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52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった  作者: よっしぃ@書籍化


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第18話:変わらぬ者、変わる者

 ◆ 新しい街に到着


 新しい街。


 おっさん、セシリア、リリア、そして勇者ケンジが到着した。


 住民たちが、出迎える。


「おかえりなさい!」


「リーダー!」


 でも――


 勇者を見て、表情が曇る。


「……勇者……」


「あの男が……」


 リーナが前に出た。


「あんたたち、下がって」


「危ないわ」


 住民たち、後ずさる。


 ケンジは、手錠をかけられている。


 魔力が封じられている。


「チッ、何だよこの扱い」


 おっさんが言った。


「お前は、犯罪者だ」


「は? 俺は勇者だぞ」


「勇者だろうと、罪は罪だ」


 ケンジは、舌打ちした。



 ◆ セシリアの治療


 医務室。


 セシリアが、ケンジを診察している。


「……ひどい状態ですね」


「魔力中毒が、かなり進行しています」


 おっさんが聞く。


「治療できるか?」


 セシリアは、少し考えた。


「……できます」


「でも、一時的なものです」


「生活を改めないと、すぐに再発します」


 おっさんは、頷いた。


「分かった」


 セシリアは、治療の魔道具を使った。


 光が走る。


 ケンジの体が、少しずつ回復していく。


「……おお、楽になる……」


 数時間後――


 治療が終わった。


 ケンジの顔色が、良くなっている。


「すげえ! 本当に治った!」


 ケンジは、体を動かした。


「やっぱり、俺は大丈夫だったんだ!」


 おっさんが、前に出た。


「いいか、よく聞け」


「あ?」


「お前の魔力中毒は、治ってない」


「一時的に回復しただけだ」


 ケンジ「は? でも、楽になったぞ」


 おっさんは、真剣な顔で言った。


「このままだと、廃人になる」


「生活を改めろ」


「無茶をするな」


「体を大事にしろ」


 ケンジは、笑った。


「は? 何言ってんだ」


「俺は勇者だぞ」


「ちょっとくらい無茶しても、平気だ」


 おっさんは、ケンジを睨んだ。


「……聞く気がないのか」


「うるせえな」


 ケンジは、立ち上がった。


「俺、もう治ったから」


「じゃあな」



 ◆ 労働をさせる


 おっさんは、ケンジに労働をさせることにした。


「畑を耕せ」


「は? なんで俺が」


「お前は、ここで働く」


「罪を償うために」


 ケンジは、怒った。


「ふざけんな!」


「俺は勇者だぞ!」


「労働なんかしねえ!」


 おっさんは、冷たく言った。


「なら、飯は出さない」


「……は?」


「働かざる者、食うべからず」


 ケンジは、しばらく考えた。


 そして――


 仕方なく、畑に向かった。


「……チッ」



 でも――


 ケンジは、まともに働かなかった。


 適当に土を掘る。


 すぐにサボる。


 住民に絡む。


「おい、お前。水持ってこい」


「す、すみません……」


 住民が怯えている。


 おっさんが駆けつける。


「何してる」


「は? 休憩してるだけだろ」


「まだ10分しか働いてない」


「うるせえな」


 おっさんは、ため息をついた。


「……ダメだ、こいつ」



 ◆ 娼館に入り浸る


 数日後――


 ケンジは、街の娼館に入り浸るようになった。


 夜になると、娼館に行く。


 女性たちに絡む。


「よお、可愛いな」


 女性たち、怯えている。


「い、いえ……」


「一緒に飲もうぜ」


 女性「す、すみません……」


 ケンジが、女性の腕を掴もうとする。


 その瞬間――


 おっさんが、ケンジの手を掴んだ。


「何してる」


「あ、あのおっさん……」


 おっさんは、ケンジを睨んだ。


「女性に、手を出すな」


「うるせえ! 離せ!」


 おっさんは、ケンジを外に引きずり出した。



 外。


 おっさんは、ケンジを壁に押し付けた。


「いいか、よく聞け」


「離せよ!」


「お前は、多くの女性を傷つけた」


「それを、忘れたのか?」


 ケンジは、舌打ちした。


「チッ、うるせえな」


「俺は勇者だ」


「何をしてもいいんだよ」


 おっさんは、呆れた。


「……お前、本当に何も分かってないんだな」


