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52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった  作者: よっしぃ@書籍化


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第17話:王女との対話

◆ 王女の部屋へ


王女の部屋。


侍女が、扉を開ける。


「王女様、お客様です……」


返事がない。


おっさん、セシリア、リリアが部屋に入る。


部屋は、暗い。


カーテンが閉まっている。


王女は、ベッドで横になっている。


お腹が大きい。


顔色が悪い。


目に光がない。


「……」


セシリアが、そっと近づく。


「王女様……」


王女は、反応しない。


リリアも、心配そうに見ている。


おっさんが、前に出た。


「王女」


その声に――


王女は、ゆっくりと顔を上げた。



◆ 対面


王女は、おっさんを見た。


その瞬間――


「……汚物……」


無意識に呟く。


おっさんは、何も言わなかった。


王女は、はっとした。


「……あ……」


王女の目に、涙が浮かぶ。


「……ごめんなさい……」


「ごめんなさい……ごめんなさい……」


涙を流す。


「私……また……」


「また、同じことを……」


王女は、泣き崩れた。


「ごめんなさい……ごめんなさい……」


セシリアが、王女に駆け寄る。


「王女様……」


王女は、セシリアに抱きつく。


「私……最低です……」


「人を汚物扱いして……」


「それなのに……また……」


セシリアが、王女を抱きしめる。


「大丈夫です……」


「大丈夫ですよ……」



◆ おっさんの言葉


おっさんが、王女に近づいた。


「王女」


王女、顔を上げる。


目が合う。


おっさんは、冷静に言った。


「お前、俺を下水に捨てたよな」


「……はい……」


「なんで、捨てた?」


王女は、震える声で答えた。


「……汚かったから……」


「……邪魔だったから……」


「……人だと思わなかったから……」


王女は、さらに泣き崩れた。


「ごめんなさい……ごめんなさい……」


「私、最低です……」


「人を人だと思わなかった……」


おっさんは、しばらく沈黙していた。


そして――


「お前の言う通りだ」


「……」


「お前は、最低だった」


王女、顔を伏せる。


「……はい……」


おっさんは、続けた。


「でも……」


王女、顔を上げる。


「人は、変われる」


「……え?」


おっさんは、王女を見た。


「お前も、変われる」


「本当に……ですか……?」


「ああ」


おっさんは、頷いた。


「時間はかかるかもしれない」


「簡単じゃないかもしれない」


「でも、変われる」



◆ 責任について


おっさんが言った。


「お前、勇者を召喚したんだろ?」


王女、顔を青ざめる。


「……はい……」


「なんで、召喚した?」


王女は、小さな声で答えた。


「魔物を……倒すために……」


「そうか」


おっさんは、真剣な顔で言った。


「なら、責任がある」


王女、涙を流す。


「……分かっています……」


「私が……勇者を生み出しました……」


「私が……あの男を……」


王女は、お腹を触った。


「私が……この子を……」


泣き崩れる。


セシリアが、王女を抱きしめる。


「王女様……」


おっさんは、しばらく考えた。


そして――


「でも、お前は被害者でもある」


王女、顔を上げる。


「……え?」


「勇者に襲われた」


「妊娠した」


「それは、事実だ」


おっさんは、王女を見た。


「だから、無理はさせない」



◆ 選択


おっさんが言った。


「勇者をどうするか、お前が決めろ」


王女「……私が?」


「ああ。お前が被害者だ」


「勇者と向き合うか、向き合わないか」


「それは、お前が決めることだ」


王女は、震えた。


「……向き合う……?」


「あの男と……?」


「ああ」


王女は、お腹を触った。


「……無理です……」


「怖いです……」


「会いたくありません……」


おっさんは、頷いた。


「分かった」


「なら、勇者は俺たちが引き取る」


「お前は、自分と向き合え」


「そして、子供を育てろ」


王女「……ありがとうございます……」


