第27話:魔境の制圧
◆ 街の拡張
数ヶ月後――
新しい街は、大きく発展していた。
人口が増えた。
城の周囲のスラムからも。
城と反対側のスラムからも。
もっと遠方からも。
人々が、希望を求めてやってくる。
「ここで、暮らしたいです……」
「助けてください……」
おっさんは、全員を受け入れた。
「来い」
「ここは、お前たちの街だ」
住民たちが、どんどん増える。
街も、どんどん拡張していく。
新しい住居。
新しい畑。
新しい工房。
全てが、城と反対側に広がっている。
リーナが言った。
「すごい勢いね」
「人口、もう500人を超えたわよ」
おっさんは、頷いた。
「ああ」
「みんな、幸せそうだ」
ゴードンが言った。
「でも、そろそろ限界かもしれない」
「限界?」
「ああ」
ゴードンは、街の外れを指差した。
「あっちに、魔境がある」
おっさんは、魔境を見た。
暗い森。
魔物の気配。
「……魔境か」
「ああ」
「これ以上、拡張できない」
◆ 会議
おっさんは、主要メンバーを集めた。
セシリア、リリア、エリアス、リーナ、ゴードン。
そして、山田真理。
真理は、この街に滞在している。
おっさんから指導を受けながら。
「魔境が、問題になってる」
おっさんが言った。
「これ以上、街を拡張できない」
リーナが言った。
「どうするの?」
「拡張を諦める?」
おっさんは、少し考えた。
(……そうか)
(これが、未開の地か)
(あの時、考えていた……)
(自分たちの土地を手に入れる方法……)
おっさんは、顔を上げた。
「いや」
「魔境を、制圧する」
全員、驚く。
「制圧……!?」
真理が、前に出た。
「私が、やります」
「真理……」
真理は、真剣な顔で言った。
「魔境を制圧すれば、二つのメリットがあります」
「一つ目、街を拡張できる」
「二つ目、魔物が街を襲う頻度が減る」
おっさんは、頷いた。
「……その通りだ」
真理は、続けた。
「私は、勇者です」
「魔物退治が、仕事です」
「だから、私が率先して行きます」
ゴードンが言った。
「俺も行く」
真理、驚く。
「ゴードンさん……」
「魔道具のメンテナンスが必要だろ」
「それに……」
ゴードンは、真理を見た。
「お前を、一人で行かせるわけにはいかない」
真理は、顔を赤くした。
「……ありがとうございます……」
セシリアも言った。
「私も行きます」
「セシリア……」
「治療が必要です」
「怪我人が出るかもしれません」
おっさんは、セシリアを見た。
「……危険だぞ」
「大丈夫です」
セシリアは、微笑んだ。
「コウタロウさんが一緒なら」
おっさんは、ため息をついた。
「……俺も、行くつもりだったけどな」
リーナが言った。
「私は、街を守るわ」
「頼む」
エリアスも言った。
「私とリリアも、街で待機します」
「怪我人が帰ってきたら、すぐに治療します」
おっさんは、頷いた。
「分かった」
◆ 住民たちの志願
広場。
おっさんが、住民たちに呼びかけた。
「魔境を制圧する」
「危険な作戦だ」
「だから、無理に参加しなくていい」
でも――
多くの住民が、手を挙げた。
「私も行きます!」
「俺も!」
「この街を守りたい!」
おっさん、驚く。
「……お前たち……」
一人の男性が、前に出た。
元スラムの住民。
痩せていたが、今は健康的。
「リーダー、私たちは弱かった」
「スラムで、何もできなかった」
「でも、今は違います」
男性は、魔道具を掲げた。
「魔道具があります」
「戦えます」
「この街を、守れます」
他の住民たちも、頷く。
「そうだ!」
「私たちも、戦える!」
「魔物なんて、怖くない!」
おっさんは、涙を流した。
「……お前たち……」
「ありがとう……」
◆ 準備
数日間――
魔境制圧の準備をした。
魔道具を大量に作る。
火の魔道具。
水の魔道具。
風の魔道具。
土の魔道具。
全て、戦闘用。
ゴードンが、住民たちに使い方を教える。