「分かる必要ねえだろ」


 おっさんは、ケンジを放した。


「……もういい」


「好きにしろ」


 おっさんは、娼館に戻った。


 女性たちに頭を下げる。


「すまない」


「あの男が、迷惑をかけた」


 女性たち、怯えている。


「だ、大丈夫です……」


「でも、怖かったろ」


「……はい……」


 おっさんは、深く頭を下げた。


「本当に、すまない」


「これ以上、近づかせないようにする」


 女性たちは、少し安心した。


「……ありがとうございます……」



 ◆ 住民たちの反応


 広場。


 住民たちが、おっさんに話しかける。


「リーダー、勇者を何とかしてください……」


「怖いんです……」


「女性たちが、夜に出歩けません……」


 おっさんは、頭を抱えた。


「……すまない」


「リーダーのせいじゃありません」


「でも、勇者が……」


 リーナが言った。


「あの男、全然反省してないわね」


 ゴードンも頷く。


「ああ。更生なんて、無理だろ」


 おっさんは、拳を握りしめた。


「……もう少し、様子を見る」


「でも、限界が来たら……」


 おっさんは、真剣な顔で言った。


「別の場所に、隔離する」



 ◆ ケンジの体調悪化


 数週間後――


 ケンジは、また体調を崩し始めた。


「……はぁ、はぁ……」


 息が切れる。


 顔色が悪い。


 手が震える。


「……なんだ、また疲れたのか……」


 おっさんが駆けつける。


「大丈夫か?」


「……うるせえ……」


「セシリアを呼ぶ」


「いらねえ!」


 でも――


 おっさんは、セシリアを呼んだ。


 セシリアが診察する。


「……魔力中毒が、また進行しています」


「治療してくれ」


「はい」


 セシリアは、治療の魔道具を使った。


 光が走る。


 ケンジの体が、少し回復する。


「……はぁ……」


 治療が終わった後――


 おっさんが、ケンジに言った。


「いいか、よく聞け」


「……何だよ……」


「お前、このままだと廃人になるぞ」


 ケンジ、笑った。


「は? 大げさだろ」


「大げさじゃない」


 おっさんは、真剣な顔で言った。


「生活を改めろ」


「無茶をするな」


「酒を減らせ」


「女性に絡むな」


「ちゃんと働け」


「そうすれば、少しは回復する」


 ケンジは、舌打ちした。


「チッ、うるせえな」


「俺は勇者だぞ」


「ちょっとくらい無茶しても、平気だ」


 おっさんは、ため息をついた。


「……お前、本当に分かってないんだな」


「うるせえ! ほっとけ!」


 おっさんは、部屋を出た。


 廊下で、セシリアが待っていた。


「コウタロウさん……」


 おっさんは、悲しそうに笑った。


「……ダメだ」


「あいつ、何も聞かない」



 ◆ 王女の様子を見に行く


 数週間後――


 おっさん、セシリア、リリアは、王都へ向かった。


 王女の様子を見に行くために。


 自走式カートで移動。


 セシリアが言った。


「王女様、大丈夫でしょうか……」


「定期的に、様子を見ないとな」


 リリアも頷く。


「はい」


「妊娠中は、体調が変わりやすいです」



 ◆ 王都到着


 王都。


 王女の部屋。


 おっさんたちが、部屋に入る。


 王女は、ベッドに座っていた。


 お腹が、さらに大きくなっている。


 でも――


 顔色は、良くなっている。


 目に、光がある。


「コウタロウさん!」


 王女が、嬉しそうに言う。


「来てくれたんですね!」


 おっさんは、微笑んだ。


「ああ」


「調子はどうだ?」


 王女は、お腹を触った。


「はい。元気です」


「この子も、よく動きます」


 セシリアが診察する。


「順調ですね」


「もうすぐ、生まれそうです」


 王女は、微笑んだ。


「……楽しみです」



 ◆ 王女との会話


 お茶を飲みながら、王女が話す。


「コウタロウさん、勇者は……どうですか?」


 おっさんは、少し考えた。


「……ダメだ」


「ダメ……?」


「ああ。何も変わってない」


「治療しても、すぐに無茶をする」


「注意しても、聞かない」


 王女は、悲しそうな顔をした。


「……そうですか……」


 おっさんは、ため息をついた。


「俺の力じゃ、あいつを変えられない」


 王女は、おっさんを見た。


「……コウタロウさん」


「ん?」


「あなたは、十分頑張りました」


「変わらないのは、勇者のせいです」


「あなたのせいじゃありません」


 おっさんは、少し笑った。


