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52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった  作者: よっしぃ@書籍化


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第20話:民の勇者

◆ 神の訪れ


ある夜――


おっさんは、一人で星空を見上げていた。


静かな夜。


街は、眠っている。


その時――


突然、光が降りてきた。


眩い光。


おっさんは、目を細めた。


「……何だ?」


光が収まる。


そこには――


女性が立っていた。


白い服。


長い髪。


神々しい雰囲気。


「……誰だ?」


女性は、微笑んだ。


「私は、この世界の神です」


おっさん、驚く。


「……神?」


「はい」


「……何の用だ?」


神は、おっさんを見た。


「あなたに、お願いがあります」



◆ 勇者への打診


神が言った。


「次の勇者に、あなたを選びたいのです」


おっさん、驚愕。


「……は?」


「この世界には、魔物がいます」


「人々を脅かしています」


「勇者が、必要です」


神は、続けた。


「前の勇者は……ご存知の通り」


「あんなことになりました」


おっさんは、頷いた。


「……ああ」


「だから、次の勇者として」


「あなたを選びたいのです」


神は、真剣な顔で言った。


「あなたは、優しく、賢く、強い」


「多くの人を救いました」


「勇者にふさわしい」


おっさんは、しばらく沈黙していた。


そして――


「断る」


神、驚く。


「……え?」


「俺は、勇者にはならない」



◆ 拒否の理由


神が聞いた。


「なぜですか?」


おっさんは、街を見渡した。


「俺は、普通のおっさんだ」


「52歳」


「魔法も使えない」


「特別な力もない」


「勇者なんて、ガラじゃない」


神「でも……」


おっさんは、続けた。


「それに……」


おっさんは、街の住居を指差した。


「俺には、守るべき人がいる」


「この街の人々だ」


「セシリア、リリア、リーナ、ゴードン」


「みんな」


おっさんは、真剣な顔で言った。


「勇者として世界を救うより」


「この街を守りたい」


「ここが、俺の居場所だ」


神は、しばらく沈黙していた。


そして――


微笑んだ。


「……分かりました」


「あなたの意志を、尊重します」


神は、続けた。


「でも、知っておいてください」


「あなたは、すでに多くの人を救っています」


「勇者の称号がなくても」


「あなたは、勇者です」


おっさんは、照れくさそうに笑った。


「大げさだな」


神は、消えようとした。


でも、最後に言った。


「この街を、守ってください」


「あなたなら、できます」


光が消える。


神が、消えた。


おっさんは、一人になった。


「……勇者、か」


「柄じゃないな」


おっさんは、空を見上げた。


(……でも、この街は守る)


(みんなを、守る)