「ここを押すと、火が出る」
「強力だから、気をつけろ」
「はい!」
真理は、戦闘訓練をしていた。
剣の素振り。
体力トレーニング。
魔法の練習。
おっさんが見守っている。
「無理するなよ」
「大丈夫です」
真理は、微笑んだ。
「でも、教えてもらったことを忘れません」
「体を大事にします」
おっさんは、頷いた。
「……いい子だ」
セシリアは、治療の魔道具を準備していた。
大量の魔石。
包帯。
薬草。
全てを準備。
おっさんが、心配そうに見ている。
「本当に、行くのか?」
「はい」
セシリアは、おっさんを見た。
「コウタロウさんと一緒なら、大丈夫です」
おっさんは、セシリアを抱きしめた。
「……絶対に、守る」
セシリアは、顔をすりすりする。
「はい」
◆ 出発
出発の日――
100人以上の住民が、魔境へ向かった。
おっさん、真理、ゴードン、セシリアが先頭。
住民たちが、魔道具を持って続く。
リーナ、リリア、エリアスが見送る。
「気をつけて!」
「必ず、帰ってきてください!」
おっさんは、手を振った。
「任せろ!」
魔境へ向かう。
暗い森。
木々が鬱蒼としている。
魔物の気配。
真理が言った。
「……魔物がいます」
「ああ」
おっさんが、住民たちに指示を出す。
「陣形を組め!」
「魔道具を構えろ!」
住民たちが、陣形を組む。
前衛、中衛、後衛。
魔道具を構える。
緊張している。
でも、目には決意がある。
◆ 魔物との戦闘
森の中から、魔物が現れた。
スライム。
ゴブリン。
オーク。
大量の魔物。
住民たちが、怯える。
「……多い……」
「大丈夫か……?」
真理が、前に出た。
「私が、先陣を切ります!」
剣を抜く。
魔物に突撃。
剣を振るう。
魔物が、次々と倒れていく。
「すごい……!」
「勇者様、強い……!」
ゴードンも、魔道具を使う。
火の魔道具。
大きな炎が、魔物を焼く。
「来い!」
「俺たちも戦うぞ!」
おっさんが叫ぶ。
「魔道具、発射!!」
住民たちが、一斉に魔道具を使う。
火、水、風、土。
様々な攻撃が、魔物に襲いかかる。
魔物が、次々と倒れていく。
「やった!」
「倒せる!」
「俺たち、戦える!」
住民たちが、自信を持ち始める。
でも――
さらに強力な魔物が現れた。
オーガ。
トロール。
ワイバーン。
巨大な魔物たち。
住民たちが、怯える。
「……でかい……」
「あれ、倒せるのか……?」
真理が叫ぶ。
「大丈夫です!」
「私が倒します!」
真理が、オーガに突撃。
剣を振るう。
でも、オーガは強い。
真理が、吹き飛ばされる。
「くっ……!」
ゴードンが、駆けつける。
「真理!」
「大丈夫です……!」
真理が、立ち上がる。
ゴードンが、火の魔道具を使う。
大きな炎が、オーガを包む。
オーガが、怯む。
真理が、その隙に突撃。
剣を振るう。
オーガの急所を突く。
オーガが、倒れる。
「やった……!」
ゴードンと真理が、顔を見合わせる。
「ナイス!」
「ゴードンさんも!」
二人は、息がぴったり。
◆ セシリアの治療
戦闘が続く中――
怪我人が出始めた。
「うっ……」
「痛い……」
セシリアが、駆けつける。
「大丈夫ですか!」
治療の魔道具を使う。
光が走る。
怪我が、治っていく。
「……楽になった……」
「ありがとうございます……」
セシリアは、次々と怪我人を治療していく。
おっさんが、セシリアを守る。
魔物が近づいてこないように。
「セシリア、無理するな」
「大丈夫です」
「みんなを、助けないと」
おっさんは、セシリアを見た。
(……強い女性だな)
(でも、守らないと)
◆ 住民たちの成長
戦闘が続く。
住民たちは、最初は怯えていた。
でも――
魔道具を使って、魔物を倒し続けるうちに。
自信がついてきた。
「俺たち、戦える!」
「魔物なんて、怖くない!」
「この街を、守るぞ!!」
住民たちが、連携して戦う。
火の魔道具で攻撃。
