第21話:希望の連鎖
◆ 出発の準備
新しい街。
おっさん、セシリア、リリア、ゴードンが、出発の準備をしていた。
「魔道具の材料、全部積んだか?」
ゴードン「ああ」
「治療の魔道具も、持っていきます」
セシリアが言った。
リリアも頷く。
「はい。現地で、怪我や病気の人がいるかもしれません」
おっさんは、荷物を確認した。
魔石。
工具。
設計図。
食料。
全て揃っている。
「よし」
リーナが言った。
「街のことは、任せて」
「頼む」
おっさんは、住民たちに言った。
「数週間、留守にする」
「何かあったら、リーナとゴードンに相談してくれ」
住民たち、頷く。
「分かりました!」
「気をつけてください!」
◆ 別のスラムへ
自走式カート。
おっさん、セシリア、リリア、ゴードンが乗っている。
荷物を山ほど積んでいる。
道を進む。
セシリアが、おっさんの隣に座っている。
腕に抱きつく。
「コウタロウさん、楽しみですね」
「ん?」
「他のスラムの人たちを、助けられるんです」
セシリアは、嬉しそうに微笑む。
「コウタロウさんの優しさが、広がっていくんです」
おっさんは、照れくさそうに笑った。
「大げさだな」
リリアも言った。
「でも、本当です」
「コウタロウさんは、私たちを救ってくれました」
「今度は、他の人たちも救えます」
ゴードンが言った。
「希望の連鎖だな」
おっさんは、頷いた。
「……ああ」
「俺たちが受け取った希望を」
「他の人たちにも、渡す」
◆ スラムに到着
数日後――
別のスラムに到着した。
ボロボロの建物。
汚れた道。
痩せた人々。
おっさんたちが見た、かつてのスラムと同じ。
「……懐かしいな」
おっさんが呟く。
セシリア「はい……」
「私たちも、こうでした……」
リリア「でも、今は違います」
おっさんは、頷いた。
「ああ」
「この人たちも、変われる」
自走式カートが止まる。
スラムの人々が、集まってくる。
警戒している。
おっさんが、降りる。
「俺は、康太郎だ」
「手紙をくれた人は、いるか?」
一人の男性が、前に出た。
50代くらい。
痩せている。
でも、目に力がある。
「私です……」
「私が、手紙を書きました……」
男性は、深く頭を下げた。
「来ていただいて、ありがとうございます……」
◆ スラムの状況
男性の名前は、エドワードだった。
このスラムのリーダー。
エドワードが、スラムを案内する。
「ここが、私たちのスラムです……」
ボロボロの建物。
水が汚い。
病気の人が多い。
子供たちが、痩せている。
おっさんは、見て回った。
(……俺たちのスラムと、同じだ)
(いや、もっと酷いかもしれない)
セシリアとリリアが、病気の人を診ている。
「……栄養失調ですね……」
「水も、汚いです……」
エドワードが言った。
「私たちは……何もできません……」
「ただ、生きるので精一杯です……」
おっさんは、エドワードの肩に手を置いた。
「大丈夫だ」
「変われる」
エドワード「……本当に……?」
「ああ」
おっさんは、真剣な顔で言った。
「俺たちも、同じだった」
「でも、変われた」
「お前たちも、変われる」
◆ 魔道具の実演
広場。
スラムの住民たちが、集まっている。
おっさんが、魔道具を取り出した。
水を出す魔道具。
「これを、見てくれ」
おっさんは、魔道具を起動した。
綺麗な水が、出てくる。
住民たち、驚愕。
「……水が……!」
「綺麗な水が……!」
「魔法ですか……!?」
おっさんは、首を振った。
「魔法じゃない」
「魔道具だ」
「誰でも、使える」
おっさんは、魔道具をエドワードに渡した。
「使ってみろ」
エドワード、恐る恐る魔道具を持つ。
おっさんが、使い方を教える。
「ここを、押すんだ」
エドワードが、ボタンを押す。
水が出てくる。
「……!」
「出ました……!」
「本当に、出ました……!」
住民たち、歓声を上げる。
「すごい……!」
「本当に、水が……!」
おっさんは、笑った。
「これが、魔道具だ」
「これを、お前たちにも作り方を教える」
◆ 作り方を教える
数日間――
おっさんとゴードンが、魔道具の作り方を教えた。
魔石の使い方。
回路の組み方。
安全装置の作り方。
エドワードたちは、真剣に学んでいる。
「ここが、重要だ」
「魔石の配置を間違えると、爆発する」
エドワード「分かりました……」
「丁寧に、やるんだ」
「はい……」
数日後――
エドワードが、初めて魔道具を完成させた。
水を出す魔道具。
エドワードが、起動する。
水が出てくる。
「……できました……!」
「本当に、できました……!」
エドワードは、涙を流した。
「私にも……できたんです……!」
おっさんは、エドワードの肩を叩いた。
「よくやった」
「ありがとうございます……!」
「本当に、ありがとうございます……!」
◆ セシリアとリリアの治療活動
一方――
セシリアとリリアは、病気の人々を治療していた。
診療所がないので、テントで治療。
治療の魔道具を使う。
光が走る。
病気の人が、回復していく。
「……楽になった……」