おっさんは、少し優しく言った。


「でもな」


「……はい」


「いつか、向き合う時が来るかもしれない」


「今じゃなくていい」


「でも、いつか」


「お前が強くなったら」


「その時に、考えろ」


王女は、涙を流した。


「……はい……」



◆ お腹の子について


おっさんが、王女のお腹を見た。


「お腹の子に、罪はない」


王女、はっとする。


「……」


「お前が、ちゃんと育てろ」


「愛してやれ」


王女は、お腹を触った。


「……でも、私……」


「この子、勇者の……」


「関係ない」


おっさんは、王女を見た。


「子供は、子供だ」


「お前の子だ」


王女は、涙を流した。


「……私に、育てられますか……?」


「この子を……愛せますか……?」


おっさんは、真剣な顔で言った。


「それは、お前が決めることだ」


「でも……」


おっさんは、少し優しく言った。


「俺は、お前が母親になれると信じてる」


王女、目を見開く。


「……本当に……?」


「ああ」


おっさんは、頷いた。


「時間はかかるかもしれない」


「でも、お前は変われる」


「そして、この子を愛せるようになる」


「俺は、そう信じてる」


王女は、大粒の涙を流した。


「……ありがとうございます……」


「本当に……ありがとうございます……」



◆ おっさんの過去


王女が、おっさんに聞いた。


「……あなたは……」


「なぜ、そんなに優しいんですか……?」


「私、あなたを汚物扱いしたのに……」


おっさんは、少し考えた。


そして――


「俺にも、子供がいた」


王女、驚く。


「……え?」


「日本で、な」


「妻と娘、そして息子が」


おっさんは、少し悲しそうに笑った。


「もう、会えないけど」


「だからこそ……」


おっさんは、王女のお腹を見た。


「子供の大切さが分かる」


「子供には、罪がないって分かる」


王女は、涙を流した。


「……そうだったんですか……」


おっさんは、空を見上げた。


「娘は、可愛かったな。息子はやんちゃだった」


「娘はよく笑う子で、俺が帰るといつも抱きついてきた」


「息子はよくいたずらしたり笑わせてくれた」


セシリアも、涙を流している。


「コウタロウさん……」


おっさんは、王女を見た。


「だから、お前にも母親になってほしい」


「この子を、愛してほしい」


「この子が、笑えるように」


王女は、お腹を触った。


「……はい……」


「私……頑張ります……」



◆ 治療


セシリアが前に出た。


「王女様、治療させてください」


王女「……はい……」


セシリアとリリアが、治療の魔道具を使う。


光が走る。


王女の体が、少しずつ回復していく。


「……温かい……」


王女が呟く。


「これが……治療の魔法……」


リリアが言った。


「王女様、大丈夫ですよ」


「私たちが、ついています」


王女は、二人を見た。


「……あなたたちは……?」


セシリア「私は、セシリアです」


「元聖女です」


リリア「私は、リリアです」


「同じく、元聖女です」


王女、驚く。


「元聖女……?」


「はい」


王女は、涙を流した。


「……私のために……」


「ありがとうございます……」



数時間後――


治療が終わった。


王女の顔色が、少し良くなっている。


「……楽になりました……」


「よかったです」


セシリアが微笑む。


王女は、おっさんを見た。


「……あの……」


「ん?」


「私、あなたの名前を知りません……」


おっさんは、笑った。


「康太郎だ」


「コウタロウ……さん……」


王女は、深く頭を下げた。


「本当に、ありがとうございました」


「そして……」


「本当に、ごめんなさい……」


おっさんは、王女の頭に手を置いた。


「いいか、よく聞け」


「……はい」


「お前は、変われる」


「人として、成長できる」


「そして、いい母親になれる」


「俺は、そう信じてる」


王女は、涙を流した。


「……はい……」


「頑張ります……」



◆ 王女の決意


王女が、お腹を触った。


「この子……」


「名前、考えないと……」


セシリアが微笑む。


「素敵な名前を、つけてあげてください」


王女は、頷いた。


「……はい」


そして、おっさんを見た。


「コウタロウさん……」


「ん?」


