第12話:勇者の崩壊
◆ 新しい街(建設開始)
新しい街。
おっさん、ゴードン、住民たちが、建設を進めている。
土の魔道具で、基礎を作る。
木材を組み立てる。
石を積む。
「よし、ここに住居を作る」
「こっちは、倉庫だ」
「広場は、中央に」
おっさんが指示を出す。
住民たち、一生懸命働いている。
「分かりました!」
「頑張ります!」
セシリアは、畑を作っている。
土を耕す。
種を撒く。
「ここで、野菜を育てます」
リーナは、商業区画を考えている。
「将来的には、市場も作りたいわね」
ゴードンが笑った。
「野心的だな」
「当然よ。せっかく作るんだから、立派な街にしないと」
おっさんは、満足そうに頷いた。
「いい雰囲気だ」
◆ 王都(地下牢)
一方、王都では――
地下牢。
勇者ケンジが、鉄格子の中で暴れていた。
「出せ! 出せええ!!」
ガンガン叩く。
衛兵が、食事を差し入れる。
「勇者様、お食事です」
「いらねえ! 出せ!!」
ケンジは、食事を蹴飛ばした。
皿が割れる。
「くそ! くそ!!」
「俺は勇者だぞ!!」
「なんで、こんな目に……!!」
数日後――
王が、地下牢を訪れた。
「勇者よ」
ケンジは、王を睨んだ。
「……出せ」
「お前の行いが、酷すぎる」
「俺は勇者だぞ!? 魔物を倒してやってるのに!」
王は、冷静に言った。
「それでも、限度がある」
「娘の寝室に侵入し、女湯に乱入した」
「これ以上、放置できない」
ケンジは、吐き捨てるように言った。
「じゃあ、魔物退治、やめるぞ?」
王は、しばらく沈黙した。
そして――
「……条件がある」
「条件?」
「魔物退治の時だけ、出す」
「それ以外は、ここに閉じ込める」
ケンジは、舌打ちした。
「チッ……分かったよ」
「もう一つ」
「何だよ」
「女性に、手を出すな」
ケンジは、にやりと笑った。
「……考えとく」
王は、ため息をついた。
(……この男、本当に……)
◆ 魔物退治の準備
数日後――
魔物の大群が、王都近郊に現れたという報告が入った。
「勇者を出せ」
王が命じる。
衛兵が、地下牢の鉄格子を開ける。
ケンジが、外に出る。
「やっと出られたぜ」
「勇者様、魔物退治です」
「分かってるよ」
ケンジは、武器を受け取った。
剣。
魔道具。
「……久しぶりだな」
そして――
ケンジは、衛兵たちに言った。
「女をパーティーメンバーにしろ」
「……何?」
「女だ。女をパーティーに入れろ」
衛兵、困惑する。
「しかし……」
「俺の言うこと聞けよ。じゃなきゃ、魔物退治、やめるぞ?」
衛兵たちは、顔を見合わせた。
(……どうする?)
(勇者がいなければ、魔物を倒せない……)
衛兵は、仕方なく王に報告した。
王は、頭を抱えた。
「……仕方ない」
「女性兵士を、何人か付けろ」
「しかし、陛下……」
「他に方法がない……」
◆ 強制的なパーティー編成
女性兵士たちが、集められた。
3人。
20代前半。
みんな、不安そうな顔。
「……勇者様のパーティーに……?」
「はい」
「嫌です……」
「命令です」
女性兵士たち、泣きそうな顔。
でも、従うしかない。
ケンジは、女性兵士たちを見て、にやりと笑った。
「おお、可愛いじゃねえか」
女性兵士たち、後ずさる。
「……」
「よろしくな」
ケンジが、女性兵士の肩に手を置こうとする。
女性兵士、避ける。
「触らないでください!」
ケンジ、舌打ち。
「チッ、冷たいな」
衛兵が言った。
「勇者様、出発です」
「分かった分かった」
ケンジと女性兵士たちは、魔物退治へ出発した。
◆ 魔物退治
王都近郊。
魔物の大群がいる。
オーク。
トロール。
ワイバーン。
強力な魔物たち。
「うわ……多いな」
女性兵士たちが、怯える。
ケンジは、笑った。
「大丈夫だ。俺がいるからな」
ケンジは、魔法を使った。
「ファイアボール!!」
ドォォン!
火炎が、魔物を焼く。
魔物が倒れる。
「おお!」
「さすが、勇者様……」
ケンジは、ハイになっていた。
「へへ、やっぱり俺、最強!」
「サンダーボルト!!」
バリバリ!