「……ありがとう」



 ◆ 妻子について


 王女が、少し恥ずかしそうに聞いた。


「あの……コウタロウさん……」


「何だ?」


「前に……お子さんがいたと……」


 おっさんは、少し驚いた。


「……よく覚えてたな」


「はい」


「気になって……」


 おっさんは、少し考えた。


 そして――


 懐から、小さな袋を取り出した。


 布の袋。


 大事そうに持っている。


「これが……」


 王女、セシリア、リリアが、袋を見る。


 おっさんは、静かに言った。


「妻と娘、そして息子の遺骨だ」


 三人、驚愕。


「……!」


 おっさんは、袋を見つめた。


「3人は事故では、病気で亡くなった。飲酒運転の車に突っ込まれた」



「俺が、守れなかった」


 おっさんは、少し涙を流した。


「だから、いつも持ち歩いてる」


「一緒にいたくて」


 セシリアが、涙を流す。


「コウタロウさん……」


 リリアも、泣いている。


「……そんなことが……」


 王女も、涙を流した。


「……ごめんなさい……」


「聞いてしまって……」


 おっさんは、首を振った。


「いや、いい」


「話せて、良かった」



 ◆ 深い感謝


 王女が言った。


「コウタロウさんは……」


「大切な人を亡くしたのに……」


「それなのに……」


「私を助けてくれた……」


「私のお腹の子を、救ってくれた……」


 王女は、深く頭を下げた。


「本当に、ありがとうございます……」


 セシリアも言った。


「コウタロウさんは……」


「本当に優しい人です……」


「大切な人を亡くした悲しみを知っているから……」


「他の人の痛みも、分かるんですね……」


 リリアも頷く。


「だから、私たちを救ってくれたんですね……」


 おっさんは、三人を見た。


「……お前たちがいてくれて」


「俺も、救われてる」


「妻と娘と息子を失って……」


「生きる意味を、見失ってた」


「でも、お前たちと出会って……」


 おっさんは、微笑んだ。


「また、生きる意味を見つけられた」


 セシリアが、おっさんに抱きつく。


「コウタロウさん……」


「大好きです……」


 リリアも、涙を流している。


 王女も、涙を流した。


「コウタロウさん……」


「私、頑張ります……」


「この子を、ちゃんと育てます……」


「コウタロウさんみたいな、優しい人に育てます……」


 おっさんは、王女の頭に手を置いた。


「ああ」


「お前なら、できる」



 ◆ 帰路


 王都を出発。


 自走式カートで、新しい街へ向かう。


 セシリアが、おっさんの腕に抱きつく。


「コウタロウさん……」


「ん?」


「私、知りませんでした……」


「コウタロウさんが、そんな悲しみを抱えていたなんて……」


 おっさんは、空を見上げた。


「話してなかったからな」


「でも、教えてくれて……」


「ありがとうございます……」


 リリアも言った。


「私も……ありがとうございます……」


「コウタロウさんの優しさの理由が、分かりました……」


 おっさんは、笑った。


「大げさだな」


「でも……」


 セシリアが、顔をすりすりする。


「私たち、コウタロウさんを支えます」


「ずっと、一緒にいます」


 おっさんは、セシリアの頭に手を置いた。


「……ありがとう」



 ◆ 新しい街に戻る


 新しい街に到着。


 住民たちが、出迎える。


「おかえりなさい!」


 リーナが駆けつける。


「おかえり」


「ただいま」


 リーナは、少し真剣な顔で言った。


「あのね、コータロー」


「勇者が……」


「……どうした?」


「また、娼館に入り浸ってるわ」


「それに、体調が悪そう」


 おっさんは、ため息をついた。


「……やっぱりか」


 おっさんは、勇者の部屋に向かった。



 ◆ 勇者の様子


 勇者の部屋。


 ケンジが、ベッドで横になっている。


 顔色が、最悪。


 息が荒い。


 手が激しく震えている。


「……はぁ……はぁ……」


 おっさんが、部屋に入る。


「……また、無茶したのか」


 ケンジ「……うるせえ……」


「治療するぞ」


「……いらねえ……」


 おっさんは、ケンジを見た。


(……こいつ、本当に……)


(何も学んでない……)


 おっさんは、拳を握りしめた。


(……俺には、救えないのか……)



(次回:第19話「救えない者」に続く)

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