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52歳のおっさん、異世界転移したら下水道に捨てられた――下水の汚物は宝の山だった  作者: よっしぃ@書籍化


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第16話:王女の罪と救い

 ◆ 事件の説明


 おっさん、セシリア、リリア、リーナ、ゴードンが集まった。


 使者が、震える声で説明する。


「数ヶ月前……」


「あなた方が王都を離れた後……」


「魔物の大群が、王都を襲いました」


 おっさん「それで?」


「王は、勇者を地下牢から出しました」


「勇者は、魔物を倒しました」


「でも……」


 使者は、言葉に詰まった。


「でも、何だ?」


「勇者は……城に戻ってきませんでした」


「そして、夜……」


 使者は、顔を青ざめさせた。


「王女様の寝室に、侵入しました……」


 セシリア、顔を青ざめる。


「まさか……」


 使者は、頷いた。


「王女様は……襲われました……」


 リリアが叫ぶ。


「そんな……!」


「王女様も……!」


 使者は、さらに続けた。


「それだけでは、ありません……」


 おっさん「……何?」


 使者は、震える声で言った。


「王女様は……」


「妊娠されています……」


 全員、絶句。


「……!」


 リリアが泣き出す。


「そんな……ひどい……」


 セシリアも、涙を流している。


「王女様……」



 ◆ 王女の状況


 使者は、続けた。


「王女様は、精神的に崩壊しています……」


「食事も取れず、部屋に引きこもっています……」


「誰とも、話しません……」


「このままでは……」


 使者は、深く頭を下げた。


「お願いします……」


「王女様を、助けてください……」


「セシリア様、リリア様なら……」


「きっと、王女様を救えます……」



 ◆ おっさんの反応


 おっさんは、しばらく沈黙していた。


 リーナが言った。


「……自業自得ね」


「リーナ!」


 セシリアが叫ぶ。


 でも、リーナは続けた。


「だって、あの女はコータローを汚物扱いしたのよ」


「下水に捨てたのよ」


「それが、自分に返ってきただけ」


 おっさんは、何も言わなかった。


 使者が、おっさんを見る。


「……あなたは……」


「康太郎だ」


 おっさんは、冷たく言った。


「王女に、下水に捨てられた男だ」


 使者、驚愕。


「……!」


「知ってたか?」


「王女が、何をしたか」


 使者は、何も言えない。


 おっさんは、続けた。


「俺は、異世界から召喚された」


「でも、王女は俺を汚物扱いした」


「下水に捨てた」


「死ねって言われたんだ」


 使者は、深く頭を下げた。


「……申し訳ございません……」



 ◆ 勇者召喚の責任


 おっさんが聞いた。


「一つ、聞きたい」


「……はい」


「勇者を召喚したのは、誰だ?」


 使者は、少し考えた。


「……王と、王女様です」


 おっさん「王女も?」


「はい」


「王女様が、勇者召喚を提案されました」


「魔物を倒すために、と」


 おっさんは、頷いた。


「……そうか」


 リーナが言った。


「じゃあ、完全に自業自得じゃない」


「自分で勇者を召喚しておいて」


「被害者面するなんて」


 セシリアが言った。


「でも、リーナさん……」


「王女様は、襲われたんです……」


「それは分かってる」


 リーナは、真剣な顔で言った。


「でも、責任はあるわ」


「勇者を生み出したのは、王女よ」


 おっさんは、黙って聞いていた。



 ◆ セシリアとリリアの意見


 セシリアが言った。


「コウタロウさん……」


「ん?」


「私は……王女様を助けたいです」


「……」


「確かに、王女様はひどいことをしました」


「でも……」


 セシリアは、涙を流した。


「同じ女性として……」


「襲われて、妊娠して……」


「放っておけません……」


 リリアも頷く。


「私も、同じです」


「王女様を、助けたいです」


 おっさんは、二人を見た。


「……お前たちは、優しいな」


 セシリア「でも、コウタロウさんが嫌なら……」


「いや」


 おっさんは、首を振った。


「俺も、助ける」



 ◆ おっさんの決断


 リーナが驚く。


「本気?」


「ああ」


 おっさんは、真剣な顔で言った。


「確かに、王女は俺を汚物扱いした」


「許せないことをした」


「でも……」


 おっさんは、使者を見た。


「妊娠してるんだろ?」


「……はい」


「お腹の子に、罪はない」


 使者、目を見開く。


「……!」


 おっさんは、続けた。


「それに……」


「人は、変われる」


「俺は、そう信じたい」


 セシリアが、おっさんの手を握った。


「コウタロウさん……」


 おっさんは、微笑んだ。


「だから、助ける」


「王女も、勇者も」


「両方」



 ◆ 条件


 おっさんが、使者に言った。


「ただし、条件がある」


 使者「……はい」


「まず、勇者を更生させる」


「更生……?」


「ああ」


 おっさんは、真剣な顔で言った。


「勇者の魔力を封じろ」


「そして、労働させろ」


「自分のしたことの重大さを、理解させろ」


 使者「……分かりました」


「それだけじゃない」


