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52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった  作者: よっしぃ@書籍化


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第4話:秘密の倉庫

 ◆ 朝(2日目)


 チュン、チュン。


 また、鳥の鳴き声で目が覚めた。


「……ん」


 なんか、重い。


 温かい。


 柔らかい。


(……またか!!)


 おっさんは、恐る恐る下を見た。


 案の定、セシリアが抱きついていた。


 完全に。


「……おい」


「……ん……」


 セシリアが目を覚ます。


「おはようございます、コウタロウさん♪」


 満面の笑み。


 おっさん、ため息。


「昨日、次からは声かけろって言っただろ!」


「声かけました」


「え?」


 セシリア、きょとん。


「寒かったので……と」


「落ち着くので……と」


 おっさん、記憶を辿る。


(……あ)


 確かに、夜中に声がした気がする。


「コウタロウさん、寒いです……」


「コウタロウさんと一緒だと、落ち着きます……」


 寝ぼけてたから、「ああ……」とか返事した気がする。


(……やっちまった)


「ダメ、でしたか?」


 セシリア、不安そう。


 おっさん、諦めた。


「……いや、いい。好きにしろ」


「はい!」


 セシリア、嬉しそうに抱きつく。


 おっさん、天井を見上げた。


(……もう慣れるしかないのか)



 ◆ 朝食


 おっさんは、立ち上がって朝食の準備を始めた。


 昨日の残りの肉を焼く。


 香草で味付け。


「はい、食え」


「ありがとうございます」


 セシリア、嬉しそうに食べる。


「……美味しい……」


 おっさんも食べる。


(……さて、今日は何をするか)


 おっさんは、魔石のことを考えた。


(昨日、かなり回収したけど、まだまだあるはずだ)


(でも、2人だけじゃ時間がかかる)


(スラムの人に頼むか?)


(……いや、ダメだ)


 おっさんは、セシリアを見た。


「なあ、セシリア」


「はい?」


「魔石のことは、誰にも言うな」


 セシリア、きょとんとする。


「え? でも、皆に手伝ってもらえば……」


「ダメだ」


 おっさんは、真剣な顔で言った。


「魔石のことが知られたら、スラムの人々が危険にさらされる」


「……!」


「王都の連中が、魔石を奪いに来る」


「それに、スラムの人々を拷問して、魔石の場所を吐かせるかもしれない」


 セシリアは、はっとした。


「……そんな……」


「知らない方が、安全だ」


「……分かりました。秘密にします」


 おっさんは頷いた。


「魔石の回収は、俺たちだけでやる」


「時間がかかっても、仕方ない」



 ◆ 魔道具回収の依頼


「ただし、魔道具の回収は頼んでもいい」


「魔道具……ですか?」


「ああ。魔道具は王都にとってゴミだ」


「拾っても問題ない」


 おっさんは、外を見た。


「スラムの人に、捨てられた魔道具を集めてもらう」


「修理して、配る」


「それなら、怪しまれない」


 セシリアは、目を輝かせた。


「……なるほど!」


「じゃあ、お前から頼んでくれ」


「はい!」



 セシリアは、スラムの住民に声をかけた。


 年配の女性、若い男性、子供たち。


「皆さん、お願いがあります」


「何でしょう、聖女様?」


「捨てられた魔道具を集めてきてほしいのです」


「魔道具……ですか?」


「はい。修理して、スラムの皆に配りたいので」


 住民たち、顔を見合わせる。


「でも、魔道具なんて……」


「王都の外に、たくさん捨ててあります」


 セシリアは、微笑んだ。


「集めてくださった方には、報酬をお支払いします」


「報酬……!?」


「はい。食料や、修理した魔道具です」


 住民たち、目を輝かせる。


「それなら!」


「やります!」


「聖女様のためなら!」



 ◆ 保管場所の確保


 おっさんは、セシリアの部屋を見回した。


「なあ、セシリア」


「はい?」


「この床板、外せるか?」


「床板……ですか?」


 おっさんは、床を叩いた。


 コンコン。


(……下に空間があるな)


