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なんか短いやつ、まとめてます。  作者: うちの生活。


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13/15

死神になるために


ピンポーン⋯。ピンポーン⋯。


「はい?」

「どーも。松本太一さんッスね?」

「え、そうですけど」

「僕は死神ッス。よろしくッス」

「⋯えーと、そーゆーのは間に合ってますんで結構です」


 スーツをきた男性がなにやら胡散臭い事を言っている。こういう人には関わりたくないのでドアを閉めようとすると、隙間に足をはさんで抵抗してきた。


「いやいやいや、松本さんには必要ッスよ?間に合わないッスよ?」

「いきなり死神とかヤバい事言う人は困ります。警察呼びますよ?」

「そんな事してる暇ないッス。ほら、聞こえませんか?ガス漏れしてる音が」

「はぁ??」


 ⋯⋯シュー⋯⋯シュー⋯。

 バチッ、バチッ⋯。


 あっ⋯⋯⋯⋯。


 その瞬間、目の前が真っ赤に染まり、そして真っ暗になった。 




ピンポーン⋯。ピンポーン⋯。


⋯⋯あれ?


ピンポーン⋯。ピンポーン⋯。


「はいはい」

「先程はどーも。松本さん。死神ッスよ」

「⋯え?あんたは、あれ?さっき??」


 そうだ、さっきこいつと言い合ってたような⋯。


「先程、松本さんはガス爆発で死んだんスよ」

「⋯⋯⋯は?」

「なので、死ぬ前に戻したッス」

「何言ってんの?」

「ちょっと説明しまスんで、お邪魔するッス」

「ちょっ!」


 止める間もなく勝手に入ってきたと思ったら、ガスの元栓を止めた。そのまま迷う事なく冷蔵庫に向かい、埃まみれのコンセントを抜いて、綺麗にしてから差し直した。


⋯⋯え、ガス?⋯⋯え?え?


「覚えてませんか?ガスが漏れていて、そこに静電気で引火して爆発。それで松本さんは死んだんス」

「え、でも」

「そう、生きてまスね」


 生きているのは間違いない。⋯でも、確かに何が漏れてるような音がしたと思ったら、真っ赤になって、すごく熱かったような気がする。


「簡単に説明しまスと、松本さんは本来まだ死ぬ予定ではありません。でスが、先程のように事故かなにかで死んでしまう可能性がありまス。そうならないように僕が派遣されてきたんス」

「なに、それ⋯」

「これから何か起こる前に対処、もしくは起きても先程のように対処するッス」

「対処⋯、生き返るって事か?」

「そんな感じッス。ちなみに、事故の内容は起きる直前までわかんないんスよねぇ。なので、しばらく一緒にいさせていただきまス」

「え、一緒?」

「はい。こちらとしても、松本さんに予定外に死なれては困るんスよ。松本さんも死にたくはないでしょう?」


 そりゃ死にたくない。でも、言われている内容は随分と現実離れしている。⋯⋯でも、さっき経験したのは夢じゃない、と身体は理解しているようで身体の震えが止まらない。


「⋯わかりたくないけど、わかった」

「よろしくッス!」


 一緒にいると言った死神は、四六時中つきっきりでいるつもりのようだ。トイレと風呂にもついてくる勢いだったが、それはなんとか遠慮してもらった。事故の内容が直前にわかるなら間に合うだろうと説得して。扉の前には居座られたが。



「え、仕事にもついてくんの?」

「そりゃそうッスよ。どこで死んじゃうのかわかんないスから」

「いや、会社の人になんて説明すればいいんだよ」

「あ、僕の事は松本さん以外には見えないんで安心してください」

「そうなの?」

「松本さんにしか見えない、専属のボディガードッス!」

「それならいいのか⋯」

「まぁ、いろいろと見習い中の身なんスけどね!」

「すげぇ不安だよ⋯」



 出勤途中、駅まで歩いていると車に轢かれそうになった。


「あ、危ねぇ。⋯今のは?」

「⋯関係ないッスねぇ。何も連絡なかったッス」

「そ、そうか」

「⋯⋯残念ッス」

「なんか言ったか?」

「無事で良かったッスねって」


 その後は、いつも通りに出勤して、定時まで働いて退勤した。何も起こらず無事に帰宅できた。



 その後、数日間何も起こらなかった。だから、すっかり油断していた。


「あー⋯」




「あれ?え?」

「松本さん。先程、あそこで死にました」


 指をさされた方を見てみると、ビルの建設現場があった。それが視界に入ると同時に、鉄骨やら足場のパイプなど、いろんなものが自分に向かって降ってくる光景が思い出された。ぶつかったと思ったら、視界が真っ暗になり、気づいたら今ここに立っていた。


「というわけで、あそこは危ないので近づいちゃダメッス」


 危ない。


 そう言われて、身体がぶるっと震えた。



 建設現場から離れて少し経つと、後ろから騒がしい音がしてきた。あの光景に至る事故が起きたんだろう。もしかして、自分の代わりに誰か死んでしまったのだろうか。


「大丈夫ッス。松本さん以外に死ぬ人はいなかったッス」

「っ!なんで!?」

「考えそうな事なんてわかるッスよ。まぁ、怪我人も出てないから、気にしなくて大丈夫ッスよ」


 話の内容が内容だけに、胡散臭くて信じきれなかったけど、死神は本当に他の人には見えていないようだし、今回の事で本当の事なんだと再認識させられた。


「⋯こんな事、あと何回起きるんだろ?」

「んー、数回としか言えないッスねぇ」

「数回もあるのか⋯。戻してもらえるとはいえ、キツイな⋯」

「そこは申し訳ないッスねぇ」

「なんだろ。申し訳なさを全く感じないな」


 なんだコイツ。




 ほんの数日の間に、


 トラックに轢かれて、

 通り魔に刺されて、


 死んだ。


 どちらも死ぬ直前までの記憶がある。トラックは即死だったけど、通り魔は刺された場所のせいなのか、徐々に死に近づいていくのを感じた。もうおかしくなりそうだ。⋯いや、もうなっているのかもしれない。



「⋯⋯そろそろ、いい感じッスねぇ」

「なんか言ったか?」

「あと何回なんスかねぇって」

「ほんとにな。つか、起こる前に対処してほしいよ。言ってたよな?」

「いやぁ、できればそうしたいんスけどね。間に合わなくて申し訳ないッス」




 また数日間、何も起きなかった。いつものように仕事を終えた後、二人で電車を待っていた。死神と一緒に帰宅するのにも慣れてきた。


 乗る予定の電車がもうすぐホームに入ってくるという放送が流れた後、背中をドンと押された。混雑時には押されてしまう事はある。そう思った瞬間、再び押された。さすがに何事かと振り返ろうとするもまたも押され、電車が入ってくる方向に転びそうになった。それでもホームドアがあるから落ちる心配はない。⋯⋯はずだったのだが、何故かホームドアがそこだけ開いている。


 故障か?!何が起きてる?!いや、それより死神は?!


 もう一度押されて、ふらつきながらも死神を探す。周りからは「落ちるぞ!」とか「電車がくる!」とか聞こえてくる。


 ヤバい!

 死神!

 助けてくれ!

 間に合うだろ!?

 電車に轢かれる!


 ボディガードを自称していた死神を見つけた時、彼はいい笑顔で言い放った。


「松本さん!どうもありがとッス!」


 そして、開いているホームドアに向かって、俺を力いっぱいに押し出した。



 なん⋯⋯で⋯⋯⋯あっ⋯⋯⋯⋯⋯⋯。











「これでようやく見習いから卒業ッスね。松本さんのおかげッス!本当にありがとうございました!」


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