「まだ、あるのですか……?」


 おっさんは、頷いた。


「王女も、更生させる」


 使者、驚く。


「王女様を……?」


「ああ」


 おっさんは、冷たく言った。


「王女は、勇者を召喚した」


「責任がある」


「それに……」


 おっさんは、続けた。


「俺を汚物扱いした」


「人を見下していた」


「それを、反省させる」


 使者「しかし……王女様は被害者です……」


「分かってる」


 おっさんは、頷いた。


「王女は、勇者の被害者だ」


「でも、俺の加害者でもある」


「両方の面を、理解させる」


 セシリアが言った。


「コウタロウさん……」


 おっさんは、使者を見た。


「ただし」


「……はい」


「無理はさせない」


 使者、驚く。


「……え?」


「王女は、今、精神的に崩壊してるんだろ?」


「……はい」


「なら、まず回復させる」


「それから、ゆっくり向き合わせる」


 おっさんは、真剣な顔で言った。


「焦らない」


「時間をかける」


「王女が、自分で選べるようになるまで」


 使者は、涙を流した。


「……ありがとうございます……」



 ◆ お腹の子について


 おっさんが言った。


「それと、もう一つ」


「……はい」


「お腹の子を、ちゃんと育てる環境を作る」


 おっさんは、強く言った。


「お腹の子に、罪はない」


「王女が、ちゃんと母親になれるように」


「子供を、愛せるように」


「それが、条件だ」


 使者は、深く頭を下げた。


「……承知いたしました」


「王に、伝えます」



 ◆ 王都へ向かう準備


 使者が去った後――


 リリアが言った。


「コウタロウさん……」


「お腹の子に、罪はない……」


「その通りですね……」


 セシリアも頷く。


「はい」


「王女様は、確かにひどいことをしました」


「でも、お腹の子は……」


「何も悪くありません」


 おっさんは、空を見上げた。


「俺にも、子供がいた」


「……!」


「日本で、な」


「妻と娘、そして息子が」


 おっさんは、少し悲しそうに笑った。


「もう、会えないけど」


「だからこそ……」


「子供には、罪がないって分かる」


 セシリアが、おっさんの手を握った。


「コウタロウさん……」


 おっさんは、セシリアを見た。


「王女には、ちゃんと母親になってもらう」


「子供を、愛してもらう」


「それが、王女の更生にもなる」


 リリアは、涙を流した。


「……コウタロウさん、優しいです……」


 おっさんは、照れくさそうに笑った。


「いや、ただの偽善だ」


 リーナが言った。


「……あんた、甘いわね」


 おっさんは、笑った。


「そうかもな」


「でも、見捨てたくないんだ」


「人を」


 リーナは、ため息をついた。


「……まあ、それがあんたの良いところよ」



 ◆ 出発


 翌日――


 おっさん、セシリア、リリアは、王都へ向けて出発した。


 自走式カート。


 治療の魔道具。


 全てを積んで。


 住民たちが、見送る。


「気をつけてください!」


「リーダー、頑張ってください!」


 リーナとゴードンも、見送る。


「街のことは、任せて」


 ゴードン「気をつけてな」


 おっさんは、頷いた。


「ああ。すぐ戻る」



 自走式カートが、動き出す。


 おっさん、セシリア、リリアは、王都へ向かった。


「……王女様、大丈夫でしょうか……」


 リリアが不安そうに言う。


 セシリアが言った。


「大丈夫です」


「私たちが、助けます」


 おっさんは、前を向いて言った。


「王女も、勇者も」


「両方、救う」


「それが、俺のやり方だ」



 ◆ 道中の会話


 道を進む。


 セシリアが、おっさんに聞いた。


「コウタロウさん」


「ん?」


「本当に……王女様を許せますか?」


 おっさんは、しばらく考えた。


「……分からない」


「……」


「正直、まだ許せてない」


 おっさんは、空を見上げた。


「でも……」


「でも?」


「許せなくても、助けることはできる」


 セシリアは、涙を流した。


「……コウタロウさん……」


 おっさんは、続けた。


「俺が王女を許すかどうかは、別の問題だ」


「でも、王女が苦しんでるなら」


「助ける」


「それだけだ」


 セシリアは、おっさんに抱きつく。


「……大好きです」


 おっさん、照れくさそうに笑った。


「……ああ」


 リリアは、二人を見て微笑んだ。


(……コウタロウさんは、本当に優しい人……)



 ◆ 王都到着


 数日後――


 おっさんたちは、王都に到着した。


 城に案内される。


 謁見の間。


 王が、待っていた。


「よく来てくれた」


 王は、深く頭を下げた。


「本当に、すまなかった」


「娘が、お前にしたことを……」


「知っている」


 おっさんは、冷静に言った。


「条件は、飲んでくれるのか?」


 王は、頷いた。


「ああ」


「勇者を更生させる」


「娘も、更生させる」


「そして、孫を守る」


 王は、真剣な顔で言った。


「全て、受け入れる」


 おっさんは、頷いた。


「分かった」


「では、王女に会わせてくれ」



(次回:第17話「王女との対話」に続く)

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