「ちょっと手伝ってくれ」


 二人で床板を外す。


 すると――


「……おお」


 床板の下に、広い空間があった。


 地下倉庫だ。


 石造りの部屋。


 天井が低いけど、広さは十分。


「こんなところがあったんですね……」


 セシリア、驚いている。


「前の住人が使ってたのか?」


「分かりません……」


 おっさんは、地下に降りた。


(……ここなら、魔石を隠せる)


(それに、魔道具の修理もできる)


 おっさんは、セシリアを見上げた。


「ここを、俺たちの秘密の倉庫にしよう」


「秘密の倉庫……」


「ああ。魔石と魔道具を保管する」


「誰にも教えちゃダメだぞ」


 セシリアは、頷いた。


「はい! 誰にも言いません!」



 ◆ 地下倉庫の整備


 おっさんは、地下倉庫を整備し始めた。


 まず、掃除。


 ホコリを払う。


 石壁をチェック。


(……構造はしっかりしてる)


 次に、棚を作る。


 拾ってきた木材を使って、簡単な棚。


 魔石を置く棚。


 魔道具を置く棚。


 セシリアも手伝う。


「これはどこに置きますか?」


「そこに」


 二人で作業。


 数時間後――


 地下倉庫が完成した。


 綺麗に整理された空間。


 魔石を置く棚。


 魔道具を置く棚。


 作業台。


「……いい感じだな」


 おっさんは満足そうに頷いた。


 セシリアも嬉しそう。


「はい! これで、安全に保管できますね!」



 ◆ 魔石の保管


 おっさんは、昨日回収した魔石を地下倉庫に運んだ。


 カバンから魔石を取り出す。


 キラキラと光ってる。


 棚に並べる。


「……すごい」


 セシリアが、感嘆の声を上げる。


「こんなに綺麗な魔石……」


 おっさんは、魔石を見つめた。


(これが、俺たちの財産だ)


(大事にしないと)


 魔石を奥の奥に隠す。


 誰にも見つからないように。


「よし、これで安全だ」



 ◆ 魔道具が集まる


 数日後――


 スラムの住民たちが、魔道具を持ってき始めた。


「聖女様、魔道具を拾ってきました!」


「ありがとうございます」


 セシリアが、魔道具を受け取る。


 水を出す魔道具。


 風を出す魔道具。


 火を出す魔道具。


 その他、色々。


「これ、全部使えそうか?」


 おっさんが確認する。


(……ほとんど壊れてないな)


(魔力が切れてるだけだ)


「よし、修理するか」



 おっさんは、地下倉庫で魔道具を修理し始めた。


 魔力を通すパイプが詰まってる部分を掃除。


 魔石をセット。


 カチリ。


 魔道具が光る。


「よし、使えた」


 次々と修理していく。


 セシリアも手伝う。


「これは、どうですか?」


「ああ、それも使える」


 二人で修理。


 修理した魔道具が、どんどん溜まっていく。



 ◆ 報酬の支払い


 修理が終わった魔道具を、住民に渡す。


「これは、水を出す魔道具です」


「本当に……!?」


「はい。コウタロウさんが修理してくれました」


 住民、感激する。


「ありがとうございます!」


「これで、水汲みが楽になる!」


 おっさんは、さらに食料も渡す。


 昨日捕まえた小動物の肉。


 香草と野菜。


「これも、報酬だ」


「こんなに……!」


「魔道具を集めてくれたんだ。当然だろ」


 住民たち、涙を浮かべる。


「本当に……ありがとうございます……」



 ◆ スラムの変化


 魔道具が配られ始めてから、スラムの雰囲気が変わってきた。


 水を出す魔道具で、水汲みが楽になった。


 火を出す魔道具で、調理が楽になった。


 風を出す魔道具で、暑さがしのげるようになった。


 住民たちの顔が、明るくなった。


「聖女様、ありがとうございます!」


「あの方にも、感謝しています!」


 おっさんは、遠くから見ている。


(……喜んでくれてるな)