◆ 住民たちに話す


翌日――


おっさんは、広場で住民たちに話した。


「昨夜、神が来た」


住民たち、ざわつく。


「神……!?」


「本当ですか!?」


おっさんは、頷いた。


「ああ」


「俺を、次の勇者にしたいと言ってきた」


住民たち、驚愕。


「リーダーが、勇者に……!?」


「すごい!」


でも――


おっさんは、首を振った。


「断った」


住民たち、さらに驚く。


「断った……!?」


「なんで……!?」


おっさんは、住民たちを見渡した。


「俺は、この街を守りたい」


「勇者として世界を救うより」


「お前たちと一緒にいたい」


「ここが、俺の居場所だから」


住民たちは、しばらく沈黙していた。


そして――


一人が言った。


「リーダー、ありがとうございます……」


「私たちを、選んでくれて……」


他の住民たちも、頷く。


「リーダーは、私たちの勇者です……」


「称号なんて、関係ありません……」


おっさんは、笑った。


「勇者なんて、大げさだ」


でも、住民たちは真剣だった。


「いえ、本当です」


「リーダーは、私たちを救ってくれました」


「スラムから、この街へ」


「絶望から、希望へ」


「死から、生へ」


住民たち、涙を流している。


「リーダーこそ、本当の勇者です」


おっさんは、照れくさそうに笑った。


「……ありがとう」



◆ セシリアとの会話


夜。


おっさんとセシリアが、二人きりで話していた。


「コウタロウさん、勇者を断ったんですね」


「ああ」


「どうしてですか?」


おっさんは、少し考えた。


「……俺は、特別じゃない」


「普通のおっさんだ」


「勇者なんて、柄じゃない」


セシリアは、おっさんの手を握った。


「でも、コウタロウさんは特別です」


「私にとって」


おっさん、照れる。


「……そうか」


セシリアは、続けた。


「コウタロウさんが、この街を選んでくれて」


「私たちを選んでくれて」


「嬉しいです」


セシリアは、おっさんに抱きつく。


顔をすりすりする。


おっさん、笑った。


「……お前は、本当に……」


「コウタロウさん、大好きです」


おっさんは、セシリアの頭に手を置いた。


「……ああ」


「俺も、お前が好きだ」


セシリア、顔を真っ赤にする。


「……!」


「え、えっと……」


おっさんは、空を見上げた。


「お前たちがいなければ」


「俺は、生きていけなかった」


「妻と娘を失って……」


「生きる意味を、見失っていた」


「でも、お前たちと出会って……」


おっさんは、セシリアを見た。


「また、生きる意味を見つけられた」


セシリアは、涙を流した。


「……コウタロウさん……」


二人は、静かに夜空を見上げた。



◆ 新しい訪問者


数日後――


新しい街に、馬車が到着した。


ボロボロの馬車。


中から、人々が降りてくる。


痩せている。


汚れている。


疲れている。


おっさんが、出迎える。


「……どちら様だ?」


男性が、前に出た。


40代くらい。


ボロボロの服。


「私たちは……別のスラムから来ました……」


おっさん、驚く。


「別のスラム……?」


「はい……」


男性は、続けた。


「噂を聞きました……」


「この街が……元スラムの住民が作った街だと……」


「貧しい人々が、幸せに暮らしていると……」


「お願いします……」


男性は、深く頭を下げた。


「私たちも……ここで暮らさせてください……」


他の人々も、頭を下げる。


「お願いします……」


「助けてください……」


おっさんは、しばらく考えた。


そして――


笑った。


「分かった」


「ここで、暮らせ」


人々、驚く。


「本当ですか……!?」


「ああ」


おっさんは、街を見渡した。


「この街は、苦しんでいる人のための街だ」


「お前たちも、仲間だ」


「一緒に、暮らそう」


人々は、涙を流した。


「ありがとうございます……!」


「本当に、ありがとうございます……!」



◆ 住民たちの反応


住民たちが、新しい人々を歓迎した。


「よく来たね」


「大変だったでしょ」


「ここは、安全よ」


「一緒に、暮らしましょう」


新しい人々は、感動している。


「……優しい……」


「こんなに、優しくしてもらえるなんて……」


リーナが言った。


「私たちも、昔は同じだった」


「苦しんで、絶望していた」


「でも、リーダーが救ってくれた」


「だから、今度は私たちが助ける番よ」


ゴードンも頷く。


「ああ」


「困った時は、お互い様だ」


新しい人々は、涙を流した。


「……ありがとうございます……」



◆ 街の発展


新しい人々が加わり、街はさらに発展した。


人口が増えた。


新しい技術が入ってきた。


職人。


商人。


農民。


様々な人々。


街が、賑やかになった。



おっさんは、街を見渡した。


(……始まりは、下水道だった)


(俺一人だった)


(でも、今は……)


(こんなに、たくさんの人がいる)


(みんな、笑っている)


セシリアが、隣に来た。


「コウタロウさん、すごいですね」


「ん?」


「この街、どんどん大きくなっています」


おっさんは、笑った。


「みんなのおかげだ」


リリアも、駆けつける。


「コウタロウさん!」


「新しい人たちが、診療所に来ました!」


「治療しますね!」


嬉しそうに走っていく。


おっさんは、二人を見て、微笑んだ。


(……俺は、勇者じゃない)


(でも、ここが俺の居場所だ)


(みんなを、守る)


(それが、俺の役目だ)



◆ 夜の会話


夜。


住民たちが、広場で話している。


「リーダーは、勇者を断ったんだって」


「私たちを選んでくれたのね」


「嬉しいな……」


「リーダーは、私たちの勇者よ」


「称号なんて、いらない」


「民の勇者だ」


住民たち、頷く。


「そうだ」


「リーダーは、民の勇者だ」


「私たちの、勇者だ」



その言葉が、街に広がった。


「民の勇者」


公式な称号ではない。


でも、人々の心の中にある称号。


それが、おっさんの新しい名前になった。



◆ 別のスラムからの手紙


数週間後――


別のスラムから、手紙が届いた。


おっさんが読む。


「民の勇者様


噂を聞きました。

あなたの街が、貧しい人々を受け入れていると。


私たちも、苦しんでいます。

でも、そこまで行く力がありません。


お願いがあります。

あなたの知恵を、教えてください。

魔道具の作り方を、教えてください。

私たちも、同じような街を作りたいのです。


お願いします。


別のスラムより」


おっさんは、手紙を読み終えた。


考える。


そして――


セシリア、リリア、リーナ、ゴードンを集めた。


「みんな、相談がある」



◆ 新しい決断


おっさんが、手紙を見せた。


「別のスラムから、助けを求められた」


みんな、手紙を読む。


リーナが言った。


「……助けるの?」


おっさんは、頷いた。


「ああ」


「でも、どうやって?」


「行けない人もいる」


おっさんは、少し考えた。


「なら、俺たちが行く」


「え?」


「魔道具の作り方を、教えに行く」


「街の作り方を、教えに行く」


「そうすれば、みんなが幸せになれる」


ゴードンが言った。


「スラム同士で、助け合うのか」


「ああ」


おっさんは、真剣な顔で言った。


「俺たちは、幸せになった」


「でも、まだ苦しんでいる人がいる」


「なら、手を差し伸べるべきだ」


セシリアが微笑む。


「素敵です、コウタロウさん」


リリアも頷く。


「私も、賛成です」


リーナも笑った。


「まあ、あんたらしいわね」


ゴードンも頷く。


「よし、やろう」


おっさんは、みんなを見た。


「じゃあ、準備を始めよう」


「新しい街を、作るために」



◆ 希望


おっさんは、空を見上げた。


(……俺は、勇者じゃない)


(でも、できることがある)


(人を助けることができる)


(希望を、広げることができる)


(それで、いいんだ)


セシリアが、おっさんの腕に抱きつく。


「コウタロウさん、ずっと一緒にいます」


リリアも言った。


「私も、お手伝いします」


おっさんは、二人を見て、笑った。


「……ありがとう」


「じゃあ、行くか」


「新しい未来へ」



街は、さらに発展していく。


そして、その影響は、他のスラムにも広がっていく。


おっさんは、勇者ではない。


でも、多くの人を救っている。


それが、おっさんの道。


「民の勇者」の、道。



(第一部・完)


(第二部:「希望の連鎖」へ続く)


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