「私……変わりたいです」


「人を見下さない、優しい人に……」


「この子を、愛せる母親に……」


おっさんは、頷いた。


「ああ」


「時間をかけて、ゆっくり変わっていけ」


王女「……はい!」



◆ 勇者について


おっさんが、王に聞いた。


「勇者は、どこにいる?」


王「地下牢に閉じ込めております」


「そうか」


おっさんは、真剣な顔で言った。


「勇者を、俺たちの街に連れて行く」


王、驚く。


「連れて行く……?」


「ああ」


「魔力を封じて、労働させる」


「自分がしたことを、理解させる」


王は、少し考えた。


「……分かりました」


「でも、魔物退治は……」


「魔物は、俺たちの街の住民が倒す」


おっさんは、自信を持って言った。


「魔道具があれば、倒せる」


「勇者がいなくても、大丈夫だ」


王は、頷いた。


「……分かりました」


「あなたに、お任せします」



◆ 地下牢へ


おっさんは、地下牢に向かった。


セシリアとリリアも、一緒。


地下牢。


鉄格子の中に、勇者ケンジがいた。


ボロボロ。


髪も髭も伸びている。


目に光がない。


「……」


おっさんが、鉄格子の前に立った。


「久しぶりだな」


ケンジが、顔を上げた。


「……あのおっさん……」


「ああ」


おっさんは、冷たく言った。


「お前を、引き取りに来た」


ケンジ、驚く。


「引き取る……?」


「ああ」


「お前を、俺たちの街に連れて行く」


「そして、更生させる」


ケンジは、笑った。


「は? 更生?」


「俺を?」


「笑わせんな」


おっさんは、真剣な顔で言った。


「お前は、多くの人を傷つけた」


「王女を襲った」


「リリアを襲った」


「侍女たちを襲った」


「その罪を、理解させる」


ケンジは、舌打ちした。


「チッ、うるせえな」


「俺は勇者だぞ」


「何をしてもいいんだよ」


おっさんは、ケンジを睨んだ。


「……お前、本当に屑だな」


「何だと!?」


「でも……」


おっさんは、少し優しく言った。


「お前も、変われる」


ケンジ、驚く。


「……は?」


「人は、変われる」


「俺は、そう信じてる」


ケンジは、何も言えなかった。


おっさんは、衛兵に言った。


「勇者の魔力を封じろ」


「そして、俺たちの街に連れて行く」


衛兵「承知いたしました」



◆ 出発の準備


翌日――


おっさんたちは、出発の準備をしていた。


王女が、部屋から出てきた。


まだ、顔色は悪い。


でも、少し元気になっている。


「コウタロウさん……」


「ん?」


「本当に、ありがとうございました」


王女は、深く頭を下げた。


「私、頑張ります」


「この子を、ちゃんと育てます」


おっさんは、頷いた。


「ああ」


「応援してる」


王女は、涙を流した。


「……はい!」


セシリアが、王女の手を握った。


「また、会いに来ますね」


「はい……待ってます……」


リリアも言った。


「王女様、頑張ってください」


王女は、微笑んだ。


「……ありがとうございます」



◆ 帰路


自走式カート。


おっさん、セシリア、リリアが乗っている。


後ろには、勇者ケンジ。


魔力が封じられている。


手錠をかけられている。


「……くそ……」


ケンジが呟く。


おっさんは、前を向いて言った。


「これから、お前の更生が始まる」


「嫌だって言ってんだろ!」


「選択権はない」


おっさんは、ケンジを見た。


「お前は、多くの人を傷つけた」


「その責任を、取らせる」


ケンジは、何も言えなかった。


セシリアが、おっさんに言った。


「コウタロウさん……」


「ん?」


「本当に、大丈夫ですか?」


「大丈夫だ」


おっさんは、微笑んだ。


「人は、変われる」


「勇者も、王女も」


「俺は、そう信じてる」


リリアも言った。


「私も、信じます」


セシリアは、おっさんの腕に抱きつく。


「……私も、信じます」


おっさんは、空を見上げた。


(……これから、大変だな)


(でも、やるしかない)


(人を、救うために)



自走式カートは、新しい街へ向かった。


おっさんの新しい挑戦が、始まろうとしていた。



(次回:第18話「勇者の更生」に続く)

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