 セシリアが戻ってきた。


「皆、とても喜んでいます」


「そうか」


「コウタロウさんのおかげです」


「いや、俺は修理しただけだ」


 セシリアは、おっさんの腕に抱きつく。


「でも、コウタロウさんがいなければ、できませんでした」


 おっさん、照れる。


「……まあ、役に立てたなら良かった」



 ◆ 魔石回収の継続


 おっさんとセシリアは、毎日少しずつ魔石を回収し続けた。


 下水に行く。


 魔石を拾う。


 地下倉庫に運ぶ。


 時間はかかるけど、確実に魔石が溜まっていく。


「今日は、これだけ回収できました」


 セシリアが、カバンから魔石を取り出す。


 キラキラ。


「よし、これで……」


 おっさんは、地下倉庫の魔石を数えた。


 約200個。


(……かなり溜まったな)


(でも、まだまだある)


(地道に回収するしかない)



 ◆ ビジネスの構想


 ある夜。


 おっさんとセシリアは、地下倉庫で話していた。


「なあ、セシリア」


「はい?」


「そろそろ、魔道具を売り始めようと思う」


 セシリア、目を輝かせる。


「売る……ですか?」


「ああ。スラムの人々には配った」


「でも、これ以上作っても、スラムだけじゃ使い切れない」


「だから、外で売る」


「外……」


「王都には行けないから、別の街だな」


 おっさんは、地図を広げた。


(……この世界の地理、よく分からないけど)


「近くに、街はあるか?」


「はい。王都から東に、商業都市があります」


「商業都市……」


「そこなら、魔道具を売れるかもしれません」


 おっさんは頷いた。


「よし、じゃあそこに行こう」


「でも……」


 セシリアが不安そうに言う。


「運ぶのが、大変ではないですか?」


「……確かに」


 おっさんは、修理した魔道具を見た。


 大量にある。


 カバンに入りきらない。


「運搬道具が必要だな……」


「運搬道具……」


 おっさんは考え込んだ。


(魔法の袋とか、自走式のカートとか……)


(でも、俺には作れない)


(複雑すぎる)


「……誰か、魔道具を作れる人はいないか?」


 セシリア、少し考える。


「……もしかしたら」


「もしかしたら?」


「スラムに、元魔道具職人がいます」


「本当か!?」


「はい。でも……」


「でも?」


「今は、落ち込んでいて……」


 おっさんは、立ち上がった。


「とりあえず、会ってみよう」


「はい」



 ◆ 次への布石


 おっさんとセシリアは、地下倉庫から出た。


 床板を元に戻す。


 誰にも気づかれないように。


「明日、その職人に会いに行こう」


「はい」


 セシリアは、嬉しそうに微笑んだ。


「コウタロウさんとなら、きっとうまくいきます」


「……そうだといいけどな」


 おっさんは、窓の外を見た。


(……これから、どうなるんだろう)


(でも、一歩ずつ進むしかない)



 ◆ 就寝


「じゃあ、寝るか」


「はい」


 おっさんは、部屋の隅で横になった。


 セシリアは、布団の中で幸せそうに眠っている。


(……今日も来るんだろうな)


 そう思いながら、おっさんは眠りについた。



 案の定――


 深夜。


「……コウタロウさん……」


「……ん?」


「寒いです……」


「……ああ……」


「落ち着きます……」


「……そうか……」



 翌朝――


 チュン、チュン。


 おっさんが目を覚ますと、またセシリアが抱きついていた。


「……やっぱりな」


 おっさんは、もう驚かなかった。


(……完全に慣れた)


 セシリアが目を覚ます。


「おはようございます、コウタロウさん♪」


「……おはよう」


 おっさんは、諦めた顔で答えた。


(……もう、これが日常だな)



(次回:第5話「魔道具職人」に続く)


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