を覚ます。


「おはようございます、コウタロウさん♪」


「……おはよう」


 おっさんは、諦めた顔で答えた。



(次回:第8話「王都の影」に続く)


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