第11話:新しい街
◆ 出発の朝
スラム。
朝日が昇る。
住民たちが、荷物をまとめている。
「本当に、行くんですね……」
「ああ。新しい街を作る」
おっさんは、自走式カートに荷物を積んでいた。
魔道具。
食料。
種。
工具。
全てを運ぶ。
セシリアが、隣に来た。
「コウタロウさん、準備できました」
「よし」
おっさんは、住民たちを見渡した。
「じゃあ、出発するぞ」
住民たち、頷く。
「はい!」
スラムの住民、全員で移動開始。
数十人の行列。
自走式カートが、荷物を運ぶ。
おっさん、セシリア、ゴードン、リーナが先頭を歩く。
「……さらばだ、スラム」
おっさんは、振り返った。
ボロボロの建物。
でも、思い出がある。
(……ここで、セシリアと出会った)
(ここで、みんなと出会った)
(ここで、新しい人生が始まった)
おっさんは、前を向いた。
「行くぞ」
◆ 王都(王女の寝室)
一方、王都では――
深夜。
王女の寝室。
王女が、ベッドで寝ている。
静かな夜。
でも――
ドアが、ゆっくり開いた。
ギィィ……
誰かが入ってくる。
勇者ケンジだった。
にやりと笑っている。
酒を飲んでいる。
「へへ……王女様……」
王女、目を覚ます。
「……誰!?」
部屋の明かりをつける。
そこには――
ケンジがいた。
王女、驚愕。
「ゆ、勇者!? なぜ、ここに!?」
「会いたかったんだよ、王女様」
ケンジが、ベッドに近づく。
王女、後ずさる。
「来ないで!」
「いいじゃねえか。減るもんじゃねえし」
「衛兵! 衛兵!!」
王女が叫ぶ。
ケンジが、王女の口を塞ごうとする。
「うるせえ!」
王女、必死に抵抗。
ドアが開く。
衛兵が飛び込んでくる。
「王女様!!」
「勇者様、お止めください!!」
衛兵たちが、ケンジを引き離す。
「離せ! 離せええ!!」
ケンジが暴れる。
でも、衛兵たちが押さえつける。
王女、泣いている。
「……最低……」
「最低よ……!」
ケンジは、引きずられていく。
「くそ! 離せ! 俺は勇者だぞ!!」
◆ 大問題
翌朝――
王の執務室。
王、激怒。
「許せん!! 娘の寝室に侵入するとは!!」
側近「しかし、陛下……」
「追放だ! 勇者を追放する!!」
「それはできません!」
「なぜだ!?」
「勇者がいなければ、魔物を倒せません……」
王は、拳で机を叩いた。
ドンッ!
「……くっ」
「このままでは、城が保ちません……」
王は、頭を抱えた。
「……分かっている」
「……分かっているが……」
王女が、部屋に入ってきた。
「父上」
「……すまない。守ってやれなくて……」
王女は、怒りの表情。
「あの男を、何とかしてください」
「……できない」
「なぜですか!?」
「魔物を倒せるのは、あの男だけだからだ……」
王女は、唇を噛んだ。
「……いつか、報いを受けます」
「必ず」
◆ スラム(魔物の巣窟)
スラムの住民たちは、魔物の巣窟に到着した。
草原。
森。
でも――
魔物の気配がする。
「……いるな」
おっさんが呟く。
ゴードンが頷く。
「ああ。かなりの数だ」
リーナが言った。
「本当に、大丈夫なの?」
「魔道具があれば、大丈夫だ」
おっさんは、住民たちに魔道具を配った。
水を出す魔道具。
火を出す魔道具。
風を出す魔道具。
土の魔道具。
「これで、魔物を倒す」
住民たち、緊張している。
「本当に、できるんですか……?」
「できる。俺が教える」
おっさんは、魔道具の使い方を説明した。
「水の魔道具は、強い水圧で攻撃できる」
「火の魔道具は、火炎放射ができる」
「風の魔道具は、突風で吹き飛ばせる」
「土の魔道具は、土を固めて防御できる」
住民たち、真剣に聞いている。
「分かりました!」
「やってみます!」
◆ 魔物一掃開始
おっさんは、号令をかけた。
「じゃあ、行くぞ!」
住民たち、魔道具を構える。
森の中から、魔物が現れた。
スライム。
ゴブリン。
オーク。
「来たぞ!」
おっさんが叫ぶ。
「水の魔道具、発射!」
住民たちが、水の魔道具を使う。
ドバァァァ!
