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なんか短いやつ。  作者: うちの生活。


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あの頃の想い

 小学六年生のとき、仲のいい女の子がいた。


 好きな女子の話になったとき、友達に「アイツのことが好きなんだろ?」って言われた。


 それに対して「違うよ。あの子がいいなって思ってる」って言った。


 次の日、その内容が、クラスでそれなりに広がっていた。多分アイツにも伝わっているはず。それでも、アイツとの距離感は変わらなかった。


 どちらかと付き合うことになった。⋯なんてことにはならずに中学生になった。


 中学二年生のとき、アイツと同じクラスになった。何度かの席替えを経て、もう少しでバレンタインデーって時に席が隣になった。もちろん、席が隣になる前もいろいろ話していたし、席が隣になってもそれは変わらなかった。でも、以前と違って、気持ちに変化があったと思う。


 クラスメイト、友達のような関係よりも仲良くなれないだろうか。⋯アイツと付き合えないだろうか。


 中学生だからなのか、バレンタインが近いからなのか、そんな風に思うようになっていた。


 そんな思いを嘲笑うかのように、インフルエンザが流行りだした。毎日、何人も欠席していた。俺はかかることなく登校できていたけど、アイツはかかってしまった。


 バレンタインデー当日、アイツは治らずに欠席した。


 本人に「チョコちょうだい」なんて言ってない。普段話してる時に言うだけ言ってみれば良かったのに。それなのに、勝手にもらえるかもしれないって期待して、勝手に残念な気持ちになった。⋯⋯治ったら、くれるかもなんて思ったりもしたんだ。


 結局、関係は何も変わらずに中学三年生になった。もちろん、チョコはもらっていない。


 アイツとは別に、少し気になる女の子ができた。静かなタイプの子だった。クラスメイトだけど、あまり喋ったことはない。何か用がある時に、さん付けで呼ぶくらい。たまに見せる笑顔が可愛かったのを覚えてる。


 ただ「高校は確実に別になるんだよな」なんて言い訳がちらついて、何も行動に移せずにいた。


 もうすぐクリスマスって時に、友達が中学生の間だけの期間限定で、その子と付き合う事になったって言ってきた。


 言い訳をして、何もしなかった自分が馬鹿みたいだと思った。それと同時に、本当はそこまで好きじゃなかったのかもしれないとも思った。


 卒業までの間、その友達を見守った。本当に期間限定だったのか、高校になっても継続していたのかは知らない。もう会うことはないだろうから。


 進学先の高校はほぼ男子高。女子がいないわけではないが、ごく少人数だった。


 勉強も部活もほどほどにして、バイトに勤しんだ。バイト先の子と話していると、小中と仲の良かったアイツと同じクラスだというのが分かった。世間は狭いようだ。


 ⋯なんだか会いたくなった。


 その子経由でだったけど、連絡をとって会えるようにお願いした。


 久しぶりに会って連絡先を交換した。たくさん会話をしたり、メッセージのやり取りもした。複数人でだったけど遊びに行ったりもした。前に比べれば行動していたと思う。もしかしたら⋯⋯なんて思ったりもした。


 でも、会話をしている中で、アイツには彼氏がいる事が分かった。それとあわせて、こんな事を言われた。


「小学生の時、あんたのこと好きだったんだけどね」

「⋯⋯え?」

「でも、あの子がよかったんでしょ?」

「⋯⋯え、あぁ⋯」

「だから、諦めたんだよね」

「⋯⋯そっか」


「本当は俺も好きだった。だから、付き合おう」なんて言えるわけもなく。⋯言ったところで、付き合えるとも思えない。


 最初は好きだったのかはっきりしなかったけど、数年間思っていたのは事実。そして、それが恋だったのを自覚して、それが終わってしまったというのはわかった。⋯ちゃんと言葉にだして言わなかった事が悔やまれる。



 その後、気になった子にはちゃんと告白して、振られたり、付き合ったりを繰り返して、最後に付き合った子と結婚して数十年。今、幸せなんだと思う。


 ⋯⋯でも、アイツと付き合えてたらどうだったのか。今でもたまに思う事がある。女々しいとはこういう事なんだろうか。


 そんな自分が嫌になるような、どこか誇らしいような、何ともいえない日々を過ごしている。


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