「本当に……治った……」
セシリアが微笑む。
「良かったですね」
リリアも言った。
「これからも、体を大事にしてください」
住民たち、涙を流している。
「ありがとうございます……」
「本当に、ありがとうございます……」
子供たちも、治療を受けた。
栄養失調。
病気。
でも、セシリアとリリアの治療で回復する。
子供たちが、笑う。
「ママ、元気になったよ!」
母親たちも、涙を流している。
「……良かった……」
「本当に、良かった……」
セシリアは、子供たちを見て、微笑んだ。
(……この笑顔……)
(守りたい……)
◆ 夜の会話
夜。
おっさん、セシリア、リリア、ゴードンが、テントで休んでいた。
「今日も、疲れたな」
ゴードン「ああ」
「でも、良かったですね」
セシリアが言った。
「みんな、笑顔になりました」
リリアも頷く。
「はい」
「子供たちも、元気になりました」
おっさんは、空を見上げた。
「……ああ」
「良かった」
セシリアが、おっさんの隣に座る。
腕に抱きつく。
顔をすりすりする。
「コウタロウさん、温かいです」
おっさん、苦笑い。
「……お前はな」
リリアが、微笑む。
「お二人、仲がいいですね」
セシリア、顔を赤くする。
「そ、そうですか?」
「はい。とても」
おっさんは、セシリアの頭に手を置いた。
「……まあ、な」
セシリアは、嬉しそうに微笑む。
おっさんは、空を見上げた。
(……妻よ)
(俺は、今、幸せだ)
(お前がいなくて、寂しいけど)
(新しい仲間ができた)
(セシリアも、リリアも、みんな)
(……これで、いいのか?)
(俺は、前に進んでいいのか?)
おっさんは、懐から小さな袋を取り出した。
妻と娘、そして息子の遺骨。
そっと触れる。
(……まだ、分からない)
(でも、いつか……)
(いつか、答えが出るかもしれない)
◆ エドワードの決意
翌日――
エドワードが、おっさんに言った。
「康太郎さん、教えていただいたことを」
「このスラムで、広めます」
「みんなで、魔道具を作ります」
「そして、この街を変えます」
おっさんは、頷いた。
「ああ」
「頑張れ」
エドワード「はい……」
「それに……」
エドワードは、真剣な顔で言った。
「他のスラムにも、教えたいです」
「え?」
「私たちが受け取った希望を」
「他のスラムにも、渡したいです」
おっさんは、エドワードを見た。
「……お前」
エドワードは、微笑んだ。
「康太郎さんから、学びました」
「希望は、広げるものだと」
「苦しんでいる人を、助けるものだと」
おっさんは、エドワードの肩を叩いた。
「……よく言った」
「じゃあ、ネットワークを作ろう」
「ネットワーク……?」
「ああ」
おっさんは、真剣な顔で言った。
「スラム同士で、助け合うんだ」
「技術を共有する」
「物資を共有する」
「情報を共有する」
「そうすれば、みんなが幸せになれる」
エドワードは、涙を流した。
「……素晴らしいです……」
「やりましょう……!」
◆ 出発
数週間後――
おっさんたちは、元のスラムに戻ることになった。
スラムの住民たちが、見送りに来た。
「康太郎さん、ありがとうございました……!」
「私たちは、変われます……!」
「頑張ります……!」
おっさんは、笑った。
「ああ」
「頑張れ」
エドワードが、深く頭を下げた。
「本当に、ありがとうございました……」
「必ず、この街を変えます……」
「そして、他のスラムも助けます……」
おっさんは、エドワードの肩を叩いた。
「お前なら、できる」
「信じてる」
エドワード「……はい!」
自走式カートが、動き出す。
おっさん、セシリア、リリア、ゴードンが乗っている。
住民たちが、手を振っている。
「ありがとうございました!」
「また、会いましょう!」
おっさんたちも、手を振り返す。
セシリアが、おっさんに言った。
「コウタロウさん、良かったですね」
「ん?」
「希望が、広がりました」
セシリアは、嬉しそうに微笑む。
おっさんは、頷いた。
「……ああ」
「これから、もっと広がる」
リリアも言った。
「スラム同士で、助け合うんですね」
ゴードン「ネットワークだ」
「そうすれば、みんなが幸せになれる」
おっさんは、空を見上げた。
(……希望の連鎖)
(俺たちが受け取った希望を)
(他の人たちにも、渡す)
(そして、その人たちがまた、他の人たちに渡す)
(終わりのない、連鎖)
(それが、俺たちの道だ)
◆ 帰路
道を進む。
セシリアが、おっさんの腕に抱きつく。
「コウタロウさん」
「ん?」
「私、幸せです」
セシリアは、顔をすりすりする。
「コウタロウさんと一緒に、人を助けられて」
「希望を、広げられて」
おっさんは、セシリアの頭に手を置いた。
「……俺も、幸せだよ」
セシリア、顔を赤くする。
「……!」
リリアが、微笑む。
(……いつか、お二人は……)
(きっと……)
自走式カートは、新しい街へ向かった。
希望の連鎖は、始まったばかり。
おっさんたちの旅は、まだまだ続く。
(次回:第22話「ネットワークの構築」に続く)