雷が、魔物を貫く。
魔物が倒れる。
「いけるいける!」
ケンジは、次々と魔法を使う。
「ウインドカッター!!」
「アイススピア!!」
「ロックブレイク!!」
魔法を連発。
魔物が、次々と倒れていく。
「へへへ! 俺、無敵!!」
ケンジは、完全にハイになっていた。
でも――
女性兵士たちは、気づいていた。
(……勇者様、顔色が悪い)
(手が震えてる……)
(大丈夫なのか……?)
◆ 限界
さらに強力な魔物が現れた。
オーガ。
巨大な体。
強靭な筋肉。
「おお、でかいな!」
ケンジは、笑った。
「でも、余裕だぜ!」
ケンジは、魔法を放った。
「ファイアストーム!!」
巨大な火炎が、オーガを包む。
でも――
オーガは、倒れない。
耐えている。
「……は?」
ケンジは、驚いた。
「なんで、倒れねえんだ!?」
オーガが、ケンジに襲いかかる。
ドスン、ドスン。
「くそ!」
ケンジは、剣を構えた。
「サンダーボルト!!」
雷を放つ。
オーガに直撃。
でも――
オーガは、まだ倒れない。
「くそ! くそ!!」
ケンジは、さらに魔法を連発する。
「ファイアボール!!」
「ウインドカッター!!」
「アイススピア!!」
魔法を使い続ける。
でも――
その瞬間。
ケンジの体に、異変が起きた。
「……うっ」
体が、動かない。
魔力が、枯渇した。
顔色が、真っ青になる。
手が、激しく震える。
「……あ、あれ……?」
ケンジは、膝をついた。
「体が……動かねえ……」
オーガが、ケンジに襲いかかる。
「勇者様!!」
女性兵士たちが、駆けつける。
剣で、オーガを牽制する。
「早く、逃げてください!!」
でも、ケンジは動けない。
「……動け……動けよ……!」
オーガの拳が、振り下ろされる。
女性兵士が、ケンジを押し倒す。
ドガァン!
地面が揺れる。
「早く!!」
女性兵士たちが、ケンジを引きずる。
ケンジは、意識が朦朧としている。
「……くそ……くそ……」
女性兵士たちは、必死にケンジを運ぶ。
オーガが、追ってくる。
「早く! 早く!!」
なんとか、オーガから逃げ切った。
◆ 王都への帰還
女性兵士たちは、ケンジを王都に連れ戻した。
ボロボロ。
顔色が最悪。
意識が朦朧。
「勇者様を! 早く!!」
医師が駆けつける。
ケンジを、医務室に運ぶ。
診察。
医師の顔が、青ざめた。
「……これは」
「どうしたんですか!?」
「魔力中毒です」
「魔力中毒……!?」
「はい。魔力を使いすぎて……」
「体が、自分の筋肉や骨を削って、魔力に変えています」
「このままでは……」
医師は、言葉に詰まった。
「このままでは……命に関わります」
女性兵士たち、驚愕。
「そんな……」
◆ 王の決断
王の執務室。
医師が、報告する。
「勇者様は、魔力中毒です」
王、顔を青ざめる。
「魔力中毒……!?」
「はい。重症です」
「治療は……?」
医師は、首を振った。
「通常の治療では、治りません」
「では、どうすれば……!」
側近が言った。
「陛下、思い出してください」
「何を?」
「元聖女、セシリアです」
王は、はっとした。
「……そうか」
「彼女は、魔力中毒から回復しました」
「彼女なら、治療できるかもしれません」
王は、決断した。
「セシリアを探せ」
「スラムにいるはずだ」
「はい」
◆ 新しい街(完成)
新しい街。
建設が、ほぼ完成していた。
住居。
倉庫。
広場。
畑。
共同浴場。
全てが整っている。
おっさんは、満足そうに頷いた。
「……よし。これで、みんなが住める」
セシリアが、嬉しそうに言った。
「コウタロウさん、本当にすごいです!」
「みんなの協力のおかげだ」
リーナが言った。
「次は、スラムの住民を全員、ここに移すのね」
「ああ」
ゴードンが言った。
「明日から、移動を開始するか」
「そうだな」
おっさんは、新しい街を見渡した。
(……ここが、俺たちの街だ)
(みんなが、安全に暮らせる場所……)
◆ 王都の使者
その時――
馬に乗った使者が、新しい街に到着した。
「ここが……新しい街か」
使者は、驚愕している。
「すごい……」
「こんな短期間で、ここまで……」
使者は、門を叩いた。
コンコン。
「どなたですか?」
住民が、門を開ける。
「私は、王都からの使者です」
「王都……?」
住民が、おっさんを呼びに行く。
おっさんが、使者の前に現れた。
「俺が、この街のリーダーだ」
使者は、頭を下げた。
「お願いがあります」
「何だ?」
「元聖女、セシリア様に……」
「勇者を、治療していただきたいのです」
おっさんは、顔をしかめた。
「……勇者を?」
(次回:第13話「治療の条件」に続く)