強い水圧が、魔物に直撃。
魔物が吹き飛ぶ。
「おお!」
「効いてる!」
「次! 火の魔道具!」
住民たちが、火の魔道具を使う。
ゴォォォ!
火炎が、魔物を焼く。
魔物が燃える。
「すごい!」
「本当に倒せる!」
おっさんは、指示を出し続けた。
「風の魔道具、左から!」
「土の魔道具、防御!」
住民たちが、連携して戦う。
魔物が、次々と倒れていく。
セシリアも、治療の魔道具で住民をサポート。
「怪我した人は、こちらへ!」
ゴードンは、魔道具のメンテナンス。
「魔石が切れたら、交換するぞ!」
リーナは、戦況を見ている。
「いい感じね!」
数時間後――
魔物が、ほとんどいなくなった。
「……やった!」
「本当に、倒せた!」
住民たち、歓声を上げる。
おっさんは、満足そうに頷いた。
「よし。これで、この土地は俺たちのものだ」
◆ 王都(女湯乱入)
一方、王都では――
女湯。
侍女たちが、湯に浸かっている。
「……はぁ、気持ちいい」
「最近、疲れますね……」
「勇者様のせいで……」
侍女たちが、ため息をつく。
その時――
ドアが、勢いよく開いた。
バンッ!
「よお!」
勇者ケンジが、女湯に入ってきた。
全裸。
侍女たち、悲鳴を上げる。
「きゃああああ!!」
「ゆ、勇者様!? なぜここに!?」
「いいじゃねえか。一緒に入ろうぜ」
ケンジが、湯に入ろうとする。
侍女たち、慌てて逃げる。
「いやああ!!」
「助けて!!」
衛兵が飛び込んでくる。
「勇者様! ここは女湯です!!」
「分かってるよ。だから来たんだ」
「お止めください!!」
衛兵たちが、ケンジを引きずり出す。
「離せ! 俺は勇者だぞ!!」
ケンジが暴れる。
でも、衛兵たちが押さえつける。
「くそ! くそ!!」
侍女たち、泣いている。
城内、大騒ぎ。
◆ 王の決断
王の執務室。
王、ついに決断した。
「……もう、限界だ」
側近「陛下……」
「勇者を、監禁する」
「監禁……!?」
「ああ。城の地下牢に閉じ込める」
「魔物退治の時だけ、出す」
側近「しかし……」
「これ以上、放置できない」
「娘も、侍女たちも、危険だ」
王は、真剣な顔で言った。
「勇者を、監禁しろ」
「……承知いたしました」
◆ スラム(壁の建設)
魔物を一掃した後――
おっさんは、壁の建設を開始した。
「土の魔道具で、壁を作る」
住民たちが、土の魔道具を使う。
土が盛り上がる。
固まる。
高い壁になる。
「おお!」
「本当に、壁ができる!」
数日後――
新しい街を囲む、高い壁が完成した。
「……よし」
おっさんは、満足そうに頷いた。
「これで、魔物の侵入を防げる」
セシリアが、嬉しそうに言った。
「コウタロウさん、すごいです!」
「みんなの協力のおかげだ」
リーナが言った。
「次は、建物ね」
「ああ。住居を作る」
ゴードンが言った。
「俺に任せろ」
◆ 夜
新しい街。
おっさんは、壁の上に立って、星空を見上げた。
(……ここまで来たか)
(新しい街……)
(みんなが、安全に暮らせる場所……)
セシリアが、隣に来た。
「コウタロウさん」
「ん?」
「私、幸せです」
セシリアは、おっさんの腕に抱きつく。
「コウタロウさんと一緒に、新しい街を作れて……」
「みんなと一緒に、ここにいられて……」
セシリアは、顔をすりすりする。
おっさん、笑った。
「……俺も、幸せだよ」
「本当ですか?」
「ああ」
おっさんは、セシリアの頭に手を置いた。
「お前たちと出会えて……」
「本当に、良かった」
セシリアは、涙を流した。
「……ありがとうございます」
◆ 王都(勇者の監禁)
王都。
勇者ケンジは、地下牢に閉じ込められた。
「くそ! 出せ! 出せええ!!」
鉄格子を叩く。
でも、誰も来ない。
「俺は勇者だぞ!!」
「なんで、こんな目に……!!」
ケンジは、床に座り込んだ。
「……くそ」
「くそ……」
体が、だるい。
顔色が悪い。
手が震える。
(……また、疲れてきた)
(なんでだ……)
(俺、勇者なのに……)
ケンジは、自分の手を見た。
震えている。
(……おかしい)
(何かが、おかしい……)
(次回:第12話「勇者の崩壊」に続く)




