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変な貼り付けになっていたので修正いたしました。

ギルドや商人、多くの貴族街や王城の集まる緩衝空間。

古代の魔道具によって作られたこの空間は、四季の領域、そして、無季――瘴気と妖の空間に囲まれて存在している。


守護者たちのセカンドハウス、「四季護邸しきもりてい」――通称“暦の館”。

四季の守護者たちの完全なる私邸であり、彼らの日常を守る拠点。

それもまた、この空間の一角に建っていた。


直接それぞれの季節へ向かえるこの空間は、多くのギルドや商人の本拠地として最適とされ

今日も賑わいを見せている。


緊急任務もなく、完全オフのシオと春星は街へ買い出しに出ていた。


「ねぇ、春。聞いた?」

「何が?」


春星は買い出しメモを見ながら気のない返事をした。


「リンが言ってたんだけどさ。最近、人里に妖が出るんだって」

「はぁ? 妖が? そんなわけないじゃん。見間違いだよ」


シオの言葉に春星は顔を顰めた。


「妖は人里になんて出てこないよ。無季で瘴気を監視するのが役目なんだから。

人里に出られるほど無季は安定してないし、見たって言ってもどうせ魔物か蛮族だろ」


春星が呆れ混じりに言うと、シオはむっとして胸を張る。

「リンも見たって言ってたもん! 逃れ者の里の近くで!」


「だからそれは――」

春星が言い返そうとした時、近くの井戸端会議が耳に入った。


「ねぇ、東の区画で妖が出たんだって」

「知ってる。その前は秋の領域でしょう?」

「え、私は冬の領域で見たって聞いたわ」

「私はこの間、夏の領域で見たわぁ!」


「ほらぁ!!」

シオは得意げに春星を指差すが、春星は取り合わずため息を吐いた。


やっと買い出しを終えて暦の館に戻った二人は、荷物を抱えたまま靴を脱ぎ散らかすように上がり込む。


「やっと帰ってきたぁ……」

「ふぅー、重かった……」


一息つこうとした、その時だった。


ドンドンと扉が激しく叩かれ、よろめくように倒れ込んできたのは小さな木っ葉妖怪だった。

体中に傷を負い、握りしめていた紙片は赤黒く滲んでいる。


「……ゆう、かく……危険……直ぐに……」


かすれた声と共に差し出された血塗れの手紙。

春星の顔色が真っ青に変わる。


「桜!」


春星は即座に桜を呼び出し、驚くシオが引き止める間もなく飛び出して行った。


「ちょ、ちょっと! どうしたっていうのよぉ!!」


混乱するシオの前に潮が現れ、妖を抱えて客室へ運ぶ。


「俺は竜胆とイヴェールを呼んでくる。シオ、ここにいろ。異変があればすぐ呼べ」


言い置いて潮はまたすぐに姿を消した。

残されたシオは震える手で清潔な布を探し、血を拭おうと慌てて動き出す。


秋の領域。

紅葉の森を抜けた先、小さな診療所。


潮は全速力で駆け込み、扉を乱暴に開け放った。


「竜胆!!!」


奥から現れたのは紅葉だった。

「ちょっと潮、静かにして。診察中なのよ?」


だが潮は青ざめたまま叫ぶ。


「暦の館に重傷の木っ葉妖怪が来て、伝令を聞いた春星が飛び出したんだ!」


紅葉の顔色が一瞬で変わり、奥から竜胆が現れる。


「……春星が飛び出して行ったんですか?」

普段の穏やかな声音が震え、焦りを隠せない。


「紅葉、今日はここまでです。すぐに閉めましょう。……僕たちも急いで戻ります」

「冬には?」

「潮が向かうでしょう。僕たちは一刻も早く暦の館へ――」


紅葉は診療所を閉めに動き、竜胆も慌ただしく帰る準備を整えた。

潮はそれを確認し、再び姿を消した。


冬の領域、白樺の森。

雪を踏む音だけが響く巡回の最中、潮は雪煙を上げて駆け込んできた。


「イヴェール! ティトラ!!」


「潮? ……どうしたの?」

ティトラが驚いた声を上げる。


「邸に重傷の木っ葉妖怪が来て、 伝令を聞いた春星が飛び出したんだ!」


告げられた瞬間、イヴェールは言葉を失った。

雪の中で時が止まったかのように固まり、露草色の瞳が大きく見開かれる。


「……は?」


信じられない現実に、ティトラも顔を引き攣らせた。


「間違いない!」


潮の声に、イヴェールは低く唸るように吐き捨てる。

「……っ、馬鹿野郎が……!」


次の瞬間、祠のそばに停めてあった魔導バイク《フェンリル》に飛び乗り、雪煙を巻き上げて走り出した。

「ちょっと待ちなさいよ!」慌てるティトラも後を追う。


こうして守護者たちは、それぞれの地から暦の館へと急ぐのだった。


イヴェールが乗っている魔導バイク《フェンリル》について

魔力を動力源とした特殊車両で、雪原や荒地でも走行可能。

本来は試作段階の軍事用技術だが、イヴェール仕様に改造された結果、

現在では彼以外ほぼ扱えない“特注品”になっています。


ちなみに王侯貴族には新しい技術であるが故にまだ受け入れられず

かなり材料面のコスト問題もあって一般に普及もしていません。

世界で一台だけの特注品になっていて、これを開発していた頃の技術部は悲鳴が溢れていたとか・・・

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