風の魔道具で吹き飛ばす。
土の魔道具で防御。
水の魔道具で援護。
完璧な連携。
おっさんは、住民たちを見て、微笑んだ。
(……成長したな)
(もう、弱い人たちじゃない)
(強い、戦士だ)
◆ 魔物殲滅
数時間後――
魔物が、ほとんどいなくなった。
住民たちが、歓声を上げる。
「やった!!」
「魔物を、倒した!!」
「俺たち、勝った!!」
真理も、疲れた顔で微笑んでいる。
ゴードンが、真理の肩を叩いた。
「よくやったな」
「ゴードンさんも」
「お疲れ様です」
二人は、笑顔で話している。
セシリアが、おっさんに抱きつく。
「コウタロウさん、終わりましたね」
「ああ」
おっさんは、セシリアを抱きしめた。
「よく頑張った」
セシリアは、顔をすりすりする。
「えへへ」
おっさんは、住民たちを見渡した。
「みんな! よくやった!!」
「魔境を、制圧したぞ!!」
住民たちが、拍手する。
「やった!!」
「リーダー、ありがとうございます!!」
おっさんは、首を振った。
「いや、お前たちのおかげだ」
「お前たちが、戦ってくれた」
「お前たちが、この街を守った」
住民たちは、涙を流した。
「……リーダー……」
「ありがとうございます……」
◆ 帰還
魔境を制圧した一行は、街に戻った。
リーナ、リリア、エリアスが、出迎える。
「おかえり!!」
「無事で良かった!!」
住民たちが、喜んでいる。
「ただいま!」
「魔境を、制圧したぞ!!」
街中が、祝福の雰囲気に包まれた。
おっさんは、街を見渡した。
(……これで、街を拡張できる)
(もっと多くの人を、受け入れられる)
(希望が、さらに広がる)
リーナが、おっさんに近づいた。
「コータロー、すごいわね」
「ああ」
「これで、新しい土地ができたわ」
おっさんは、頷いた。
「……ああ」
「いずれ、ここに新しい街を作る」
「そして……」
リーナは、おっさんの言葉の続きを待つ。
おっさんは、真剣な顔で言った。
「バロン家の土地を、返せるかもしれない」
リーナ、驚く。
「……!」
「そうか、あの契約……」
「ああ」
「あくまで借りてるだけだからな」
「こっちに新しい街を作れば」
「向こうは返せる」
リーナは、微笑んだ。
「……あんた、あの時から考えてたのね」
「未開の地を開拓するって」
おっさんは、頷いた。
「……ああ」
「でも、まだ先の話だ」
「今は、この土地を整備することが先だ」
◆ 夜の会話
夜。
おっさんとセシリアが、ベッドで寝ている。
セシリアが、おっさんに抱きつく。
「コウタロウさん、今日は危なかったですね」
「ああ」
「でも、みんな無事だった」
「はい」
セシリアは、おっさんを見上げた。
「コウタロウさん、ありがとうございます」
「守ってくれて」
おっさんは、セシリアの頭を撫でた。
「当たり前だ」
「お前は、俺の妻だからな」
セシリア、顔を赤くする。
「……えへへ……」
セシリアは、顔をすりすりする。
「大好きです」
おっさんは、セシリアにキスをした。
「……俺も、お前が好きだ」
セシリアは、幸せそうに微笑んだ。
◆ ゴードンと真理
一方――
ゴードンと真理も、話していた。
工房で。
「今日は、ありがとうございました」
真理が言った。
「助けてくれて」
ゴードン「当たり前だ」
「お前を、一人で戦わせるわけにはいかない」
真理は、顔を赤くした。
「……ゴードンさん……」
ゴードンは、真理を見た。
「お前、強いな」
「いえ……まだまだです……」
「でも、今日は本当に頑張ってた」
「すごかったぞ」
真理は、嬉しそうに微笑んだ。
「……ありがとうございます……」
ゴードンは、少し照れている。
「……俺も、お前と一緒に戦えて」
「良かった」
真理、ドキッとする。
「……!」
二人は、しばらく見つめ合った。
静かな夜。
新しい絆が、生まれようとしていた。
(次回:第28話「それぞれの恋」に続く)




